前回 、デザインのお祭りNYCxDESIGNが開催中とお伝えし、ふと思い出した重要な情報を1つ。今、密かにアメリカで、デザイン界注目の最先端テクノロジーの「3Dプリンティング」を活用して、「人工器官」(prosthetics、義手等のこと)作りにスーパー革命的なムーブメントが起こってるんですよー。その中心になってるのが民間NPOの
Enabling The Future 。
このNPOは、病気や事故などで手や腕を失った子ども達のために、ごく基本的な知識と機材があれば、3Dプリンティングを使って誰でもお手軽に製作できる義手の
作り方 や
様々タイプのデザイン (CADデータとか)等々の情報を公式サイトで大公開。
通常、1つ数万ドル(数百万円)ものお金がかかるのが当たり前だった義手を、
なんと単純な材料費分の僅か20~50ドル(2~5千円)で作れる ようにしてしまったのです!!!
子ども達は、みんな半年や1年で大きく成長しますから、たとえ手や腕がなくて不自由だったとしても自分にピッタリの義手をつけられる子なんてこれまで殆どいなかったんです。そりゃ、そうですよね。よっぽど裕福な家庭の子でもなきゃ、そんなにしょっちゅう何百万円もする義手を買い換えられませんもの。それが、これなら僅か20~50ドル!!! そりゃもう、関係者の間ではとてつもない大反響に。
この活動への賛同者や協力者が続出。インターネットを通じて、Enabling The Futureの公式サイトには世界中からアクセスが集まり、より優れた義手のアイデアやデザインもインターネット経由で寄せらているのだとか。
まぁ、でもそれだけ反響がでるのも当然でしょう。手や腕を失った子ども達や、その家族やご友人や先生などその子ども達を見守る方々にとっては、単純に子ども達が義手をつけられて便利ってだけの話じゃないでしょうから。
これまで手や腕がないことで、子ども達が黙って抱え込んできた心の負担や傷は、この義手によって少なからず緩和されることに。
例えば、にきび1つできても思い悩む思春期の女の子にとって、このことがどれほどのことなのか、どんなに嬉しいことなのか、これまでどんな悲しみを背負ってきたのか想像もつきません。
義手をつけてもらった子ども達の心からの笑顔に胸を打たれない人はいないでしょう。笑顔の後、涙を流す子も少なくありません。その姿を見守るお母さんやお父さんも、そんな子ども達と一緒になって笑って泣いて。「母親にとって子どもの幸せほど嬉しいことはありません」とインタビューに応じるお母さんも…。
それと気になったのが、ボランティアで協力する技術者の方々。
今、最先端テクノロジーの3DプリンティングやCADを使いこなせるのは、やっぱり、たいてい理系でオタクっぽい方だったりするんです。
どっちかとうと内気で人見知り。普段は研究室内とか仲間内とのお仕事が主流で、あまり他人と関わらない方も少なくないかも。
そんな技術者の方々が、どういう経緯でそうなったのか不明ですが、この活動に協力し、めっちゃ真剣に、オタク気質のせいか、たぶん、本業よりも真剣に、子ども達のための義手をつくってくれてるんです。お金を一切もらえないボランティア活動なのに。この手の技術者の方々って、案外、こういう活動大好きなのかもしれません。そしてやっぱり、そんな技術者の方々も素敵な笑顔を見せて、子ども達と共に笑って泣いて…。
日本では、まだ殆ど知られていないかもしれませんが、こういう活動って本当に素晴らしいですよね。あと、小学校や中学校、高校とかでも授業などでこの活動を紹介したら、たぶん、3Dプリンティングに真剣に興味を持ったり、理系を目指す子が増える気もします。
以下、ご参考まで。最後の公式動画(A Year Of e-NABLING The Future - 2014)は泣いても大丈夫なところで見た方がよいでしょう。
幼い少女の手に e-NABLE hand 義手が必要な世界中の子ども達を笑顔に
VIDEO
A Year Of e-NABLING The Future - 2014〔ご参考〕
・
http://enablingthefuture.org :公式
この活動は、インターネットや3Dプリンティングなどの最先端テクノロジーが世の中をより良い方向へ導いた非常に分かりやすい実例の1つとも言えるでしょう。あと、公式サイト上の有益な情報やリソースはすべて英語ですので、日本人にとっては英語を勉強すべき理由にも。
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