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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「ジャケ裏の真実
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3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


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「3月文化講演会」@神戸
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TEL: 078-265-6595

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2010-05-26 生きていれば
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 今日で84歳の誕生日を迎えるマイルス。考えてみると、ぼくがマイルスと会うようになったのは1985年のことですから、彼が59歳と9ヶ月のとき。いまのぼくとまったく同じです。ぼくもあと3ヶ月で60歳ですから。この違い。ウーン。

 って、帝王と自分とを比較するのはおこがましいですよね。でも、何か感慨深いものを覚えます。そうか、このあと5年であの世に行ってしまったのか。ウーン。

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 あのときのマイルスは、いまのぼくよりぜんぜん元気でしたし、迫力がありました。アーティスト、あるいはクリエイターならではの前向きの姿勢がビシバシと伝わってきたものです。24歳年上の彼に何度触発されたことでしょうか? ぼくにとっては、本当に得がたい出会いでした。

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 それで、今日は久々に「愛しのジャズマン」としてマイルスを。

『ジャズ楽屋噺~愛しきジャズマンたち(東京キララ社)』より~

 ぼくは自虐的な人間なのだろうか? マゾっけはないつもりだが、怒られたのに嬉しく思った経験がある。マイルス・デイヴィスと会っていたときだ。彼と会っているときはいつも細心の注意を払うようにしていた。しかしマイルスの口から飛び出してくる話はいつだって面白いし、興味深い。彼は問わず語りの名人だから、途中で余計な口を挟まないほうがいい。しばし沈黙の時間が流れても、そういうときはなにかを考えたり思い出したりしているのだから、先をうながしてはいけない。そのことはいつも肝に銘じていた。話したいように話してもらうのが一番だ、と。

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 マイルスと会うときは長時間におよぶことが大半だった。10時間以上というのもざらだ。昼に会って明けがたまで宿泊していたホテルにいたこともあれば、午後に家を訪ね、夕方一緒にコンサート会場に行き、終了後に車に同乗して家まで戻り、そのまま5時間以上つき合ったなんてこともある。

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 インタヴューをするわけじゃない。ただ、だらだらと時間がすぎていく。マイルスはその間になにか食べたり、絵を描いたり、音楽を聴いたり、誰かに電話をしたりと、普通のことをやっている。ぼくは透明人間になったつもりで、邪魔をしないようひたすら務める。それでなにかを話したくなれば、勝手に話が始まる。そのときにぼけっとしていてはいけない。話しそうになったときは、それを察知し、すぐ聞き役に回れるよう構えるのがこつだ。

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 最初はこのペースというか空気に戸惑ったが、マイルスはマイルスでそうやって時間をすごすのを楽しんでいるようだった。まったく無視をするわけじゃない。かといって、気を遣っているそぶりもない。ぼくはひたすらマイルスがいる空間に溶け込む。そのことに集中していた。それでも彼はときどきこちらを喜ばせようと思うのか、勝手に昔話をしたり、ぼくが聞きたそうなことについて話し出したりする。
 こちらはそれをひたすら聞いて、相槌を打つか、褒めちぎるか、羨ましがるか。まあ褒め殺しのようなことをするのだが、するとマイルスはますます気分がよくなるようで、思わぬエピソードを披露してくれたことも再三だった。

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 そんなあるとき、つい調子に乗ってギル・エヴァンスについて質問をしてしまった。たまたま、彼と共演した『クールの誕生』(キャピトル)の話をマイルスがしていたときだ。
「ギルが書くアレンジは、その時点のレヴェルからいってかなり高度なものだったんでしょうか?」
 そんなことを口にしてしまったのだが、いいながら同時にぼくは後悔もしていた。マイルスが話をしているときに、腰を折るようなことは絶対してはいけない。このときはちょっと気が緩んでいたのだろう。そのとたん、彼がこちらを睨んでひとことこういった。

 So What?

 マイルスの口癖である。
「だからなんだっていうんだ?」
 マイルスにこういわれてすくみあがらないひとはいないだろう。これで、あるかないかわからないようなものだけれど、ガラスみたいにもろい信頼関係も崩れてしまった。すべてが不用意なひとことで終わってしまった。彼の機嫌を損ねて部屋から追い出されたインタヴューアーが何人もいることは知っている。ついに、ぼくもそのひとりになったか。

 I'm so sorry.

 と蚊の泣くような細い声で答えるのが精いっぱいである。あとは、こうべを垂れて、次にマイルスからどういわれるかを待っていた。しばしの沈黙。時間にしたら5秒も経っていなかっただろうが、そのときは永遠に続く沈黙のように感じられた。

 Very hard, It was very hard of Gil's chart, so what I didn't care because of fantastic  music.

 正確には覚えていないが、マイルスは何事もなかったかのように、こんな言葉であとを引き継ぎ、そのままぼくの質問に答えつつ、ギルのアレンジについての特徴を語ってくれた。しかし、あのときはたしかに怒られたと思う。

 それにしても怖かった。だけど、絶体絶命の心境に陥りながらも、心の片隅では嬉しさもこみあげていた。マイルスから、有名な口癖のSo what? をいってもらえた。そんな日本人が何人いるだろう? こんな風に考えるぼくは、やっぱりマゾヒスティックな人間だろうか?

