ニューヨーク生まれで、今や世界一のソーシャルファンディング・サイトである「キックスターター」(Kickstarter)。うちのブログでは、これまで関連情報や話題をいくつも取り上げきましたが、2014年最初の注目の話題はコレ。プログラミングを学べる子ども向けの絵本とワークブックの出版費の寄付を呼びかけた
「ハロー・ルビー」(”Hello Ruby”)のプロジェクト。
NY在住の笑顔の可愛いLinda Liukasさんが呼びかけた1万ドル(1ドル=100円換算で100万円)の寄付に対して、集まったお金は380,747ドル!!! つまり、3800万円超!? すごーい。
なんでこのプロジェクトはこんなに成功したのでしょう?
NYを中心とした社会貢献意識の高まりや、Lindaさんが地元NYからのチャレンジだったことなどいろいろと理由は考えられます。
でも、一番大きいのは、近年、アメリカでプログラミングへの必要性が高まっていることや、プログラミングそのものに対する意識の変化、などの強力な追い風があったからでしょうね。今のアメリカ人(特にこういうキックスターターで寄付するような方々)の意識にこのプロジェクトはちょうどマッチしているような気がします。
以前から、このブログで時折お伝えしているものだけでも:
■
突如、アメリカでプログラミング教育促進運動が拡大?! Code.org[2013-03-02]
■
NYの中高20校でソフトウェア・エンジニアリングの試験プログラム開始へ[2013-03-01]
■
アフリカン・アメリカン女子向けIT起業家養成プログラム Black Girls CODE[2013-01-15]
■
ニューヨークの高校生のためのIT起業家養成プログラム、NYC Generation Tech[2012-10-28]
■
NY版シリコン・バレー、コーネル大の巨大ハイテク・キャンパスの続報[2012-10-17]
■
ニューヨークで女子高生のためのIT起業家養成プログラム、Girls Who Code始動へ[2012-06-28]
・・・などと、近年のアメリカでは、急速にIT特にプログラミングに関する教育の必要性が広く認識されるようになってきているんです。
でも、日本ではこうした話題はほとんど報道されることはありません。
たまに専門家の方々や業界関連企業のブログなどで取り上げられることはありますが、米国社会の状況や米国文化について理解が不足したままニュースや情報の表面だけかじって、日本語で脚色しがち。原文の本来の主旨や、実際の米国社会の認識から微妙にズレた(あるいは根本的にズレた)ものも・・・。例えば、最近の例だと
「Facebook元役員「プログラミングを学ぶのなら、生涯仕事に困らないことを私が保証しよう。」 とか・・・。Code.orgを取り上げてるんですけど、米国社会の認識を踏まえるとズレてる箇所(余計に危機感を煽ってる印象の箇所)が結構あります。
長くなるので詳しい指摘は省きますが、ヒントは「CSSを書くの大好きなBoshさん」。CSSとはカスケードスタイルシート。これも、プログラミングと言えばまぁそうですけど、ある程度ブログやってれば誰でもできます。また、子どもでも遊びながらプログラミングを学べるような環境に・・・ってのがCode.orgの大きなミッションで、つまりこれも「誰でもできる」がキーワード。要するに、原文や米国の実際の認識は、余計に危機感や不安を煽るんじゃなくて、「誰でもできるよー」という、もっとポジティブで楽しいものなんです。
で、だからこの「ハロー・ルビー」のような絵本の企画が誕生し、そこにみんなから寄付が集まるというわけなんですけどね。
〔ご参考〕
・
www.helloruby.com:公式
・
https://www.kickstarter.com/projects/lindaliukas/hello-ruby:キックスターターのプロジェクト(今年2月22日に完了済み)
まったく報じられないよりも報じられた方が良いには良いと思いますが、米国では明るく、楽しく、ポジティブで、明るい未来を創造する社会や意識の変化であっても、日本へ伝わるとなぜか危機感や不安を煽る内容になっちゃうことが時折あったりします。特定分野の専門家の方々も、米国情報を取り上げる時はご専門分野だけじゃなくてもう少し広く米国社会や文化について理解を深めながら考えてみた方が、もっと良い結果につながる気がします。
※コメント欄にはログインが必要です。お手数をおかけしますが、ExciteホームでID登録しブログトップでブログを開設してからログインください。既に登録済みの方はそのままご利用頂けます。
「人気blogランキング」