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1 ![]() 9月1日、発行の「婦人画報」の特集は、 「教えたくなる宿50」。 各界の旅上手のみなさんが、 思わずみんなに教えたくなるとっておきの宿50件を大公開です。 わたしもその中で、大好きなニッポンの宿を4件ほど、紹介しています。 その中の一軒に、編集者の方が取材に行かれたようですが、 「とてもよかったです。本当に素敵な宿でした!」とのお言葉。 こうやって編集者や、読者の方に喜んでいただけるのが何よりシアワセ。 それにしても、他の旅通のみなさんのとっておきの宿を眺めていると、 日本には本当に魅力あふれる宿&リゾートが多いのだなぁ、と感じます。 50軒。 いつかはわたしもすべて訪れてみたいものです。 凛とした季節の秋。 美味しい旬の味覚も登場し、夏の厳しい日射しで疲れた肌を癒す美湯も心地よい。 秋は日本を楽しむのが、お似合いですね。
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by naoko_terada
| 2008-08-30 22:50
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![]() ![]() 軽井沢でもうひとつ、 今回、初めて訪れて感動したのが、ホテルブレストンコート。 ここも星野リゾートが運営するホテルです。 こちらの、メインダイニング「ノーワンズ・レシピ」での浜田統之・総料理長のクリエイトするフランス料理のすばらしさにしびれてしまいました。 もう、完全にノックアウトです。 浜田シェフはまだ、若干33歳の若さ。 でも、2004年、フランス料理界において最も権威のある「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」日本大会にて史上最年少優勝。続く2005年に、フランス・リヨンで開催された世界大会に日本代表として出場という若き逸材です。 夏のメニューをいただきましたが、 これがもう彼のイメージそのままに、フレッシュで、誠実な料理ばかり。 正統派フランス料理の基本に忠実に、軽井沢や信州の新鮮な食材の滋味を活かしたメニューは見た目もうるわしく、ひとつひとつの香り、歯ごたえ、味を際立たせつつ完璧なバランスで一流のフレンチに仕上げています。 今後、経験を重ねていけば、より熟成した存在感も表現されていくことでしょう。 そのポテンシャルの高さを、ひと皿ごとに実感。 こうやって書いていても、あのときの感動がよみがえってきそう。 本当に楽しみな、料理界の若きホープです。 そして、それにあわせて楽しいのが、ソムリエ厳選の信州・小布施のワイン。 日本のワインのすばらしさはこのところ聞いていましたが、こちらも驚きの味わい。 決してワイン醸造に向いた環境ではない日本ですが、 パッションを持った生産者たちの努力がこうやっておいしいワインとなって楽しめるのは、嬉しいことです。 ![]() ![]() 「ノーワンズ・レシピ」のもうひとつの魅力は、料金。 これだけのクオリティのフレンチが、東京よりもかなりお得感ある値段で味わえるのですから、見逃せません。1泊2食の宿泊プランにすれば朝食も付くのでさらにお得です。 スタイリッシュなデザイナーズ・コテージ、ジャクジー付きのヴィラ、ナチュラルな雰囲気のコテージなどリニューアルを施されたゲストルームも、一度は泊まってみたい魅力にあふれています。 実は今年、浜田シェフは「ル・テタンジェ料理賞コンクール・ジャポン」において、8名のファイナリストに選出されています。 このコンクールは、「ガストロノミーのエベレスト」と呼ばれるもので、前述の「ボキューズ・ドール」とあわせ、世界的に二つしかないフランス料理の国際コンクール。日本国内ではこの二つのコンクールを制覇したシェフは皆無。今回、浜田シェフはその栄誉をかけての挑戦となります。 すでに今月26日にファイナル実技審査が行なわれ、その結果が9月4日に発表される予定。 今から待ち遠しいものです。 ふたつのコンクールを制覇したら、きっと予約が取りにくくなる予感も。 気の早いわたしは、次はいつ行こうかと、思案中なのです。 ![]() あ、スイーツも美味ですよ♪
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by naoko_terada
| 2008-08-29 00:04
| ワイン&ダイン
