健康に良い
蜂蜜ドリンクは「緑茶」入り 、お洒落な子供服屋のショーウィンドウの赤ちゃん用よだれかけには
「I Love お寿司」 、特別仕様の
クッキーの型は「忍者」 、お洒落な女の子の足には
「漢字」のタトゥー ・・・。 どれも最近このブログでご紹介したニューヨークの街角風景の一場面。すべて別々、まったく無関係なワンシーンですが、これらに共通することがあります。さて、それはいったい何でしょう?
そうです、日本の文化です。緑茶、寿司、忍者、漢字タトゥー、どれも「日本の・・・」とは説明されてませんが、その背景、つまり、メタファー(暗喩)が『日本』とか『日本文化』なのは明らか。うーむ。すごい。
実は、アメリカでは、
メタファーは、消費者心理の奥深く「無意識レベル」にまで届く、最強のマーケティング手法 として研究されていたりします。世界で初めて心理学をマーケティングに導入したコカ・コーラ以降、様々な論文や書籍も出てるほど。近年もハーバード大学教授のGerald Zaltman博士が"
Marketing Metaphoria "で・・・、ってコトバで説明しはじめると難しくなり過ぎちゃうので、今回は、メタファーをうまく使ってるCMを2つご紹介します。
1つ目は自動車タイヤのミシュランのCM。海上を赤ちゃんとぬいぐるみが乗ったタイヤがプカプカ漂っていくと、曇り空が青空に・・・・ってだけ。
タイヤがタイヤとして使われてません。でも、赤ちゃんとぬいぐるみを守る
安全、安心な乗り物 というメタファーがこのCMを見た人の無意識へ・・・。
2つ目はビールのバドワイザーの有名な"What's up?"と叫ぶCM。別々の家にいる友達が電話をかけて"What's up?"。それ以外は何もありません。
でも、電話でつながってる別々の場所にいる友達同士は、なぜか全員バドワイザーを飲んでる。つまり、
親しい友人との友情はバドワイザーでつながってる ・・・というメタファー。どちらもそのメッセージをコトバに出して視聴者の意識に伝えるよりも、メタファーとして無意識に伝える方が効果が高いという分析結果(いわゆるサイコアナリシス)に基づいて、こういう仕上がりになってるんです。
なんかちょっと怖い・・・? でも、メタファー・マーケティングってのは、単純にCM1つからだけじゃなくて、それまでに築き上げてきた評判やイメージからの影響も、視聴者は理屈抜きで受けてしまう(=無意識レベルで受けてしまう)ので、実は、ほとんど悪用できません。無意識に届くメタファーの印象を良くするには、結局、日々の小さな努力の積み重ねが重要って話になります。
こういうメタファー・マーケティングの効果や原理について分かってくると、冒頭にご紹介した「日本」や「日本文化」が「ポジティブで好ましいイメージ」のメタファーとして、まったく別々の関係ない場面で、結構頻繁に使われてすっかり定着しているってのは、興味深い現象ですよね。
以下、2つのCM例のビデオつけときます。
■ミシュランCM
VIDEO
■バドワイザーCM
VIDEO
〔関連ログ〕
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すっかりアメリカに定着したお寿司のポジティブ・イメージ
・
英系ブランド、スーパードライ(Superdry)が日本のイメージ向上に貢献?
日本や日本文化のイメージ、あるいは、メタファーって、ニューヨークではよく見かけます。でも、だからと言って、誰か特定の人物とか団体が、影で動いて仕掛けてるってわけじゃありません。だって、あまりに多くてそんなの不可能ですから。そうじゃなくて、やっぱり、日本から海外へ発信される情報の1つ1つとか、こちらに住んでるまたは訪れる日本人の一人一人が積み重ねていった小さな言動の結果として、自然にこういう現象になってるのでしょう。
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