おとといは豪華なライヴにお呼ばれしました。役得です。「Hotel Okura Live Index Vol.5」というもので、ディナー+ディオンヌ・ワーウィックのライヴ。ただし本業の都合があり、17時から19時のディナー・タイムには間に合わず。ホテルにある4つのレストランから好きなところを選んでのコース・メニュー。好みのものが多かっただけに、ウーン、残念。
でも、自分でお金を払ったわけじゃないし、ライヴ、それもディオンヌですからね、そのステージが観られただけでももうけもの。
それにしても、やはり大物。ステージに登場しただけで存在感があります。高校時代からさんざん聴いてきたお馴染みのバカラック・ナンバーが次々と披露され、ぼくの思いはいっきに40年以上前に飛びました。
高校のころはセプターから出ていた彼女のレコードも買いました。日本ではテイチクから出ていたのかな? でも渋谷のヤマハで輸入盤が安く買えたし、国内未発売のレコードもたくさんあったので(当時のディオンヌは日本でそれほど知られていませんでした)、500円くらいでオリジナル盤をずいぶん(たぶん全部)買ったんじゃないでしょうか。
そういえば、その渋谷ヤマハがなくなるとか。あそこがぼくの音楽生活の原点でもあったので、感慨ひとしおです。
輸入盤が試聴できた「ミュージック・バー」。ぼくよりちょっと年上のお姉さんたちが店員さんでした。カウンター越しに交わした彼女たちとの会話。これが初心な高校生にとってはドキドキもので、恥ずかしくも楽しかった青春時代。いまとなっては懐かしいひとこまです。
初めて買ったギブソンのギターは、彼女たちのひとりに頼み、社員割引にしてもらったことも。別の彼女はミュージシャンと結婚してニューヨークに行ったとか。で、留学時代にそっくりなひとを見かけたんですが、「ひと違いだったらやだな」と思い、声はかけませんでした。なんてことが、ディオンヌのステージを観ながら一瞬にして甦りました。
ステージは「ウォーク・オン・バイ」から。「マイケルへのメッセージ」、「アルフィー」、「小さな願い」、「サン・ホセへの道」、「恋よ、さよなら」、「ディス・ガイ」(ディス・ガールと歌ってましたが)、「世界は愛を求めている」といったバカラック・ナンバー(順不同です)、歌唱指導をしながらの「ハートブレイカー」、それから「クワイエット・ナイト」、「3月の水」、「ブラジル」のボサノバ・コーナー、さらには新作『オンリー・トラスト・ユア・ハート』からのタイトル曲(ぼくにはアストラッド・ジルベルトの歌が懐かしい)や「アイル・ネヴァー・ストップ・ラヴィング・ユー」など、お馴染みの曲を中心にした約90分。
客席から観るディオンヌの姿は昔のまんま。体型もあまり変わっていません。それも、ぼくの気持ちを1960年代に引き戻したのかもしれませんね。
そうそう、恥ずかしいことがひとつ。ライヴのナヴィゲートを務めていたルーシー・ケントさんにステージから名前を呼び上げられてしまいました。お客さんはぼくのことなんか知らないでしょうから、なんだろうと思ったんじゃないかしら。恥ずかしかったけれど、これはルーシーさんからの友情の証と、感謝しています。彼女も相変わらず元気溌剌で、久々ににお目にかかれて嬉しかったです。
それにしてもこういうライヴ、ひとりで行くもんじゃありません。ライヴにはひとりで行くのが好きですが、この雰囲気と内容だったらひとりじゃ寂しい。男性でも女性でもいいんですが、思いや記憶に共通するものがあるひとと行ければ、終わったあとが楽しかったかも。でも招待ですから、贅沢はいえません。次回はチケットを買って誰かと行きますか。