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5月に訪れた里山十帖続きです。 すっきりと朝風呂をいただき、さて朝食です。 近くの山の湧水はお部屋、ラウンジにも用意されていますが、 朝食のテーブルにもステキなメッセージと一緒に置かれていました。 このときは春がやっと訪れた季節。 ということで、まず大ぶりの角皿に盛られた山菜が登場。 こごみ、ふきのとうなどねばり、苦味のある味わいが春を感じさせます。 シャクシャクと軽快に口の中で咀嚼、季節をいただきます。 ちなみにこの角皿をはじめ、使われているのは北前船で持ち込まれた伊万里とか。 日本海の寄港地だった新潟ならではのストーリーがこういった食器から伝わってきます。 これはお味噌汁の具材。 ザクザクと切られた野菜をテーブルに備えた小鍋に味噌を溶き、自分好みの味噌汁に仕上げます。 味噌もこちらの自家製。 そして、土鍋で炊き上げた熱々の白米は、もちろん新潟・魚沼産コシヒカリ。 その中でも宿のある「大沢」集落の源流部にあたる「大沢山」産のものを使用。魚沼の中でもと~っても美味しいと賞される地区のもの。 ハフハフと湯気をあげる炊きたての白米をほうばり、噛みしめる幸せ。 日本人に生まれてよかったと、心から思う瞬間です。お米の神さまと農家さんに感謝、感謝です。 前の晩は到着が遅く、夕食をスキップしたのでなおさら美味しく感じます。 おこげまでちゃんといただいて、あ~、満腹、満足。 たーっぷりと朝食を味わい尽くし、一度部屋へ。室内の露天風呂にさっと浸かり、二度寝、といきたいところですが、せっかくなのでお宿内を探検。 ピクトグラム風の案内もデザイン性があり、おしゃれ。 アンティークな箪笥、若手アーティストの作品などの新旧が違和感なく溶け込むラウンジのエントランス。 ゲストは誰でも利用できるラウンジには、写真集、雑誌などが置かれ、19〜22時には日本酒、ウイスキーなどの無料サービスがあります。 ゲストが他にいなかったので、お願いして空いている客室も見せていただきました。それぞれ個性があり、好みで選ぶと楽しそう。巻機山を望むマウンテンビューはもちろんですが、逆側の里山の森の景色も悪くない。ここにこもって仕事をするのもいいかな。 そうそう、今回、とても気に入ったのが滞在中の部屋着として用意されていたこのアウター。フェアトレード製品を扱う「ピープルツリー」の製品で軽くて温かく、肌触りも最高にすばらしい! スタッフのユニフォームもシンプルでとてもおしゃれだったのですがそれも既製品とのこと。オリジナルにこだわらなくてもどう組み合わせるかでセンスある空間、存在感が作れるということを教えてくれて感心しました。 そして最後、駅までの送迎の車を待つ間、レセプション脇の階段をとんとんと。 「小屋組み」と名づけられた隠れ家のようなラウンジ。 ヤコブセンのエッグチェア、柳宗理のバタフライスツール、イームズのCTWなどの名チェア、テーブルなどが贅沢に置かれています。どっしりと重厚な150年の古民家とがっぷり四つに組んだモダンさが秀逸。まさに温故知新。 みごとです。 ここにこもって、お気に入りの本でも読みながら過ごすのがなによりの贅沢でしょうが、そろそろチェックアウトの時間です。 宿に別れを告げ、車で送ってもらい10分。最寄りの大沢駅へ到着。 ここから越後湯沢まで電車に揺られてさらに10分、あとは新幹線で東京まで一直線。都内から伊豆あたりに行くのと変わらない距離感なのだとあらためて実感。 それでもこの田舎の風景は、はるか遠くの鄙びた里山の雰囲気を残していて郷愁をおぼえます。 ガタンゴトンと揺られながらの車窓の先には、最後に見送るかのように越後の山々。 スコーンと晴れあがった青空に凛々しく映えます。 そのふもとには水が張られはじめた田んぼ。 あたりまえのような里山の景色ですが、このとき、ほんの刹那的に愛おしく、大切に思えたのはそれを受け継ぐ里山十帖のような宿に滞在していたからかもしれません。 心の中で日本の美しき風景に感謝をしながら、 また、遊びに来ようと思ったのでした。
by naoko_terada
| 2014-08-05 21:35
| 日本
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ツイッター ブログパーツ
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