
昨日はサリナ・ジョーンズのコンサートを恵比寿にある「THE GARDEN HALL」で観てきました。今回は彼女といくつかの楽しい出来事もあり、ぼくにとって思い出深い来日になりました。
サリナが来日したのは21日のことです。その翌日ですが、1月に彼女とアレンジャーのキース・マンスフィールドさんが結婚したことを祝って、恵比寿の「筑紫楼」で内輪の食事会がありました。どうしてぼくが呼ばれたのかわかりませんが、総勢16名程度の楽しい食事会になりました。

サリナはとっても幸せそうで、最初に挨拶をしたときに、「これからはミセス・マンスフィールドと呼んでね」なんてジョークをいっていました。食事中も、たまたまBGM(有線)で流れていたジャズを聴きながら、ふたりして「これはスタン・ゲッツだ」、「いや違う」みたいなことをずっといっていて、わからなくなるとぼくに振られるのでちょっと閉口しましたが(笑)。で、そのときの正解はバド・シャンク。そう答えたぼくの株がキースの中でちょっと上がったみたいです。
でも、そういうところがふたりの優しさだと思いました。そうやってぼくにも気を遣ってくれるんですね。こちらがお祝いしなくちゃいけない立場なのに、この思いやり。嬉しいです。
出席していたひとの中には、今回バック・バンドのリーダーを務めるミッキー吉野さんと奥様もいました。ミッキーさんとは初対面でしたが、ぼくは熱狂的なカップス・ファンだったので、お話できただけで光栄でした。
彼らもいいひとだなぁと思ったのは、サリナとキースがBGMについて「ああだ」、「こうだ」といっているときに、携帯で有線放送のWEBに行き、それが誰の演奏なのかをぼくたちに教えようと、一所懸命チェックしていたことです。
翌日からは3日間リハーサルということで、7時半スタートの食事会は10時でお開き。今回は大阪と東京だけの公演なのにリハーサルに3日間かけるのはプロモーターの熱意の賜物でしょう。とかく利益優先の世の中で、こういうバックアップをしてくれるプロモーターがいるのは素晴らしいと思います。

そしてオフの日曜日には、NHK-FM用のインタヴューということで、お昼過ぎにスタジオまで来てくれました。これは8月に放送予定の「真夏の夜の偉人たち」の素材録りです。
「3回目の今年はサリナでいく」

番組のプロデューサーが去年からこう決めていたので、昨年サリナがプロモーションで来日したときにした約束がここで実現しました。気さくなひとがらの彼女はシンガーとして成功するまでにものすごい苦労をしています。そういう時代のことや、好きなシンガーについて、さらには大好物のラーメンのことなど、話は尽きません。その模様は放送日をお楽しみに。

それで昨日のコンサートです。満員のお客さんを前に登場したサリナは、昨年出した新作『LOVE & INSPIRATION』からの曲も含めて、ポップなナンバーを中心に歌ってくれました。

右がご主人のキース・マンスフィールドさん。例の食事会の話がきっかけで、彼はぼくを「バド・シャンク」、ぼくは彼を「スタン・ゲッツ」と呼びます。
サリナは40年ほど前にイギリスに移ったのですが、最初に訪ねた音楽事務所の階段ですれ違い、ひと目惚れしたのがキースでした。しかし当時の彼は結婚していたので、彼女はずっと自分の思いを心の中だけに閉じ込めておいたそうです。
キースはその後に、ロバート・プラント(!)、トム・ジョーンズ、ダスティ・スプリングフィールド、ジョージィ・フェイムといったひとに曲やアレンジを提供して大成功を収めます。
そしてサリナは、といえばその後もずっとキースのことが忘れられず、片思いのままでした。35年間ふたりは会わずにいたのですが、彼女が開いたあるコンサートで再会。そして独身となっていたキースと今年ついに結婚したのです。まるで映画のようでしょ。
そんな裏話を知っていたので、昨日のコンサートで歌われた「追憶」では思わず目頭を熱くしてしまいました。そのほかにも、「ジェシー」とか「エヴリシング・マスト・チェンジ」とか「君の友達」とか、すべてがサリナの人生とオーヴァーラップしてしまい、個人的に大きな感動を覚えた一夜になりました。

これはコンサート終了後にミッキー吉野さんと写した写真です。チャンスがあったら彼ともいろいろお話がしたいですね。
それで、サリナとキースとは7月にまた会いましょうといって別れました。夏のフェスティヴァルに出るみたいです。きっといまごろはイギリスに向かう飛行機の中でしょう。