Miracle on the Hudson(ハドソン川の奇跡)。新年早々、ニューヨークに新しい伝説が生まれました。1月15日午後、ラガーディア空港から離陸したUS Airways1549便は、複数の渡り鳥の衝突によりジェット・エンジンの1つが停止。150名を超える乗客乗員を乗せたまま、1人の死者も深刻な怪我人も出さずに、高度3200 ft(= 975.4 m)からハドソン川へ緊急着陸。
高速で降りてくるジャンボ・ジェットを滑走路以外の場所に緊急着陸させるのは極めて難しいのだそうです。フライパン上のホットケーキのように完全に水平な状態を保つ必要があって、少しでもそのバランスを崩すと、速度×機体の重さ分の衝撃によって機体は簡単に粉々に・・・。過去、世界中で同様の緊急着陸はありましたが、たくさんの死者が出たり、機体が粉々になったケースも残念ながら少なくはありません。
この極限のプレッシャーの中で、チェスレイ・B・サレンバーガー機長(Capt. Chesley Sullenberger)は乗客に対し非常に落ち着いた口調で、「小さなお子さんはしっかりと抱きしめてあげてください」など、緊急着陸に備えるよう説明。不時着後も、残された乗客がいないか最後まで機内を2度見回るなど、史上稀に見る完璧な危機対応を行いました。
事故調査委員会の調査中ということもあって肝心の機長はまだメディアに1度も登場してませんが、助かった乗客は「ぜひ、機長に直接会ってお礼をしたい」と口々に感謝の言葉。
ブルーンバーグ市長も記者会見を開き市から名誉市民的な賞をお贈りすると発表。もちろん、地元メディアもこの奇跡を大絶賛。Access Hollywoodという主にハリウッド・スターの動向など、芸能ニュースを伝えるテレビ番組までが、『この奇跡を映画化するとしたら主人公を演じるのは?』というアンケートを実施するほどの盛り上がりとなってます(ちなみに、ハリソン・フォードがダントツで支持されてます)。
それにしても、このサレンバーガー機長は本当に神様が遣わした天使かもしれません。コロラド州の空軍士官学校(United States Air Force Academy:B.S., Psychology-心理学専攻)を卒業後、1973年から80年までアメリカ空軍の戦闘機(F-4)のパイロットとなり、その後、軍関係組織やNASAなどの航空安全調査コンサルタントを勤めつつ(そのためにSafety Reliability Methods, Inc.という自分の会社も作ってます)、US Airwaysで30年ほど機長をされているんですよ。つまり、航空事故危機管理のプロ中のプロってわけ。
"Miracle on the Hudson"というフレーズが飛び交っている中、昔からサレンバーガー機長を知る友人の方はこう話しています。「さすがだと思いました。でも驚きはしません。今回たまたま注目されることになりましたが、彼はずっとずっと昔から私たちのヒーローです。」
仕事に対するプロ意識や志の高さもまた、このお話が注目を集める大きな要因になっている気がします。また、たまたま近くにいた観光用の遊覧船とかがお客さんを乗せたまま救助に向かったり、素晴らしいエピソードが続々と報じられていて、新年早々1月に素晴らしいヒーローの話題って、なんだか良いですね。2007年に「英雄たちの週」(”Week of Heroes”)なんていう話題をご紹介したのを思い出しました。
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