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![]() ここ数日、あれだけ暑かった夏の勢いが薄れ、 秋の気配が風のにおいに、空の輝きの中にひそんでいるよう。 そんな東京よりも、ひと足早く秋の訪れを感じているのが、軽井沢。 2005年の開業以来、話題となっているのが「星のや 軽井沢」。 ![]() ![]() 実は母の故郷が長野・小諸。 1914年から営業を続けている星野温泉には、子供の頃に何度か行ったこともあり、 ちょっと懐かしい思いがあります。 でも、今回、初めて訪れてビックリ。 すっかりリゾートとして生まれ変わり、新しい日本の宿のスタンダードとホスピタリティを感じさせ、心からくつろがせていただきました。 客室はとても独創的。 今回は「水波の部屋」に滞在しましたが、個人的には、落ち着いた空間の2階にある「山路地の部屋」が好きかな。 艶っぽい軽井沢の緑が目の前に広がり、 まるで風景画のような山並みを愛でることができます。 家紋をアレンジしたパッケージを使ったアメニティもすてき。 こういうさり気ない「和」のテイストは大切にしたいですね。 ![]() ![]() メインダイニング「嘉助(かすけ)」は、デザイン性のあるレストラン。 大きく取られた窓の外には、棚田のようなあしらいの庭園の眺望。 四季おりおりの風情を感じさせる料理にも、細やかな愛情が注がれています。 また、誰でも利用できる温泉「トンボの湯」の隣には、 カジュアルなダイニング施設「村民食堂」も。 星野リゾートが作る、クラフトビール「よなよなエール」と共に野趣あふれるメニューが楽しめます。 客室や、ダイニング、ゲスト専用のライブラリーなど、リゾートのどこにいても、 美しい軽井沢の自然を感じさせてくれるのが、ここの魅力。 また、嬉しいのが、スタッフの自然体の接客。 ホテルのプロフェッショナリズムとは異なる、日本人ならではの思いやりと気配りのあるサービスは心温まります。 はにかんだ笑顔を見せてくれるのも、初々しい。 のびやかなムードが感じられるのは、きっと良いチームワークがあってのことでしょう。 ![]() ![]() ![]() 「星のや 軽井沢」に滞在したら、絶対、参加したいのがオプションのエコツアー。 まずは、手軽なところでネイチャーウォッチング。 インタープリターと呼ばれる自然環境、野生動植物の生態を熟知したスタッフが同行、彼らの解説を聞きながら、リゾート周辺を散策します。 自然界の壮大なライフサイクル、愛らしい動物たちの行動など、 ほんのちょっと知識を得ただけで、目の前に広がる森林が驚くほど饒舌にさまざまなことを語りかけてくる喜び。 とはいえ、「星のや」のすごいところは実は、見えない部分にあります。 「星のや」は、全消費エネルギーの約75%を自給自足する、エコリゾートです。 今や「ブーム」でもあるエコロジーですが、 星野温泉では、初代の高いこころざしのもと、なんと1929年に水力発電所を私財を投じて設営。それは今も、リゾートの敷地内でひっそりと、でもパワフルに活躍しています。エコを考慮した施設、オペレーションを行うホテルやリゾートは国内外に数多くありますが、これだけ背骨がしっかりと、ブレない姿勢で運営されるエコリゾートはなかなかありません。 敷地内にはこの水力発電所も含め、地熱を使ったエネルギー供給システムや、冷房の室外機からの排熱を回収した給湯・暖房装置などユニークで興味深い設備が点在。 専任スタッフには、これもまた豊富な知識と持続可能なリゾート運営に静かなるパッションを持ったM氏がいます。 最近は、工場見学などもちょっとした人気のよう。 温泉大国、日本の地熱エネルギーのポテンシャルは高く、こんなにシンプルなシステムがなんと多くのパワーを生み出すことか。 本当に感動します。 施設見学ツアーは現在、ありませんが、学者然としたM氏の解説を聞きながらのツアー、個人的にはぜひ、行ってもらいたいと思っています。 「星のや」は、海外からのお客も多く、 滞在中も、韓国人カップルが楽しげに「嘉助」の日本食ディナーを写真に撮ったりしながら味わっていました。 バイリンガルの従業員を配しているので、接客にも問題ありません。 外国人にも愛される、新しい日本のリゾートの魅力。 東京から新幹線でおよそ1時間で体感する、別世界。 「星のや 軽井沢」にはそれが、凝縮されています。
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by naoko_terada
| 2008-08-22 00:10
