タイトルの字数がオーバーするのでCBOと書きましたが、カウント・ベイシー・オーケストラのことです。昨日「サントリー・ホール」で観てきました。本業の都合で会場に着いたのは7時半ごろ。そういうわけで途中からの鑑賞になりました。
今回は、来日公演のプロモーションというか前宣伝のために、プロモーターからベイシーが大好きな高島忠夫さん一家のインタヴューを昨年頼まれたこともあって、いつもの来日より親しみを感じていました。
御大のベイシーはとっくにこの世を去り、現在のリーダーであるビル・ヒューズは5代目くらいのリーダーでしょうか。ベイシー・オーケストラ伝統のスイング感とブルース・フィーリング、そして迫力満点のブラス・アンサンブル。それにお馴染みのレパートリーの数々。ジャズの最前線に位置している音楽とは違いますが、こういう一種の古典芸能は名人による落語を耳にするようで、ときどき聴いてみたくなります。
理屈はいりません。音楽に身を任せて体でリズムを取ることの心地よさ。そんなことを存分に味わえたコンサートでした。「サントリー・ホール」の音響もよかったです。上品なホールでたまにはジャズを聴いてみるのもいいですね。
ベイシー・オーケストラといえば、20年くらい前ですがマンハッタン島を一周するクルーズで聴いたときも極上の気分が味わえました。デッキをダンス・ホールに見立て、夏の夜の摩天楼を眺めながらの3時間。後半はビル群がなくなるので景観はゼロみたいなものでしたが、ニューヨークでジャズを聴く喜びの最たるひとつを味わうことができました。これもぼくの人生の中で贅沢をしたひとつです(金額はたいしたことないですけど)。
ベイシー・オーケストラはこれからもずっと存続していくんでしょうね。御大が生きていた時代に残されたスコアを、いまではベイシーを知らない若いミュージシャンも加えて演奏する時代になっています。ジャズの普遍性。そんなことにも思いがいたりました。でもそれを考えていたらベイシーの音楽に浸ることができません。ですからそのことは頭から締め出し、昨日は存分にベイシー・サウンドに酔いしれてきました。
(写真提供:ハーモニージャパン株式会社)