5月に続いて「レザール」で19日(火)に行なわれたデュオ・ライヴ。今回は今月13日に発売されたふたりの作品『Childhood's Dream』発売記念ライヴです。
ピアニストの福田重男さんとギタリストの布川俊樹さんによるこのアルバムは、ふたりのオリジナルとスタンダードがバランスよく配され、聴いていて実にいい感じの時間が過ぎていきます。
いつの間にかヴェテランの世代に入ってしまった両者(見た目は昔のまんま)ですが、演奏はフレッシュで触発的。盟友といっていい仲のふたりが、妥協したり調和したりせずに丁々発止とプレイを繰り広げます。
そのデュオが、ライヴの場ではいっそうスリリングなものになりました。この日は1曲(「ウェイヴ」)をのぞいてアルバム収録の曲を演奏。ピアノとギターがさまざまな形で絡み合い、自在な展開と広がりを聴かせてくれました。
ドラムスやベースがいない分、自由なテンポとノリでの演奏です。それだけに、ふたりの技量やバランス感覚が問われます。しかし彼らのレヴェルに達していればなんでもござれ、どうとでもなるんでしょう。その中でいかに創造的なものが示せるか。
ただし聴く側はそんなことと関係なしに楽しめばいいし、ぼくのように無粋な人間は「レザール」のリラックスした雰囲気の中でも懸命に耳を傾けてしまうんですが、それもまたよし、です。
それぞれの楽しみ方でこの素敵なデュオを味わう。布川さんと福田さんのトークも抜群に面白かったし。それも、このお店の雰囲気がなせるわざというか。こういう時間が過ごせるジャズ・バーはありそうでなかなかありません。
だから「レザール」につい立ち寄ってしまうんですが、いつものように常連で賑わっていたこの夜も、ご機嫌な音楽と楽しい会話であっという間に夜が更けてしまいました。