| トラベル
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![]() 海外旅行の際に、欠かさずに持っていくものがいくつかあります。 これもそのひとつ。 京都・上賀茂神社の「航空安全おまもり」です。 小ぶりのサイズで、空と雲のイメージでしょうかスカイブルー地に白地と金糸のアクセントが美しい。 で、何がマイ・フェイバリット(お気に入り)かというと。。。 ![]() これこれ、この後ろ側の飛行機のモチーフ。 めちゃくちゃキュートじゃないですか? 航空会社のアテンダント、添乗員さんなども愛用される方は多いというのも納得。 コチラでも、ちゃっかり紹介しております。 上賀茂神社は、京都最古の神社。 都の鬼門である北側を守るためにおよそ1300年前に建立されました。 金閣寺や清水寺などと並び、「古都京都の文化財」としてユネスコの世界遺産に登録されています。 ということで、このお守りのご利益は世界遺産レベル。 最強パワーの航空安全グッズだと信じております。
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by naoko_terada
| 2008-08-18 03:37
| マイ・フェイバリット
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![]() この日の葬儀のスケジュールでは、 午後4時前後に火が放たれ、その後の諸々の儀式を含め、夜10時にはすべてが終了予定でした。 ところがとんだ誤算が。 あまりにも重かったのです。 スヤサ氏の巨大なランブーが。 それまでは台車を使い、村人が引っぱっていました。 でも、最後にステージに乗せるために台車をはずして持ち上げようとしたら。 持ち上がらない。。。 全員がかけ声にあわせ力を込めますが、まったく、動きません。 ![]() いやぁ、ここからが本当に長かかったです。 もう修行というよりは苦行。 ランブーをかつぐ村人たちもなんだか緊張と興奮がさめてしまったようで、 急にいつものようなダラダラなバリニーズに戻ってしまっています。 さっきまでのいなせな態度とは大違い、モチベーション一切なし。 わたしも含め、大勢のギャラリーは待つこと3時間。 すでに場内は人で満杯、身動きすることも座ることもできない状態です。 太陽はすっかり西に傾き、夕暮れが近づいています。 葬儀が進行しないことにさすがにあせったのでしょうか。 やっと村人たちが丸太をランブーの下に敷いて押しはじめると、 おお!少しずつ動きだした。 あとはもうがむしゃらに力まかせ。 重いランブーがズンとステージに納まった瞬間、 ギャラリーから大歓声が。 でも、ねぎらいというよりは安堵の喜びでしょうね、これは。 本当に心からホッとしましたから、このとき。 すごいのはこの間、スヤサ氏の棺を持ったまま村人たちがじっと待機していたこと(上の画像の右端です)。 彼らは表情を変えることもなく、ただじっと目の前の光景を受け入れている。 このあたりがバリニーズのすごいところ。 彼らに比べて、まだまだわたしは修行が足りないようです。 ![]() やっとランブー1対がステージに納まり、 何ごともなかったかのように再び儀式が始まりました。 遺体がそれぞれのランブー内に移され、ステージのまわりを供物を持った家臣、村人たちが祈りながらまわっていきます。 やがて高僧があらわれ、ギャラリー全員に座るようにうながし、親族の最後の別れが行われます。 長い、最後の別れでした。 広大な火葬場に集う人々は静かにそれを見守ります。 空を見上げると、オレジン色の残照が雲に、美しく溶け込んでいる。 一瞬、しんとした静けさがわたしたちを包みました。 ![]() 永久の別れの後、 ナーガバンダがランブーの間に置かれます。 ナーガも一緒に焼かれ、魂を天界へと導きます。 ![]() 午後7時、夜の訪れにあわせるかのように、ランブーにゆっくりと火が放たれました。 ![]() ![]() ![]() ![]() 長い一日のすべては、このわずか数十分のために営まれたもの。 何ヶ月もかけて村人たちが作り上げたナーガもバデもランブーも、 あっという間に灰になっていきます。 今宵、炎に焼かれ、天界へと旅立っていった多くの魂も、 生まれ落ちた瞬間から、このときのために時を過ごし、人生を成就してきたのでしょう。 そして、わたしたちも。 この後、遺灰は家族の手で集められ、 小さなヤシの実の中に詰められて、サヌールの浜辺で海に流されたということです。 結局、遺族がウブドに戻ったのは、夜中の2時を過ぎていたようです。 バデも翌朝までには焼かれていました。 こうしてウブドの長い一日は、わたしたちに大きな記憶を刻みつけてゆっくりと終わりをつげたのでした。
