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![]() さまざまな出会い、ご縁をちょうだいした石巻から、向かうは気仙沼。 この4月の旅では、公共の交通機関のみを利用することにしていました。 東京にいて思ったのが、観光客として東北に行った際、どのあたりが復興中で、どこまでだったら地元の方のご迷惑にならずに気兼ねなく観光してまわれるのか。 そのあたりがよく見えていませんでした。 今回はそれを体感するのが大きな目的でした。 石巻駅からは、石巻線で前谷地(まえやち)まで。 そこから気仙沼線に乗り換えて、柳津(やないづ)へ。 柳津から気仙沼間は、現在も鉄道が復旧されていないため、BRTと呼ばれる代行バスで向かいます。 駅員さんにうかがうと、所要3時間ほど。料金は気仙沼まで1660円。 ![]() ホームに入ると、おお! さすが、石巻。 石ノ森章太郎マンガのヒーローたちが車輌にペイント。 かっこいいじゃありませんか。 ![]() 発車まで時間があったので、正面も撮影。 車掌さんが、画角に写りこまないように脇でわたしが撮影を終わるのを待っていてくれました。 ありがとうございます。 ![]() 午後3時を過ぎた時間帯もあったかもしれません。 車内は、このように数人の乗客がいるのみ。 石巻から前谷地までは20分ほど。 のどかな風景の中をゆっくりと走り抜けます。 ![]() 車窓からの風景を楽しんでいたら、あっとい間に前谷地到着。 ささっと、隣のホームに移動して、気仙沼線に乗り換えます。こちらは、地方路線らしいカラーリング。1輌での運行です。 ![]() ワンマン運転の列車は、田んぼや民家の横をゴトンゴトンと走ります。 ![]() 途中、こんな鉄橋も。 運転手さんの横に立ち正面から見る&撮れるのも、ローカル鉄道ならではののどかさ。鉄道との一体感が楽しい。 ![]() 前谷地から柳津までも20分ほどで到着です。 ここで、駅舎を出て、外で待っているBRTに乗り込みます。 そういえば、柳津という地名は福島、岐阜など各地にありますね。 「津」は昔の言葉で河岸、港、海辺といった意味を持っています。かつて、柳のゆれる水辺をさしてそう名付けたのでしょうか。個人的には名刹、福満虚空蔵菩薩がある福島・柳津が印象に残る好きな場所です。 ![]() さて、これがBRTです。 BRTとは、Bus Rapid Transitの略で、日本語にすると「バス高速輸送システム」。 現在、運休中の鉄道の代わりにこのバスが気仙沼までをつないでいます。あくまでも鉄道の代行なので、地元のミヤコーバスに運行委託をしてJRが営業。それで、JRの窓口できっぷを買うことができるわけです。 ![]() 昨年、運行開始をしたBRT。 特徴は、一部、以前の線路の上を舗装して走るというのもの。気仙沼線の全面開通が望まれるところですが、津波の被害が大きかった地区があり、当面はこの真っ赤なボディのBRTがライフラインとなります。 ところで、JR東日本では、このBRTと沿線の復興応援キャラクターの愛称を募集中です。 詳細は→コチラ。 締切は2013年7月12日までなので、ぜひ応募してみてください! ![]() 柳津でしばし、待ったあと、BRTが出発したのは午後4時過ぎ。 気仙沼まで約2時間のバスの旅です。 このときの乗客は私をいれて4人ほど。 ![]() カメラを片手に車窓の風景を見つめます。 実は、上の写真が気仙沼に到着するまでに撮った最後の写真となりました。 仙台、石巻でお世話になったみなさんから、石巻と気仙沼の間に広がる南三陸の海岸線は甚大な被害を受けた場所であり、復旧途中であることをうかがっていました。 その中で地元のみなさんによる、産地の名産品を販売する南三陸さんさん商店街、南三陸福興市、伊里前福幸商店街などがあることも聞いていました。 ささやかながら応援する気持ちで、写真撮影をしながら気仙沼まで行こうと思っていたのですが、あきらめました。 それは、BRTに途中から乗り込んできた子供たちがいたから。 ちょうど、下校時だったので、 しばらくすると中学生らしき制服を着た子供たちがたくさん乗り込んできました。 そのときの南三陸を記憶するということもあり、車窓から海岸線の写真を撮ろうと思っていたのですが、ふと、津波の被害を受けた故郷を無遠慮に撮るよそ者がいる、ということが彼らの気持ちを傷つけるのではないか。 そう、思ったのです。 しばらくすれば、どんどんバスを降りていくのだろうと思ったら、まったくその気配がない。 子供たちの多くが、山をいくつも越えて延々とBRTに揺られている現実に気づかされます。学校や家を失い、毎日、時間をかけて別の場所から通っているのでしょう。 そんな彼らがいるところで、写真を撮ることなど意味のないことに思えてきました。 普段は撮影しないときでも手元にカメラを持っているのですが、バックパックに、愛用のD5200をしまいこみました。 志津川、清水浜、歌津、陸前港...。 多くのものを失った南三陸の海岸線を、この目に焼きつけます。 かたわらでは、子供たちがたわいもない話をしていますが、ときおり津波や、避難という言葉が聞こえます。 新しくできた停留所に降り立った子供たちを車で迎えにきた親御さんが待っていました。 現在、暮らす場所は、ここからもまだ遠いのかと思うとやるせない。 ゆっくりと日が暮れて、気仙沼市に入ったころは、もうすっかり暗くなってきました。 桜の季節とはいえ4月の東北はまだ寒く、漆黒に染まっていく水平線を見ていたら心細くなる。 「あのとき」、東北のみなさんがどれだけ寒く、不安と恐怖で夜を過ごしたことか。そう思ったら不覚にも涙が出てきてしまった。 ![]() 小雨も降りだし、車のヘッドライトで濡れるような車窓から気仙沼駅が見えた頃には乗客もまた数人に。 時間は夜の7時近く。 普通ならば、タクシーをつかまえてホテルに向かうところですが、 ここで、私を待ってくれている人がいました。
by naoko_terada
| 2013-06-26 02:04
| 東北応援!
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筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ![]() ![]() ツイッター ブログパーツ
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