|
![]() にわかにブームとなってきたブータン。 なんと、政府観光局の日本語サイトもできました。 何度もブログや雑誌でも紹介してきましたが、マスターカードの社会貢献プログラムMasterCard Purchase with Purposeの取材で訪問したのが2010年。 その取材の際のハイライト、タクツァン僧院のことを書いていませんでした。。。 ブータンを紹介する記事には、必ずといっていいほど紹介される、 ブータン最大の聖地。 標高3000m級の急しゅんな山肌に張りつくようにたたずむ孤高の寺院。 仏教を伝えた高僧バドマサンババが建立したと伝えられます。 別名、タイガーズネスト。 パドマサンババがメスのトラの背中に乗って、ここへ来たからとの逸話が由来です。 この驚がくの僧院へたどり着くには、標高差900mの山道をひたすら登っていきます。 900mといっても、スタート地点がすでに2300mレベル。 ある程度、高所に順応してからの登山となります。 ![]() なだらかだったり、 時に急な石段になったりと、僧院への道のりはなかなかハードです。 それでも、暖かな日差しの中、信心深いブータンの方や、観光客の姿が。 ![]() ![]() 歩くのがイヤな人には、こんなサービスが。 でも、下山はキケンだからでしょう、登りオンリー。 仕事を終えてふもとに戻るロバたちは、足取りも軽く、 あっという間に駆け下りていきます。 ![]() 実は僧院への登山は二度目です。 前回、2007年(だったかな?)にプライベートで訪問した際に、登っているのです。 ただ、その際は僧院を眼下にのぞむ展望エリアまでで断念。 今回は、院内へ入りお参りをする予定です。 ロバのお世話にはもちろん、なりません(笑)。 頼りになるサポーターは、滞在するウマパロのアクティビティチームのふたり。 私の滞在中のガイドとして、ずっと帯同してくれました。 彼らのうしろの岩肌に僧院があるの、おわかりになりますか? 目指すはアソコ! 日々、地下鉄の階段を使って筋トレしている成果を見せなくちゃ! 所要3時間切りを目指します。 ![]() ![]() 登山って、あたりまえなんですが、本当に、一歩、一歩近づいていく作業なんですね。 このとき、学んだのは山登りはリズム、ということ。 右足、左足、右足と同じ歩幅で、リズムにのって歩くと疲れないし、ラク。 ところどころに、段差のある石段が出てくるのですが、 そこになるとリズムと歩調が乱れて、一気に足が重くなる。 ツラい、でも、ひとつずつ進んでいく達成感は気持ちいい。 空気は清涼さにあふれ、高地の太陽は痛いほどにまぶしい。 最高の登山びよりです。 ![]() ![]() 登り始めて2時間あたり。 やっと、前回のゴール地点、展望エリアまできました。 眼下にはパロ郊外の広がりが見渡せます。 おまいりにきたブータンのおばあちゃんも、さすがにこたえたのか しばしボー然とした様子。 その気持ち、よくわかります。 さて、もうひとがんばりしましょうか。 というところで問題発生。 実は、13:00~14:00は僧侶のランチタイムで、僧院内に入ることができないのです。 この時点で、13:00をわずかに過ぎてしまいました。 十分にそれまでにたどりつく予定だったのですが、 私の登りがゆっくりだったのと、途中で写真撮影などをしていたため間に合いませんでした。 さあ、どうしよう。 この日、ガイドと一緒にもうひとり、ホテルのスタッフも一緒でした。 白人の彼は早いスペースで歩き、展望台へで我々を待っていてくれました。 「残念、間に合わなかったですね。どうしますか?1時間待ちますか」 彼にそう聞かれて、しばし考える。 ここまで来て、寺院に入れないのでは前回と一緒。 ぜひ、僧院をおまいりしたいところ。 でも、午後からの取材アポもあるし、 何よりもホテルのスタッフを拘束して待たせることに心がひける。 特に先に待っていた彼は、 どうやらこの後の予定もあるようで、そろそろ下山したい様子。 やっぱり縁がないのかしら。 さらに考えてから、 「残念。でも、また来いという意味かも。ここで戻りましょう」 そう、わたしは彼らに伝える。 ![]() そう伝えたものの、名残惜しそうに僧院の写真を撮るわたしに、 ガイドのヤンキが話しかけてきた。 「ミス・ナオコ、これはあなたのツアーです。僧院まで行きたいのであれば待ちましょう。 中に入るための許可も取ってありますし、ブータン人として、ぜひ、このすばらしい僧院を見て帰ってもらいたいです。私たちのことは気にしないでください」 カンのいい彼女は、どうやらわたしの心を読んでいたようだ。 彼女の言葉で、揺らいでいた気持ちがふっきれる。 「わかった、待ちましょう」 ![]() ![]() ![]() 白人のホテルスタッフは、結局、先に下山。 我々だけが、僧院を目指すことに。 しかし、待とうといったことを思わず後悔したくなるほど。 ここからの石段のアップダウンがキツイ。 写真を見てわかるように対岩になる僧院へは、一度、峡谷の下へ降り、 そこから向こう側に渡り、最後の石段をのぼってたどり着くのだ。 石段がびっくりするくらい急だ。 歩き慣れているはずのブータン人でも、息が荒くなる。 ごうごうと流れる滝を抜け、 谷と谷を結ぶ、タルチョと呼ばれる経文が書かれた旗の下を一歩、一歩、進みます。 ![]() そして、ついに先ほどまでいた展望台を向こうに望む、僧院入口に到着! ずっと背後から受けていた太陽を、正面で受け止めます。 ![]() ゆっくり歩いてきても、まだ14時前。 入れるまで、崖のふちに座って持ってきたお茶とクッキーをいただきます。 ドスンと後ろで音がしたので、 ふりかえると、陽だまりの中で気持ちよさそうに眠る犬。 暖かくて、のどかで、目的を成し遂げた清々しさで、 ちょっと泣きそうになるくらいにシアワセな気分。 14時になり、僧院へ。 院内に入るには荷物をすべておいていきます。 撮影も不可。 たどりついた僧院内は、1998年の火災後に新しく建てられたものですが、 驚くほどに質素で、つつましやかなものでした。 堂内は、バターランプのほの暗い明かりにゆらぎ、 そこで僧侶に聖水をいただき、 五体投地で、手をあわせ、ひたいを床につけて祈ります。 一回、二回、三回。。。 ここまで連れてきてくれた、ヤンキをはじめ、すべての人たちに感謝。 すばらしい体験をさせてくれたあらゆるものに。 感謝が届くよう、祈る。 ![]()
by naoko_terada
| 2012-02-28 22:48
| トラベル
|
Trackback
|
Comments(0)
|
![]()
筆者のプロフィール
寺田直子(てらだなおこ)
トラベルジャーナリスト。旅歴30年。訪れた国は90ヶ国超え。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで紀行文、旅情報などを執筆。独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口には定評あり。日本の観光活性化にも尽力。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)」、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)、「フランスの美しい村を歩く」(東海教育研究所)など。 問い合わせメール happytraveldays@aol.com インスタグラム Happy Travel Days 寺田直子 ![]() ![]() ツイッター ブログパーツ
最新のコメント
最新のトラックバック
以前の記事
カテゴリ
全体 東北応援! 福島 熊本 トラベル ホテル&リゾート エアライン ワイン&ダイン 掲載メディア 日本 TOKYO HOTEL マイ・フェイバリット 伊豆大島 その他 トラベルTIPS 新型コロナ わたしのこと Hav Cafe 島ぐらし タグ
ファン
ブログジャンル
|
![]() |
||
![]() |
||
|
ファン申請 |
||