本題に入る前に書いておきますが、最後にお知らせがありますのでそちらもよろしく。
さて、このブログでも紹介しましたが、昨日はベーシストのチンさんこと鈴木良雄さんのデビュー40周年を祝うコンサートに行ってきました。出演したのは、野力奏一、山本剛、イサオ ササキ、秋吉敏子さん(出演順)の4人。彼らがチンさんと4曲ずつデュエットで演奏する趣向です。
「紀尾井ホール」はアコースティックの響きがとてもよいクラシックのコンサート会場として知られています。いつも音色を大切にするチンさんにとって、4人のアコースティック・ピアニストと1対1で演奏するには最高の舞台です。当然PAは使いません。
最初こそピアノとベースのバランスが少々ちぐはぐでしたが、こちらの耳もやがて慣れ、またプレイヤーもそのあたりのことは承知の上でしょうからバランスの調整をして、いつの間にか彼らが奏でる音楽の世界へとさまよい込んでいました。休憩を挟んで心地のよい2時間半。美しい響きの音楽とジャズの楽しさ、それからあたたかいチンさんの人柄に接することができた極上の一晩でした。
チンさんと知り合って25年以上。ぼくは彼が本格的にデビューした渡辺貞夫カルテット時代から好きなベーシストとして聴いてきましたから、それからだと41年。そのときからずっといいベーシストだと思ってきました。
それで昨年発表したデビュー40周年記念アルバム『My Dear Pianists』のライヴ・ヴァージョンが今回のコンサートです。800人ほど入る会場は満員の盛況。ひとごとながら嬉しかったです。派手なことなどいっさいしないチンさんですから、この日も少々照れながら、タイプがまったく違う4人のピアニストと楽しそうに、それでいて真剣勝負そのものの演奏を聴かせてくれました。
野力さんとのデュオで演奏された「マイ・ディア・フレンズ」。チンさんの友人(故人)に捧げられたこの演奏を聴きながら、思わずほろりとしていました。友人とはチンさんの同級生で、マネージャーをしていたひとのことです。
チンさんがニューヨークから日本に活動拠点を移してしばらく経ったころのこと。彼から連絡をもらい、チンさんのことでいろいろな話をしました。そのときの彼の熱意や心に描いている夢のことなどを思い出しました。以来ぼくも彼と親しくお付き合いをさせてもらいました。志し半ばにして逝ってしまった彼の無念。そして、チンさんと同じであの優しい人柄。そんなことを思い出していたら、思わず泣けてきました。
改めて思うのは、チンさんの人柄のよさです。その人柄に惚れて多くのひとが集まり、その結果がこのコンサートに集約されていたんじゃないでしょうか。ぼくは勝手にそう思い、勝手に胸を熱くしていました。
勝手といえば、トシコさんとのデュオで演奏された「ウイングス」。ぼくの会社ウイングスはこの曲の美しさに胸を打たれて名づけたものです。ですから社歌ならぬ社曲と勝手に決めています。
アンコールもチンさんらしい楽しいものでした。ひとりでステージに登場し、ブルースのウォーキングを始めたチンさん。そこにまず野力さんが入り、ササキさん、ヤマちゃん、トシコさんと続きます。トシコさんが弾いているうしろで3人のピアニストがこのあとはどうしよう? といった風情で立っている姿も微笑ましかったです。
終演後、ぼくが出るより先にチンさんはロビーにいて、CDにサインしていました。長蛇の列でしたから大変だったと思います。そこにも誠実な人柄がうかがえ、最後の最後までぼくは心地のいい時間を味わわせてもらいました。
【リクエスト大募集】
それで冒頭に書いた件ですが、「Jazz Conversation」からお知らせがひとつあります。来る2月21日の放送では、午後5時台の1時間を「オール・リクエスト」特集とすることにしました。ひと枠が30分では語り尽くせないっていうわけじゃありませんが、たまにはふたつの枠を飛び越える1時間枠も作ってみようかな、ということです。そこでみなさんからリクエストを募集します。番組のメールjazz@interfm.jpまで奮ってご応募ください。
ただし、とてつもなく妙なものは無理ですよ。なにしろ使えるのはぼくが持っているCDかLPですから。それからコメントも書いてください。でないと、代わりにぼくが話すことになって、いつものようにダラダラいってしまいますから。質問も大歓迎です。プレゼントも考えておきます。放送が聴けないひともよろしく。その場合は、このブログか番組ブログで「リクエストに応えました」と報告します。