

上の写真は、昨年11月に10年以上ものリニューアル工事を経てオープンした、新しい地下鉄フルトン・ストリート駅、
『フルトン・センター』(Fulton Center)。太陽光を地下まで導く、めちゃめちゃ高い天井と、巨大な吹き抜け空間が特徴です。ここまで極端じゃなくても、高層ビルが立ち並び、摩天楼などと呼ばれるニューヨークには、高い天井や大きな吹き抜けを持つビルがいっぱい・・・。でも、なんで人間は、高い天井や吹き抜けの空間が好きなんでしょう???

たぶん、多くの方々が、天井が高い方が「なんとなく、気持ちがいいから」などと感覚的な理由くらいしか思いつかないこの疑問に、応用心理学の分野から科学的な答えが示されました。
被験者に、高い天井と低い天井の部屋の写真(どちらも開放的、閉塞的な2種類、計200枚)を見せ、生きている人間の脳内を観察できるfMRIを使って、被験者の脳内の活動を観察したところ、なんと
『天井が高い部屋を人間の脳は「美しい」と感じやすい』との結論になったというのです。高い天井(High Ceiling)の方が「なんとなく、気持ちがいいから」っていう感覚的、主観的なお話じゃなくて、どうやらそもそも人間の脳の一部が、高い天井だとより活発に活動するように、そういうふうにできているっていうんですよ。へぇー。本能みたいなものでしょうかね。皆さん、ご存知でしたか?
その他、開放的(Open)な空間の方が閉鎖的(Enclosed)な空間よりも人間の脳は「美しい」と感じやすいそうです。
詳しくは、最近、公開された
Journal of Environmental Psychologyに掲載された論文、「建築デザインと脳:天井の高さから受ける美の判断と近づくか避けるかの決断への影響」(
Architectural design and the brain: Effects of ceiling height and perceived enclosure on beauty judgments and approach-avoidance decisions)をご覧ください。

また、この発見を受けまして、すでに近年、科学的な実験を経て証明されてるものとあわせて、高い天井の効果をまとめた
ニュースにも。
例えば、
高い天井には、被験者の思考を、より自由で、創造的で、抽象概念を考えられるようにする・・・などの効果とか。しかも、右写真のように、照明の高さを変えるだけでも同様の効果があるんですって?! これくらいなら日常生活に取り入れられそう。詳細は、"
The Influence of Ceiling Height: The Effect of Priming on the Type of Processing People Use"参照。
ニューヨークでは年がら年中、いろんなところから新しいアイデアがボンボン飛び出してきますが、高い天井や巨大な吹き抜けのある高層ビルや巨大建築がやたらに多いということとも何か関係あるのかもしれません。逆に言うと、何か新しいアイデアを考えださなきゃいけない時は、高い天井のある場所に行くと良いのかも?
以下、関連資料やデータなどご参考まで。
今回の実験で使った写真の例
高い天井と低い天井の部屋の写真
(開放的、閉塞的な2種類、計200枚)
天井が高い部屋を人間の脳は「美しい」と感じやすい
開放的な部屋も「美しい」と感じやすい〔ご参考〕
・
Why Our Brains Love High Ceilings[Co.Design-Mar 5, 2015]
・「建築デザインと脳:天井の高さから受ける美の判断と近づくか避けるかの決断への影響」
(
Architectural design and the brain: Effects of ceiling height and perceived enclosure on beauty judgments and approach-avoidance decisions)
確かに、前回お伝えしたメトロポリタン美術館ほかニューヨークにある大きな美術館や博物館、あるいはミュージカルの劇場など、高い天井や巨大な吹き抜けがある空間を訪れると、思考や感覚が自由に開放される気がしますけど、あれ、気のせいじゃなくて、本当に脳内で変化が起こってたんですね。ほほぉー。
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