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![]() ![]() ![]() タヒチ。 これほど、甘美な響きを持った場所はないでしょう。 世界中のハネムーナー憧れのパラダイス。 世紀の美女、ニコール・キッドマンもハネムーンで訪れ、話題になったばかり。 一度は訪れたい、トップクラスのリゾートスポットです。 でも、わたしのタヒチの印象は、「終焉の地」。 なぜなら、わたしが最初に降りたったのは、水上リゾートが立ち並ぶボラボラ島でもモーレア島でもなく、マルケサス諸島。 そう、画家ゴーギャンが晩年を過ごし、今も眠る場所。 首都パペーテからは飛行機で3時間半。 距離にして1300kmも離れたフレンチポリネシア領最東端に近いマルケサス諸島は、その先は、はるかガラパゴス諸島までさえぎるものの一切ない、南太平洋の絶海の孤島群。 リーフに囲まれたボラボラなどの目もさめるような美しいブルーラグーンの代わりに、出迎えてくれるのは急峻な岩肌から落ち込んだダイナミックな海岸線とディープブルーの海。 ドラマチックな秘境の原風景が、タヒチの奥深さを教えてくれます。 そんなマルケサス諸島の中心が、ヒバオア島。 ゴーギャンが眠る共同墓地もここにあります。 わずか数軒の店舗が並ぶだけの村を望む高台。そこを車であがっていくと墓地へとたどりつきます。 正面には島の海岸線と、眼下に点在する村の家々。誰が置いたのか、ゴーギャンの墓の前には枝から無造作に手折ったプルメリアの花が。 波乱万丈とひとことで言うにはあまりにも激しい人生を送ったゴーギャン。 失意と貧困の中で死を迎えた彼ですが、牧歌的で平和な島の風景を眺めていると、この場所こそが彼の人生を物語っているように思えてきます。 故郷を遠く離れてはいるものの、100年以上経た今でも、彼の軌跡をたどるためはるばると訪れる人たちがいる。それほどまでに強烈な印象を人に与えるゴーギャンという生き方。 先日、ボストンへ行った際、ボストン美術館で見たのが、ゴーギャンが遺書がわりに描いたといわれる大作、 『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』。 ゴーギャンの大胆にして鮮やかな、でも、苦悩をにじませた作品を見ていると、マルケサスの陰影のある島影と深く濃い海の青さが目に浮かんできます。 現在、ゴーギャンのもうひとつの代表作『かぐわしき大地』が東京国立近代美術館で開催されている「モダン・パラダイス展」に出展されています。 こちらはタヒチ滞在初期のもので、豊穣と生命力あふれる美しい楽園が描かれています。 生と死を描き続けた、ゴーギャン。 いかに死ぬか、ということは、つまりはどう生きたか、ということ。 8月の終わりは、ふと、こんなことを考えさせる時期ですね。
by naoko_terada
| 2006-08-23 02:26
| トラベル
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Trackback(6)
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Comments(10)
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タイトル : 旅行
旅行に行きたいな~なんておもっています。 最近全然おもてに出てなくって、なんだか運動不足気味にもなっていまして。 ネットで検索していろいろと空想上で旅をするのも飽きちゃったし(笑) ・・・てなことで、旅行サイトでもつくっちゃおうかな。。。 国内だったら北海道がいいかも。 「札幌駅から程近い、個性派英国調ホテル。キラキラ日が差し込む吹き抜けの庭園、アンティークな調度品で統一された客室、インテリアへのこだわりが人気の秘密…」 いいよね~~~!!! ... more ![]() ![]()
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豊かな色彩で表現されるゴーギャンの作品群、素晴らしいですよね。
鮮やかさの中に独特の深さがあり・・・。 ボストン美術館でかの大作をご覧になったとは、羨ましいです。 まさに、宇宙のごとく広がる彼の脳内世界の究極の姿という感じ。 素敵な記事をありがとうございます。
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タヒチ 憧れの地の一つです。
ご掲出の絵、いま電車内広告に載ってますね。 ![]()
寺田さんの旅のテーマはいつも視点が定まっていて
深みがあって素敵ですね。 ボラボラ島でも、ゴーギャンが見た楽園を存分に感じることが できましたので、マルケサスはもっともっと感じるものがあるの でしょうね。 METで見た"Iaorana Maria"を思い出しました。
MKサマ
「本物はここにはひとつも残っていません」 タヒチのゴーギャン記念館の方が言っていましたが、そのとおり。 彼の作品はすべて海外にあります。 あの鮮やかで大胆な色彩は、タヒチでこそ見てみたいものだと思いました。
amamori120サマ
ご無沙汰しております。 お元気ですか? スイーツねたではないのにコメント残していただき、感謝です(笑)。 「モダン・パラダイス」展のポスター。 あの色調が目をひきますよね。 時間をつくって見に行きたいと思っているのですが・・・・。
daniellaサマ
コメントありがとうございます。 「イア・オラナ・マリア」はMETにあるのですね。 ご存知でしたか、あの絵の左側の女性ふたりのポーズはボロブドゥール寺院のレリーフの構図から用いられていること。 ゴーギャンは古代エジプトのフレスコ画や、日本の浮世絵などを参考に多くの作品を描いています。 興味深いですよね。 ![]()
寺田さん
お久しぶりな、コメントです。ご無沙汰でございます。 >いかに死ぬか、ということは、つまりはどう生きたか、ということ。 目標が定まらず、悶々としている時に、この表現に出会って考えさせられたこと覚えています。 毎日をしっかりと歩みたいものです。はい。
foojilyサマ
メルボルンはそろそろ春めいてきましたか? Ayaサンはお元気ですか? 東京は少し、秋めいてまいりました。 日々、きれいなココロで生きていきたいものです。 難しいですがね。 メル。 早く暖かくなるといいですね! ![]()
はじめまして、ななせと申します。
タヒチ・・・私の思いもタヒチの印象は、「終焉の地」だと思います。モルディブやニューカレドニアやフィジーとは違ったまたボラボラ、モーレアとはイメージの違うマルケサス諸島が私が一番にタヒチと言われて思う場所 画家ゴーギャンが生涯かけて愛した場所であり晩年を過ごしたマルケサス。そこに咲くそこだけに咲くティアレ、赤い花のティアレアペタヒその花を見に行くのが私の夢です。
ななせサマ
はじめまして。 マルケサスはとても男性的な島。 わたしのタヒチの印象をガラリと変えてくれました。 ティアレアペタヒは残念ながら見たことがありません。 ぜひ、いつの日か夢をかなえてください。
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ![]() ![]() ツイッター ブログパーツ
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