それにしても日野さんの演奏は過激でした。5月に発表した『AFTER SHOCK』にちなんだライヴが「ブルーノート東京」で2日間行なわれるというので、2日目(7月26日)のファースト・セットを観てきました。
ドラムレスのバンドながらdj hondaが加わっていることもあり、ビートが強調されたフリーキーなサウンドと展開が圧巻。マイルスが生きていたらこんな音楽をやっていたんじゃないかしら? そんなことを思いながらの1時間半。
取り上げたのは新作からの曲ばかり。各曲が20分くらいと長尺です。でも、だれるところがまったくありません。1970年代前半、日野さんがフリー・ジャズに近い演奏をやっていたころの音楽に通じていますが、スタイルは斬新。マイルス同様、常に新しい音楽をクリエイトしている姿に接し、嬉しくなりました。
このライヴから1週間ほど前ですが、日野さんにインタヴューをさせてもらいました。「同じことをやっていても面白くない」と仰っていた日野さん。その言葉を体言しているのがこの《AFTER SHOCK》バンドです。
ぼくは日野さんのこうした姿勢を尊敬します。絶対に守りに入らない。ステージでも「100人の敵を作れば、その中にひとりくらいグレイトなやつがいる。そのひとから学べばいい」。日野さん独特の哲学ですが、示唆に富んでいます。
面白かったのは1時間ほどアナウンスなしでいっきに演奏し、最後の挨拶かと思ったら、そこからトーク・ショウ(?)が始まったことです。このパートが15分くらい。メンバーも全員が自己紹介して、こういうステージも日野さんならでは。そして最後にもう1曲が演奏され、1時間半のライヴが終了。
メンバーは、日野皓正(トランペット)、小沼ようすけ(ギター)、石井彰(ピアノ)、Penny-k (シンセサイザー)、日野 JINO 賢二(エレクトリックベース)、須川崇志(ウッドベース、タブラ)、dj honda(dj)。この顔ぶれを見ただけで、わかるひとは興味津々だと思います。
そしてこのグループ、9月に開催される「東京Jazz」では拡大ヴァージョンで登場するとのこと。インタヴューでその一端を教えてもらいました。そちらは、「東京Jazz」直前の回で放送する予定です。ぼくの世代にはかなりうきうきするアイディアが実現しそうです。