先週の金曜日(15日)に「サントリー・ホール」でデューク・エリントンのオーケストラを聴いてきました。カウント・ベイシーもそうですが、この手のオーケストラは落語や歌舞伎と同じで古典芸能の範疇に入るんじゃないでしょうか?
エリントンは同じ曲を何度も録音してきました。同じアレンジ(全部がそうではなかったですが)を用いても、演奏の内容はその都度異なります。そこが落語と同じで、というか、だからジャズなんですけど。クラシックだってそうでしょ。指揮者、オーケストラ、スコアなどがすべて同じでも、毎回違った感じ方ができます。音楽ってそういうものです。
エリントンやベイシーなど、歴史のあるオーケストラ演奏ではとくにその面白さが味わえます。15日の演奏もそうでした。
写真提供:(c)ハーモニー・ジャパン株式会社
ジャズの歴史に接することができたコンサート。ぼくはそう捉えていますが、初めて聴くひとにとっては新鮮この上ないものだったかもしれません。聴くひとの経験や感性によって受け止め方はまったく違うものになるでしょう。音楽に限らず、ものごとにはなんにでもそうした側面があります。そこが面白いところかしら。
だから、ひとの意見には左右されないほうがいいです。自分がどう思うか。そこが大切です。
ぼくは「名盤選」みたいな本をいろいろ出していますが、それらは「ぼくが選んだ」という注釈つきです。最初は何らかのヒントやきっかけが必要です。そのとっかかりになればいい。そういう思いで書いています。あとは、自分の耳で選ぶ。「サントリー・ホール」でエリントン・オーケストラを聴いて、ふとそんなことを思いました。
写真提供:(c)ハーモニー・ジャパン株式会社
休憩後、震災で被災した石巻の小学生と中学生のオーケストラ、スイング・ドルフィンズに、コンサートで集めた義捐金が贈られるというセレモニーがありました。先日のなでしこジャパンもそうですが、被災された方たちを勇気づける心遣いがあちこちでさまざまな形で示されています。この日の「サントリー・ホール」も心温まる空気でいっぱいになりました。
この写真は開演10分くらい前の入り口風景です。まばらですが、ホール内はたくさんのひとでいっぱい。伝統的なジャズのオーケストラを楽しもうというひとがたくさん集まった一夜でした。