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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.31
装丁問答.31_c0009877_1457936.jpg

「あとん」2007年7月 vol.32に掲載された装丁問答です。左メニューにある「装丁問答イッキ読み」もお楽しみください。



装丁問答.31 術中にはまったプロのワザ

申し訳ないが店頭でこの本を「パッ」と見た時は、とりたてて大騒ぎする程のブックデザインではないと思っていた。横目で見ながら通り過ぎてしまったぐらいだ。『246』(沢木耕太郎・著、アートディレクション・緒方修一、デザイン・宮古美智代、イラストレーション・赤井稚佳、スイッチパブリッシング刊)という本なんだけど、良く良く見ているといくつかの魅力的なプロの技が見えてくる。

まず判型である。普通、エッセイ本の場合はスタンダードなのが4×6判と言われている188ミリ×128ミリのものが多い。ハンディであるという理由からだろう。『246』は初出誌が「スイッチ」という雑誌から出ているのでその判型に少々こだわりがあったのかもしれない。ソフトカヴァーになっているのも、その考え方なんだろう。あるいは彼の場合、雑誌、新聞の連載時は第一稿であり、本になって初めて決定稿になるという考えを持っているから、通常の仕事と一線を画するという強い意思があったものかと想像が出来る。日記風エッセイとなっているようにこの判型は市販の伝統的な日記帳で、気持ちが落ち着く判型なのかも知れない。この場合はハードカヴァーになってもおかしくない。もっとうがった考え方をすれば雑誌と同じく平台にならべ易く、棚差しにするにはしのびない判型とも言える。
装丁問答.31_c0009877_1456342.jpg

この判型を見ているとイラストであるとか写真であるとか(この著者の場合ご自身でも写真を撮られている)ヴィジュアルな表現をしたくなるもんだがあえてそれをしていない。『246』という表題をシンプルな作り文字で表現されている。この控え目なデザインが逆にしっかりとこの本のコンセプトをアピールしている。平台でのディスプレイが表題や判型をうまく生かし、文字のアピール度は抜群となっている。僕は思わずこの本を手に取ってしまった。手に取ってしまったというのが、アートディレクションの術中にはまったと言うことである。手に取ってからの術もちゃんと心得てある。紙の選択が良いので軽量で、めくり易い。表紙をめくると見返しに、本文中に出てくる数々の本・ちらしが赤井稚佳さんのイラストレーションで再現されている。このデザインがなかなかのもので、江戸時代の粋ものが羽織の表地より裏地に凝った様に、表紙のシンプルさと裏腹な色鮮やかなイラストレーションが見返しで効果を出している。大判の判型が生かされていると言うもんだ。

イラストレーションで思い出したが沢木さんの著作物のイラストレーション・デザインといえば小島武という天才イラストレーターをいつも思い出すのだが、最近の動向は定かでない。僕と桑沢デザイン研究所の同期なのでちょっと気になる。

それはさておき話しておきたかったのは、僕(K2)と沢木耕太郎とのお付合いがもうそろそろ40年近くになろうとしている事である。結構古い。まだ彼が横浜の大学生だったころ、何かの縁で黒田征太郎と一緒の仕事があり事務所に遊びに来ていた時期があった。丁度僕達の事務所K2をつくったころである。朴訥な好青年が黒田のところに「僕はルポルタージュ、ノンフィクション作家になりたいんです」と胸をはって訪ねて来た。「分った、そう言う事なら名刺を作ったるわ」「肩書きにノンフィクションライターとか何とか書いたら良えねん。明日から活動開始や」と愛情あふれる乱暴な答えを出した。即刻「長友、つくったてぇや」と僕に投げかけた。そこで名刺のデザインを僕が受け持ったという訳だ。それ以来、沢木耕太郎を見続け、読み続けている。既成の概念を壊して、前へ前へと進む姿は今も変わらない『246』を見て読んで口幅ったい、傲慢な言い方だが、ほんとうに嬉しい限りだ。
by k2-d | 2007-11-01 15:01 | 装丁問答
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