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 しかし、同じように感じていたひとをぼくは知っている。ハービー・ハンコックだ。彼もマイルスからSo what? といわれ、ちぢみあがった口だ。
「でも嬉しかったよね」
 感じることは同じなのだ。

 内山さん、写真いろいろ無断借用しました。ゴメンナサイ。でも、宣伝になるかも。
by jazz_ogawa | 2010-05-26 10:25 | 愛しのJazz Man | Trackback(1) | Comments(12)
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Tracked from IT起業研究所 ITIn.. at 2010-05-30 15:02
タイトル : マイルス・デイヴィスの命日を偲んで人間の魅力、器を思う
ジャズジャーリスト小川隆夫さんのブログや、FM番組Jazz Conversationの内容から、5月26日がマイルス・デイヴィスの命日だったことを知った。 今生きていれば84歳となるが、未だにジャズの世界では帝王であり続けているように見える。 私自身も、彼の演奏をiPodに入れ、朝夕の電車の中で楽しんでいる。 演奏もそうであるが、色々伝えられるキャラクタが強烈で、何かまばゆく光のようにも感じさせる。 遠く離れてもそのパーソナリティが強いため、距離を感じさせず強い存在感を与える...... more
Commented by moto at 2010-05-26 12:46 x
 "いつもの小川さん"こんにちは.
 Miles Davis の話題についてコメントを入れる時は、当時の小川さんのように、ボクも言葉を選んでしまいます.
 限りなく無に近いような知識しか持ち合わせていなかった数ヶ月前に、小川さんを知り、Miles を真剣に(・・・自分なりですが)聴くようになり、そして "マイルス・デイヴィスの真実" まで読んでみて、今頃になって Miles の人間としての魅力や、音楽の素晴らしさが、ほんの少しですがわかってきたように思えます・・・・・・今頃かい!って突っ込まれそうですが.
 そして、Miles という人間が結構好きになってきました.
 幸いなことに、彼が残してくれた音楽がたくさんありますので、ボクはそんな音楽だけでも十分です.
 今夜は感謝の意味を込めて、"So What" でも聴いてみます.
Commented by しげっち at 2010-05-26 20:27 x
僕が初めて買ったジャズのCDがマイルスのKIND OF BLUE。SO WHATから始まって以来すっかりジャズに魅せられました。僕も今夜はKIND OF BLUEを聴きながらマイルスのBirthdayを心で祝福します。
Commented by med_ical at 2010-05-27 06:45 x
小川さんを通じて、ブログや放送でマイルスの生き方を知りました。帝王で確固たる地位を築きながら、次々に新しい音楽に挑戦する姿や、人種などにこだわらない自由で進歩的な考え方に共感しました。
今見てみると、小僧で購入した「ジャズ楽屋噺」のサインは、2008.5.15でした。2年間も経っていたのですね。
小川さんが長生きされるようマイルスも天国から願っていると思います。
Commented by jazz_ogawa at 2010-05-27 09:10
motoさん、マイルスの魅力は底なしです。いまだに新発見がありますから。motoもドツボにはまりそうですね(笑)。
Commented by jazz_ogawa at 2010-05-27 09:14
しげっちさん、マイルスは本当に魅力的なひとでした。だからこそ時代の風雪に耐えられる素敵な音楽がたくさん残せたのでしょうね。
Commented by jazz_ogawa at 2010-05-27 09:15
med_icalさん、マイルスの魅力が少しでも伝えられているなら、これほどうれしいことはありません。今後もよろしく。
Commented by miki3998 at 2010-05-27 15:48
小川さんのゼミに何回かうかがっていますが、やはり印象深いエピソードを交えたお話は、マイルスが一番だと思います。
60歳ですか…、あと数年…私も迫力有る年の取り方がしたいですね。
Commented by jazz_ogawa at 2010-05-27 23:23
miki3998さん、マイルスはいろいろな意味で最高にかっこいいひとでした。そんなすごいひとと何度も話ができたことが夢のようです。その夢のような時間を、少しでも紹介できたらと思っています。
Commented by IT起業研究所代表小松仁 at 2010-05-30 15:09 x
小川さん、マイルスは、今生きていれば84歳になるんですね。未だにジャズの世界では帝王であり続けているように見えます。私自身も、彼の演奏をiPodに入れ、朝夕の電車の中で楽しんでいます。演奏もそうですが、色々伝えられるキャラクタが強烈で、何かまばゆく光のようにも感じさせてくれます。ところで、「ジャズ楽屋噺」に載っているレーザーディスクにまつわる話が、マイルスの人間らしい一面を覗かせてくれ、私のお気に入りです。
Commented by tkc at 2010-05-30 18:31 x
リスナー抽選のFです。今日の放送もとてもすばらしいセレクトされたすべての局に、思い出がいっぱいでした。JAZZでTONIGHT、SUMMER TIME 涙が出るほどうれしかった。
Commented by jazz_ogawa at 2010-05-30 23:23
小松さん、マイルスの演奏は初期のころも末期のころもまったく色あせないですね。同じ時代にこんなにすごいひとがいたことに、なんともいえない気持ちを覚えます。
Commented by jazz_ogawa at 2010-05-30 23:25
tkcさん、昨日はありがとうございました。あんな感じでテキトーにやっています。今日の放送も楽しんでいただけたようで嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
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