歴史的にも、建物の規模的にも、グランド・セントラル・ターミナルはニューヨークを代表するランドマークの1つです。完成はもう100年近く前になる1913年です。
ちょっと歴史を振り返ってみます。マンハッタンに初めて鉄道が走ったのは1831年。終着駅は4番街の23丁目でした。煙と騒音の問題から1871年にレキシントンとマディソン・アベニューの42~48丁目間にこの駅は移転したのですが、その際作った56~96丁目まで続く地下トンネル設備等に不備があり、1902年1月、煙を原因とする死者17名、重軽傷者28名の大惨事を招いてしまいます。この事故がきっかけとなって電力鉄道の導入と新しい駅の建設が決まり、その後、10年の歳月をかけて完成したのがこのグランド・セントラル・ターミナル。完成式典に集まった人の数、15万人!順調に駅とその周辺地域は発展を続け、1947年には年間利用者は6,500万人に達します。これは当時のアメリカ全体の人口の4割にも達するというからスゴイですね。
しかし、その後、自動車が登場したことで鉄道を利用する人が減ったため鉄道会社の経営は悪化の一途。保有していた駅周辺の土地、さらには駅そのものを売却することに!再開発目的のディベロッパーは、この建物を壊して新しいビルを建設することを提案しますが、歴史的文化財の保護を訴えるNYの市民団体からの抵抗にあい、訴訟に突入。10年近い年月をかけて争われた裁判は1978年、米国最高裁による判決「グランド・セントラル・ターミナルはニューヨークの歴史的建造物として保護される」により決着します。なんと、この駅は米国最高裁にも認められる歴史的建造物なのです。それと、1976年にグランド・セントラル・ターミナルはアメリカのNational Historic Landmarkへの指定も受けてます。
そんなわけで各所からお墨付きの貴重な建物なのですが、でも、訴訟に勝っても鉄道利用者が増えるわけじゃありませんから、その後、どんどん駅は老朽化し、広大な駅構内では治安が悪化(ニューヨーク全体がそういう時代でした)していきました。70~80年代には『忘れられたランドマーク』と呼ばれる存在になってたほど。そんな背景もあって観光スポットとしては、つい最近までそれほど注目されてなかったのですね。
この状況が変わったのは、1994年にMTAが長期の駅利用リース契約を締結した後に開始した大規模改修工事があってからのこと。1998年の10月にリノベーションは完了してますが、現在でもあちこちちょこちょこ改修しています。構内には、有名なオイスターバーだけではなく、イタリアン・レストランやマイケル・ジョーダンのステーキ屋さんなどもでき、小さなパン屋さんや雑貨屋さんとか、可愛いお店も増えてます。見所は巨大な中央のホール(この写真です)。天井には星座が描かれています。普通のカメラでは1枚では絶対に全部入らないのですが、ここはあきらめず全体を何枚にも分けて撮るという技を使ってみてください。あとで写真をつなぎ合わせると、ご覧のような写真になります。ちょっとモダンアートっぽくないですか?ニューヨークっぽい写真を記念に残したい方には、オススメの写真スポットです。
〔ご参考〕
これまでご紹介したニューヨーク「オススメ写真スポット」
(1)
SOHO編
(2)
グリニッジ・ビレッジ編
どもどもぉ~♪ホントはオススメ写真スポット(その3)として紹介しようと思ったんですけど、写真のパワーに負けまけないようにちょっとマジメにご説明してみました。
おかげでグランド・セントラル・ターミナルの歴史に詳しくなりましたよぉ~。
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