数日前に「ブルーノート東京」でマンハッタン・トランスファーのステージを観てきました。彼らのライヴは何度目になるのかしら? 初来日のときから観てますし、「ブルーノート東京」に出るときはほとんど毎回行っています。ニューヨークの「ブルーノート」でも観ましたし、「カーネギー・ホール」で彼らのコーラスを聴いたこともあります。
ぼくは貧乏性なので、いまだにこれだけのグループが目の前で聴けること、それだけで感激してしまいます。だって昔は大きなホールで、それもステージからかなり距離のある席でしか観られなかったんですから。
「ブルーノート東京」は音もいいですし、ニューヨークの「ブルーノート」と違ってとてもリラックスしてパフォーマンスを楽しむことができます。今回は少し遅れて店に行ったため、後方にあるバーのところで観させてもらいました。先日の「コットン・クラブ」と同じで、通常の席よりこちらのほうが観やすいです。もろ正面ですし、ステージまでの距離もそれほどありませんから。
いつ聴いてもマンハッタン・トランスファーは素晴らしいですね。それぞれが個性的な4人による完璧なハーモニー。サーヴィス精神旺盛ですから、最後までまったく飽きることなく楽しめました。
新作の『チック・コリア ソングブック』が半年ほど前に出たこともあり、今回はその中からも何曲か披露してくれました。中盤でティム・ハウザーが歌った「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」もよかったです。最後に歌われたお決まりの「バードランド」では、やっぱり気分が高揚しました。
活動歴が長いですから、メンバーもかなりの年齢になっています。それゆえの円熟味も醸し出されて、大人のコーラスが以前にも増して魅力的になってきたマンハッタン・トランスファー。10年後の彼らはどうなっているんでしょう? そんなことをフト思ったりもします。きっと今回のように元気いっぱい、それでいてさらにしっとりした円熟味あるコーラスを聴かせてくれているんじゃないかしら。
彼らに限りませんが、先の楽しみを考えさせてくれるグループやアーティストがいるっていいですよね。なんでも好きになっちゃうので、ぼくにはそういうひとがたくさんいます。
今週はボブ・ディランのライヴにも行きます。中学や高校のころにむさぼり聴いたディラン。そのときは40年以上先の姿なんか考えてみたこともなかったです。そんな発想自体なかったですから。でも、この年になってこういう体験ができるのも音楽好きだからこそのものでしょう。
マンハッタン・トランスファーだって1970年代の半ばごろから聴いているんですから、かれこれ40年近くになります。長いキャリアを経ていまに至る──しかもいまだ最前線に位置しているアーティストの音楽に触れることで、ぼくはいろいろな何かを感じます。これ、まったく個人的な感覚ですが、こういう喜びも格別ですね。