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by naoko_terada
| 2008-08-17 05:09
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![]() さて、いよいよウブド王家専用の火葬場への出棺です。 王宮の外に出ると、ランブーも出番を待っています。 ここでわたしにはふたつの選択肢が。 ひとつはナーガバンダ、ランブー、バデについて火葬場に行くこと。 こうすれば葬送の撮影はできます。 でも、火葬場に着いたときには撮影のためのベストポジションを確保することはまず無理でしょう。 あるいは葬送の撮影はあきらめて、先に火葬場へ行き、場所取りをしておくこと。 わたしは後者を選びました。 あまり背が高くないわたしは行進と一緒でもおそらく、人込みの中ではいい写真は撮れないだろうとの判断です。 それにハイライトはやはり火葬の瞬間。 これをしっかりと記憶に焼きつけ、写真に残すことにしました。 ということで、 王宮を背にひたすらウブド市街の東に位置する火葬場へと歩いていく。 途中、前を見て絶句。 ![]() こんな光景はバリでは初めてです。 参加&見学客は20万人とも30万人もいわれています。 重さ11トンのバデやランブーは8000人ほどの村人有志たちがリレー形式でおよそ1キロの道程を運んでいきます。 バデは魂がこの世に戻ってこられないようにジグザグに進みます。 また、途中でナーガバンダが俗世とのつながりを断ち切るため、弓矢を放ちます。 周囲では踊りが舞い、水がまき散らされ、トランス状態の男性陣が声を荒げます。 ![]() 早くも始まった喧噪を逃れるように火葬場へ。 到着した頃は火葬のためのステージの周辺にもまだスペースがあり、スヤサ氏の遺影を持った関係者などがのんびりタバコをふかしたり、談笑したりしています。 わたしはステージをやや横から望む、石像の前というポイントをゲット。 ここからが試練のときです。 ![]() ![]() 1時間ほど炎天下で待ったでしょうか。 やっとチョコルダ・グデ・ラカ氏のランブーが到着。 ステージの上に置かれます。 さらに石像の前でじっと待つ。 真上でぎらつく太陽に肌がじりじりと灼けるよう。 バリには欠かせないSPF50のサンスクリーンを取り出し、たっぷりと顔、首すじ、うなじに塗る。そしてサングラスをかけ、持参の扇子で光をさえぎる。 日陰に移動できないための苦肉の策です。 なるべく身軽に、と思ったのでミネラルウォーターは持ってきていない。 人の心を見すかしたように、氷を入れたバケツにアクア、ジュース類を並べた物売りが火葬場内を歩きまわっています。 でも、どうせふっかけるのだから買ってあげない。 ![]() 修行のように暑く長い時間をじっとやり過ごします。 と、ワッという歓声の中、スヤサ氏のランブーとバデがなだれ込むように場内に入ってきました。 ![]() ![]() ステージの奥にバデがつけられると、村人に抱きかかえられてバデ内にいたスヤサ氏の遺族が出てきました。 深い哀しみの表情で崩れおれていく姿が痛々しい。 ![]() ![]() 時刻はまもなく午後の3時。 ますます気温が上がる中、遺体がランブーからゆっくりと運び出されます。
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by naoko_terada
| 2008-08-15 02:23
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![]() 朝食を軽くとり、同行の友人と王宮に戻ったのが10時頃。 この頃には王宮周辺は、火葬見学の人たちで身動きできないほどに。 当然、一帯は車両通行止めです。 今回、とてもラッキーだったのは、友人の知り合いが実はウブド王家の家系の方で、その名もチョコルダさん! 王家ゆかりのカーストにしか与えられない位の高い名字です。 そのチョコルダさんが王家の関係者と招待客のみで一般の見学者は立入り禁止の宮殿内に我々を入れてくれたのでした。 ということで、これから出てくる画像は一般の方は見られなかったものです。 宮殿内に入るとやはり混雑しています。 