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今回のバリ島への取材目的はふたつ。 ひとつは、この5年ほど続けているガイドブックのプロデュースのため。 そして、もうひとつが7月15日にウブドで行なわれる王家の公開火葬を見ること。 13日までにきっかり予定どおり、ガイドブック用取材を終え、 14日午前中には、一路ウブドへ。 すでに葬儀の準備で、ここひと月ほどウブドの王宮周辺は大渋滞の大混雑。 その理由は、今回の公開火葬が今までにない前代未聞の規模だから。 なくなったのはウブド王家の最長老、チョコルダ・グデ・アグン・スヤサ氏。 2月28日に長い闘病のすえ、67歳で他界。 彼の弔いに加えて、スヤサ氏の数日前に亡くなった、同じく王族のひとり、チョコルダ・グデ・ラカ氏と、昨年亡くなった王家出身の老女デサ・ラカさんのおふたりの葬儀も同時に行なうというから、 それはもう、大変な一大イベント。 数千人とも言われる関係者や見学客で15日当日、ウブドは大混雑になり、車の通行も禁止されることを見越して前日からウブド入りをしたというわけです。 真夜中にも葬儀の儀式があることから、モンキーフォレスト通りの老舗なごみ系ホテル、バロン・リゾート・アンド・スパを今回は滞在場所にチョイス。 ここからなら王宮まで歩いていける距離なので便利。 ホテルにチェックインする前に、まずは下見と、車でウブド王宮へ。 別名プリ・サレンと呼ばれるウブド王宮は、まさにウブドの中心に位置。通常は、毎晩、王宮内でレゴンダンスなどのバリ舞踊のパフォーマンスが行なわれ、観光スポットでもあります。 意外に知られていないのが、ゲストハウスでもあり、誰でも宿泊ができること。 部屋は値段相応に質素ですが、きらびやかな宮殿内での滞在はとても貴重な体験になります。 道路の向かいは、ウブドマーケット、人気のバビグリン(豚の丸焼き)の名店イブ・オカもすぐ目の前(今回の葬儀のため、イブ・オカは移転、自宅での仮営業。店の前に”自宅でやってます!”の看板が)。 常に、ウブドと共に暮らし、見守ってきたのがプリ・サレン。 その主の葬儀です。 ウブドの村人はもちろん、周辺の村の多くの人間がこの公開火葬の準備を無償で行なっていました。ここに、バリ人の強さと、団結力があります。 王宮に行くと、まず目についたのが巨大な山車のようなバデと呼ばれるタワー。 公式資料によると高さは26・5m。 これに棺を乗せ、15日当日、およそ7000人の村人によって王宮から約1キロ離れた王家の火葬場までを練り歩きます。 王家のみに許された九層の塔を頂点に、下には亀(ベダワン)、ナーガ(龍)、ガルーダなどバリ・ヒンドゥーの宇宙観をあらわすシンボルが極彩色にかたどられ、圧倒的な存在感を放っています。 これ、すべて村人たちによる手作りです。 10日ほど前にウブドに立ち寄ったときは、製作途中でしたが、この日にはすっかり完成品に仕上がっていました。 そして、市場側の王宮入口にはランブーと呼ばれる雄牛のフィギュア。 バリの火葬では、最後、この牛の内部に遺体を移し、そこに火を放ちます。 最も大きいのが長老スヤサ氏を乗せて天界へと向かうランブーです。 ちょうどわたしたちがいるときに、バデの上に九層の塔を取り付ける作業が始まりました。 これが、まあなんともアナログな人海戦術(笑)。 ジェットコースターのような手作りの足場から男性陣が塔をかつぎあげ、竹の棒を使って上へ上へと押し上げていく。 途中、竹の棒の長さが足りなくなりエクステンション。 危なっかしくありながらも、多くの見学客が下から見守る中、どうにか塔は頂点に。 やや傾いているのが(かなり)不安ですが、それも後で調整されていました。 すごいですバリニーズ。 こんなに働くバリの男性陣を見るのも初めてです(笑)。 ここでいったん、ホテルにチェックインし、 夕方、再び王宮を訪れることに。 この晩から、いよいよ火葬に向けての儀式が随時、行なわれていきます。
by naoko_terada
| 2008-07-21 18:45
| トラベル
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Comments(10)
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daniella
at 2008-07-21 23:59
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お風邪の具合はいかがですか ?
お写真を拝見して葬儀にジェットコースター?と私も思いました。笑 いつもお店の前に座り込んでグダグダしてるイメージの男性陣、 やる時はやるんですね~ !! 続きのレポートも楽しみにしています。
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pretty-bacchus at 2008-07-22 01:15
Birthday を祝福されてから、1年経ちました。
この間NTさんは経験・知識・人格と多く得られた。 益々のご発展をご祝福申します。 当方は格別の進歩は有りません。 日日 無事 之好日 です 今後も宜しく。
私もジェットコースターに目が釘付け。
このお祭り騒ぎに、移動遊園地が出来たのかと思ってしまいました。 それにしてもすごいですねー。 なんだか写真を見て説明を読んでいるだけで、ワクワクしてきちゃいます。 バリニーズ男性陣、こういうときのために力を温存していたんですね。 きっと、普段の働きより、こういうときに活躍できる人のほうが、バリでは認められるんでしょうねー。
お帰りなさいませ!
すごいですね。噂の火葬。 そうかー、私が行った時に男性陣があちこちでせっせと 作業していたのはこの一大イベントの為の準備だったのですね! うーん、納得です。 続きが楽しみです。^^ *イブ・オカの自宅営業には爆笑。。。
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naoko_terada at 2008-07-24 23:53
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naoko_terada at 2008-07-24 23:56
pretty-bucchusサマ
パリではなく、バリにいらしたことはおありですかー? きっと素敵な写真を撮られることでしょうね。 ヨーロッパとは異なる強烈な太陽の光と、熱帯の湿度がアジアの魅力でしょう。
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naoko_terada at 2008-07-24 23:57
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naoko_terada at 2008-07-24 23:59
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naoko_terada at 2008-07-25 00:02
izolaサマ
そちらもバリ&ウブドを満喫されたようです。 そう、izolaサンがいらした頃、トンカン作っていた諸々のパーツがあんなアップスケールなド迫力のバデやランブーになっておりました。 すごいです。 ホントに彼らの通過儀礼に対する熱意とパワーは。
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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