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新しい世界へ向かうために。バリ島、静寂のニュピに思う
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3月25日はインドネシア・バリ島の元旦であるニュピ(Nyepi)です。
インドネシアはイスラム国家ですが、バリ島はバリ・ヒンドゥーという独特の宗教観を持っています。たとえれば日本の八百万(やおよろず)の神の感覚に近いでしょうか。自然界など万物に神が宿るといった意識があります。

そのニュピですがウク歴とサカ暦というバリ・ヒンドゥー独特の暦を読み合わせて決まるため、毎年、日にちは異なります。今年は今月25日。毎年変わりますが、必ず新月となります。

ニュピの大きな特徴はバリ島全体が静寂に包まれることです。
一切の生産性のある行為は厳禁、観光客も含めバリにいる人たちはニュピの一日は終日、家の中にこもります。すごいのはニュピの日はデパートもレストランも一斉にクローズなのですが、なんと空港までも閉鎖。ガルーダなど国内線、国際線ともにすべてのエアラインは運航が停止されます。さすが、神々の島バリ。宗教行事のほうが経済活動よりも大事なわけです。

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私も今まで二度、ニュピの日に滞在した経験があります。
観光客の場合、バリ島での滞在は認められますが外出は禁止、ホテルやリゾートにこもることになります。ホテルやリゾート側も最低限の施設のみ営業をすることが許可され、そのためのスタッフもいます。ただ、ビーチ沿いのバーやオープンエアのレストランなど外部に見えるような場所はNG。宴会場を食事の会場にしたりと通常とは異なります。
最近はこもっていてもネットやゲームができたりするので、ニュピ限定でネット環境もシャットダウン。ただ、今年はコロナウイルス問題があるため緊急用にネット利用ができるそうです。

上の写真はウブドでニュピを体験したときのもの。外がどんな状況か滞在していたリゾートからこっそりのぞいてみました。ここには映っていないのですが、村の青年団のような人がパトロールをしていました。見つかるとめちゃくちゃ怒られるので、パシャリと一枚、誰もいないモンキーフォレスト通りを撮影して退散です。
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リゾート内の敷地はオープンエアでしたが、外部から隔離されているのでゲストは歩くことが許されていました。でも、誰もいない。普段ならゲストの笑い声や、遠くバイクの音や子供たちの遊ぶ声などが聞こえてくるのにそれも一切ない。不思議な感覚です。

そして、気づいたのです。
いつも涼やかな音をたてていたレセプション脇の噴水も音がしていないことに。そう、噴水も電動ポンプで動かしていたのでした。
熱帯の自然だと思っていた空間も、実は人工的な演出だったわけです。本来の自然な環境は、もっと繊細でひそやかなものなのだとニュピのこの日、教えられた気がしました。
人工的な音、環境にいかに慣れてしまっていたことか。
鳥の透き通る鳴き声の美しさ、足元に影を落とす熱帯の葉ずれのささやき、自分の歩く足音など。小さな、けれど饒舌に語り掛ける存在のなんと美しいことか。

そして、夜。
月の出ない漆黒の新月では、星々で埋めつくされた夜空は美しく荘厳にきらめきます。人口的な音がまったくない空間ではその存在感は増幅され、声にならないほどに圧巻です。

ニュピの静寂の一日を経て、バリ島では新しい一年が始まります。新月のニュピは再生の瞬間であり、それを私たちに教えてくれる日なのだと感じました。

現在、新型コロナウイルスが世界中でまん延、感染を防ぐため海外とのアクセスは遮断、外出禁止、営業停止などが各国で行われています。ものすごく不安です。でも、この未曾有の体験は私たちに何かを示唆し、どこか試されているようにも思えます。

自分と見つめあい、社会と共によりよき新しい世界を作る。
今、それが求められているのかもしれません。

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by naoko_terada | 2020-03-25 07:00 | その他 | Trackback | Comments(0)
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