すでに遺体が安置されたナーガバンダの前では僧侶が祈り、そのまわりを3人の男女が聖水をまき、ほうきで浄めながらぐるぐると回っています。 しかし、おばちゃんがはおっているピンク&レッドのジャージ、かなりギャルっぽいものですがいいんですかね。服装は。 ![]() ![]() さらに奥に入っていくと。 いました、今回の葬儀の超VIPのご招待客の面々。 それにしても地位のある人間、裕福な人たちって特有のオーラを放っていますね。 初めてです。 インドネシアの人で「本物」のロレックスをしているのを見たのは。 おそらくバリ以外の島からも参列しているのでしょう。 中には極楽鳥(?)の羽飾りを頭につけている人もいます。 中央のふたりは、何やら密談でしょうか。 ![]() そんな感じでうろうろしていると、どうやら出棺の前の腹ごなしのよう。 みんなで食事をいただくことに。 ナシチャンプル、みかん、アクアの仕出し料理を順番に並んでいただき、宮殿内の空いている場所に腰掛けていただきます。 実はこれから8時間ちかく水を飲むこともできなくなるとは思いもよらず。 かなり奥深い宮殿内を観察しつつ、のんびりと味わいます。 ![]() ![]() 正午を過ぎた頃。 食事を終えた関係者の動きが急にあわただしくなってきました。 こちらもあわててナーガバンダの前へと戻ります。 すでに宮殿内には出棺のための有志の村人がぎっしり。 みな、今回の葬儀のためのパープル色のユニフォームを身につけています。 まずは、ナーガバンダが外に運び出されます。 そのままでは王宮の外に出せないので、上半身と尻尾がふたつに分けられます。 ![]() ![]() このナーガバンダの上半身を外に出すのがひと苦労。 ナーガバンダと祭壇があるのは王宮の中央部。 レゴンダンスなどが行われる割れ門の奥ですね。ナーガがあまりにも大きいのでこの割れ門を抜けることができないのです。 角度を変えて門を抜けようとするたびにメリメリと不吉な音が。 この辺、やっぱりあんまり考えていないのですね。 ![]() なんとかナーガバンダが外に出たところで、遺体を運び出します。 まず、最初に運ぶ出されたのが王家出身で昨年、90歳ほど(生年月日が不祥)で亡くなったデサ・ラカおばあちゃんの遺骨。 彼女はすでに一度、荼毘にふされています。 その後に同じくウブド王家出身で、警察署長を務めていたチョコルダ・グデ・ラカ氏の遺体が運び出されます。 ![]() そして、最後にウブド王家最長老だったスヤサ氏の立派な棺が ゆっくりと運びだされます。 スヤサ氏の最後の旅立ちを前に、ほんの少しでも棺を運びたい、触れたいと多くの手が棺に向かって差し出されます。 かつげなかった者は、それでも棺にかかる白い布の端をぎゅっとつかんでいる。 ![]() ウブドの村の人々に抱かれたまま、 スヤサ氏の棺は26.5mのバデの高みと運ばれていきます。
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by naoko_terada
| 2008-08-13 02:02
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![]() しばし、ウブド王宮内の撮影をさせていただき、静かに退出。 手招きをして中に入ることを許してくれた、古老はもうそこにはいませんでした。 あの老人はもしかすると、スヤサ氏だったのでは? そんなことを考えつつ、外へ。 時刻は朝の5時。 そのまま王宮横の通りを進んでいくと、 今回、共に火葬される68人の村人たちがまつられる一角があり、 昨晩からずっと寝ずに付き添う家族たちの姿が。 しばらくすると、僧侶の祈りにあわせ儀式が始まりました。 祈りの言葉と共に、家族は一斉に故人の遺影に向かって静かに合掌をくり返す。 ![]() その後、彼らは飾っていた供え物を抱え、村の火葬場へと一斉に移動を始めました。 実は、68人の遺体はすでに一度、土葬から掘り起こされ火葬にされています。 この日、正式な儀式を受けることによって無事、天界へと旅立つことができるのです。 数百人はいたでしょうか。 ガムランの演奏もなく、無言で夜明け前のウブドを火葬場に向かって進む人々の行進は胸を打つものがあります。 彼らの後ろをそっとついて行きます。 ![]() ![]() ![]() ウブド村の火葬場は、王宮からラヤ・ウブド通りをチャンプアン橋のほうに歩いて10分ほどの坂の上にありました。 これから行われるのは、ニュカッ・カランNyukat Karangと呼ばれる儀式。 火葬を行う位置を決めるための白線をひく行為です。 