
先週ですが、久しぶりにジョージィ・フェイムのステージを観てきました。元祖モッズのこのひと、いまではモッズの片鱗もなく、いい感じの枯れ方をしています。長男のギターと次男のドラムス、そしてお父さんがハモンドで弾き語りのファミリー・バンドでした。

なにせジョージィ・フェイムといえば、ぼくが憧れるスインギン・シクスティーズの代表格のひとり。あのころはザ・フーかスモール・フェイセズかジョージィ・フェイムのブレー・フレイムズかといったところで、度胸がなかったからさすがにファッションは真似しなかったですが、彼らの音楽は割と好きでしたね。
でもザ・フーやスモール・フェイセズなんて当時の同級生で聴いていたひとはいたのかしら? ビートルズやストーンズの影に隠れて日陰者でしたから。ましてやブルー・フレイムズなんて日本ではほとんど知られていなかったでしょうね。

ぼくだって、たまたま輸入盤を手に入れただけで、それでなければ存在すら知らなかったと思います。それもジャズに興味を持ち始め、オルガンのサウンドも好きになっていた時期なので、引っかかっただけの話です。
このひと、実にユニークな音楽性の持ち主で、ファッツ・ドミノ、ロイ・プライス、ルイ・ジョーダン、ジミー・スミス、ブッカーT、キング・プレジャー、レイ・チャールズ、ペギー・リー、ジェームス・ムーディ、ドクター・ジョンなど、さまざまなタイプの音楽性が顔を出します。
こういう雑食がぼくは大好きなので、聴いていてもいろいろと謎解きをしているような楽しさを覚えます。でもサーヴィス精神旺盛なのか、ネタをばらしながら曲を紹介しちゃうので、そこの部分だけ耳をふさいでいたいような気分で、それでも1時間強のステージ、おおいに楽しみました。
そういえば、最近ベン・シドランはどうしているんだろう? ブルーノートのレコードにも詳しく、ひところは割りと親しくさせてもらっていました。彼のレーベルからもジョージィ・フェイムはアルバムを発表していましたね。

シドランと組むようになったころから軽妙洒脱な弾き語りにいっそうの渋さが加わるようになり、アメリカのベン・シドランかイギリスのジョージィ・フェイムかといった感じでジャジーでポップな歌と演奏をたくさん聴かせてくれましたっけ。
元を正せばこのふたり、モーズ・アリソンとかボブ・ドローあたりが出発点でしょうか。こういう系統のひとたちも大好きなので、ジョージィ・フェイムがいまもマイ・ペースで、そのマイ・ペースぶりにもさらに磨きがかかったステージが観れたことに、豊かな気分を味わわせてもらった一夜です。