合図のもと、真っ白な一本のひもが手渡され、それを「サトゥ、ドゥア、ティガ(1、2、3)」のかけ声にあわせて地上にパンと打ちつける。 昼から行われる火葬はすべてこの中で行われるようです。 まるで、現世とを分ける結界(けっかい)のよう。 それが終わると、しばし僧侶の祈りがあり、儀式は終了。 供え物はすべて置き去り、家族はいったんウブドへと戻ります。 ![]() ![]() ![]() ![]() 再び王宮前に着いた頃は、朝の7時頃。 周囲は明るく、バイクや人の往来も激しくなってきています。 いつものウブドの風景ですが、 スヤサ氏のバデが驚くほどの高さでそびえています。 やっぱりこうやって見ると、圧倒的な大きさです。 王宮横では、道路脇の街路樹の切り倒しが行われている最中。 今までにない巨大なバデとランブーが王家の火葬場まで練り歩くため、邪魔な木を切り倒しているのです。 その後、電線もカットされ、ウブド一帯は葬儀終了まで停電に。 こういうところがバリはすごいですね。 なによりも宗教儀式が優先されるのですから。 次の儀式は10時頃からなので、わたしも一度、ホテルに戻ることに。 火葬場にいた数時間でかなり、重い気分になっていたのでリフレッシュが必要です。 明るくなったモンキー・フォレスト通りを歩いていると、 途中、サッカー場の広場で村人のためのランブーとバデの準備が。 カーストによってランブーは牛ではない場合もあるそうで、さまざまな姿のランブーが出番を待っています。 どれもすべて村人の手作り。 それもあと数時間で一瞬のうちに焼き尽くされます。 ホテルへ戻り、まずはスタッフに頼んで浄めの塩をもらう。 肩、足元に、さらにカメラと三脚にも塩をひとふり。 これで少し、気持ちがスッキリしてきたよう。 シャワーを浴び、 気持ちを切り替えて、いよいよこれからが葬儀のハイライトです。
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by naoko_terada
| 2008-08-09 04:37
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![]() 7月15日。 ウブド王家の火葬の当日。 朝4時に起き、ひとり、まだ暗いモンキーフォレスト通りを歩いて王宮へ。 バリ人女性の正装、クバヤを身に付けてはいるものの、 肩には愛すべき我がニコンD80と、三脚。 周囲はまだ、夜明け前の空気。 昼間よりもかなり強気なノラ犬たちが、我がもの顔でうろついている。 バイクに乗ったバリニーズがときおり、通り過ぎるだけ。 とても長い一日を目前に、今まで見たことのない静けさに包まれたウブドです。 王宮につくと、数は少ないものの、関係者が掃除をしたりと準備をしている様子。 部外者はどうやら、わたしだけ。 出棺は昼頃の予定なので、慌ただしさはありません。 バデやランブーもすでに完成し、おだやかに出番を待っています。 通常、レゴンダンスなどの舞踊が行われる場所までは王宮内は誰でも入れます。 その先は一般立入り禁止のはり紙が。 でも、本日の葬儀はその奥で行われるよう。 カメラ片手に中をそっとのぞいていると、 奥のイスに座っていた翁と目があう。 軽く、会釈をする。 すると、彼はすっと手招きをして「入れ」とうながす。 サロンのすそを跳ね上げて、石段をまたいで王宮の奥座敷へ。 そこに、まばゆいばかりの黄金色で鎮座していたのが、ナーガ・バンダ。 龍神です。 このナーガ・バンダは通常の葬儀には使われません。 サトリアという最高位のカーストのひとつに属する人物で、かつ、 生前、コミュニティに対して尽力した功績がある場合にかぎり、使用されることが許される非常に貴重なもの。 まさしく、葬送されるウブド王家の長老、スヤサ氏にふさわしい。 今回の葬儀の中でも最も注目されるものです。 このナーガ・バンダに守られるよう、その奥に遺体が安置されています。 まず、両手をあわせて合掌。 それから写真を撮らせていただく。 ゆっくりと一枚、一枚を撮っていく。 デジタルというよりはフィルムで撮っていく感覚。 その間合いに、ひとりの人間の人生を思い、自分の生きていることを考えてみる。 亡き母のこと、父のこと。 姉、叔母、大切な人たち。 その時、ふと気がつく。 今日、東京はお盆。 きっと父は母たちを迎えるために、小さな迎え火を玄関前で焚くことだろう。 迷わずに、家族のもとへと帰ってこられるよう。 迎える人、見送る人。 その両方の気持ちを、一枚の写真にこめて。 ゆっくりとシャッターを切ってみる。
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by naoko_terada
| 2008-08-07 01:53
| トラベル
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![]() すっきりさわやかな北海道から、東京へ戻れば、じっとりとした連続の真夏日。 そんなときは、ここ。 そう、ホテルニューオータニです。 昨年、最新の耐震性能の強化をはかりつつ、全面ガラス張りの外観にリフレッシュ。 先日、空港へ向かうリムジンで高速を通った際も、 このスタイリッシュなガラス張りの外観に気がつき、だいぶ雰囲気が変わったものだと思っていたところでした。 実は、これ高性能ペアガラスを使用して今までよりも紫外線、熱伝導率を約50%もカットというすぐれもの。 冷暖房効果も高める、優秀なエコガラスなのであります。 さらに、最新空調システムや屋上緑化などを行い、ホテルニューオータニではリニューアル前にくらべて28%ほど、CO2排出量を実現しています。 偉いです! ゲストであれば、8月中に行われる「エコロジー施設見学ツアー」などの無料ツアーに参加することもできますので、ぜひ、ホテルの前向きな取り組みを体感してみてください。 ![]() そして、そのニューオータニの夏の風物詩、といえば・・・。 そう、都内最大級のリゾートプール「マイタイ MAITAI」。 ゲストでなくても利用でき、毎年、楽しみにされる方も多い、人気のスポットです。 ![]() そのマイタイに今年、登場したのが、カバナ。 海外のリゾートではおなじみの、プールサイドのラグジュアリーなテント風プライベートスペースがカバナ。 一流リゾートではここを使うことがステイタスでもあるほど。 見て、見られるための社交スポットでもあります。 そのカバナが1棟、限定でニューオータニに。 国内では、初めての本格的なカバナの誕生です。 ![]() ![]() かなり広いスペースに、ベッド、デスク、デイベッドなどが落ち着いた雰囲気で配置。 デザインを、同ホテルのエグゼクティブフロア「ZEN」を手がけた京都のインテリアデザイナー、柴田嘉夫氏が担当されているため、ZENのゲストルームと似通ったスタイル。 たっぷりとドレープを効かせた、涼しげなレースの天井がロマンチックです。 利用は最大2名で、 バスローブ、バスタオル、ビーチサンダルに加えて、ワイヤレスインターネット接続、シャンパンを含むフリードリンクなどのサービスが受けられます。 カバナの外には専用スペースに設けられたデイベッドも。 名物、1名1万円の「カメハメハ・シート」のお隣、 涼やかな樹木の木陰にあり、カバナの内部はひんやりと冷房が効き、 リゾート気分たっぷりながら、やすらかな空間にうとうとと、まどろんでしまいそう。 驚くのが、利用料金。 10~19時の利用で、1棟、なんと6万円! これとは別にプールの入場料がかかります。 そして、さらに驚くのが、利用するゲストがかなりいらっしゃること。 海外リゾートでカバナを楽しんでいる、旅慣れたゲストの方の利用が多いそうです。 こういうゴージャスな遊びかたができる、スマートさ。 かっこいいですね。 このカバナの誕生で、マイタイはより大人な空間になりました。 8月30日までは、ナイトタイムで22時までオープン(入場は21時まで)。 ジャズライブ、ハワイアンフラなどのイベントも行われるので、 平日、会社帰りに水着に着替え、 スプラッシュなアーバンリゾートを楽しむのも、熱帯の夜のおしゃれな過ごし方でしょう。 さて、この日。 わたしも優雅なカバナのゲストに、 となりたかったのですが、残念ながらこの日も予約で埋まっているとのこと。 ゴージャスなカバナ体験。 ご希望の方は、どうやら早めの予約が必要のようですよ。
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by naoko_terada
| 2008-08-01 22:35
| TOKYO HOTEL
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![]() 筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ![]() ![]() ツイッター ブログパーツ
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