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長友啓典
Keisuke Nagatomo -------------------- 1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。 エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。 日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問 、東京造形大学客員教授 ![]() ![]() Translation to English -------------------- 装丁問答イッキ読み -------------------- ![]() 「PIKADON」 衣食住をテーマにイノチのことを考えます。 お友達ブログ 山村幸広さん 南川三治郎さん 勝手にロワイヤル!! 宮澤正明さん 貫場幸英さん お友達ホームページ 新正卓さん 以前の記事
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![]() 「あとん」2007年6月 vol.31に掲載された装丁問答です。 装丁問答.30 楽しげに日本語が飛び跳ねて 「ジャケ買い」と言うフレーズをご存知かと思います。ジャケットのデザインを見て購入動機を喚起され、ついつい本なりCDを買ってしまう行動の事です。僕が19歳、20歳のころにデザインの学校へ通っていた時はLPレコードが全盛のころでした。ビートルズのジャケットは写真であれ、イラストであれ、それぞれが秀逸のものでした。またモダンジャズもポールデイビスが描くセロニアス・モンクのジャケットが忘れられません。日本では横尾忠則さん、宇野亜喜良さん、和田誠さん達が素晴らしい作品を残されています。 1960年代のロックシーンでは丁度アメリカで運動っぽく拡がっていた「サイケデリック」がレコードジャケットにその匂いを残しています。グラフィックデザインが市民権を得たころの話です。デザインのコンペでもレコードジャケットの部門は人気のコーナーでした。プロからアマ迄が競い合う、30㎝×30㎝のワクのなかでの腕の見せどころです。人気イラストレーター、人気デザイナーがこぞってジャケットデザインに関係していました。店頭に飾られているレコードジャケットでそのレコードの売れ行きが左右される程だったんです。今で言うライブハウスがほとんどなかったもので、レコード鑑賞というお店や、催しものがあったぐらいです。演奏中はこの曲ですよ、このプレーヤーですよ、と分り易くジャケットを台の上に飾っていました。そういった意味でレコードジャケットはインテリアデザインの大切なツールだったぐらいです。 LPがCDに、CDが携帯音楽プレイヤーに変ったころからジャケットデザインは書籍へと、ブックデザインへと移行していきました。今やレコード屋さんという言葉は死語となりましたね。CD屋さんともDVD屋さんとも言えません。その手のお店に入っても試聴するのが関の山です。昔の様に目ぼしいジャケットを愛でながら、ふらりふらりと店内を散策する楽しみがなくなりましたね。今それを楽しめるのは本屋さんとなりました。4月号でも少々触れましたが、大阪の三ッ寺筋にある「スタンダード・ブック・ストア」の様な今迄の本屋さんという概念で計れない本屋さんがポツポツと登場しています。この本屋さんはカフェで本も読めるし、駄菓子もあり西洋雑貨もあり、お洒落な文房具も買えるんです。こういう場所で散策しているとジャケットのデザインに目えがひき付けられます。これぞと思ったものに出会うとこころトキメキます。本屋さんでも半日遊べて、楽しめる様になって来ました。 ![]() 一目合ったその日から、恋に花咲くこともある。イチハラヒロコさんのこの本に恋をしました。殺風景になりがちな文字の世界をこうまで見事にヴィジュアルとして成立させているのは何だろう、と感心しました。イチハラさんはお目にかかった事がないのですが、大阪の心斎橋「そごう」の建設中の仮囲いにこのようなフレーズが目いっぱい発表されていました。文字がこれほどまでにヴィジュアルかと感激しておりました。このころから面白い人だなぁと思っていたのです。イチハラヒロコ・ワールドがスルフロットで展開されていました。この本ではハービー・山口さんの写真、吉川晃司さんとの鼎談も楽しいものになっています。言ってみればこの本のおまけですね。 なにはともあれ日本語がこんなに楽しげに飛び跳ねている、色彩豊かに見える本は珍しい。いやはじめてお目にかかります。ジャケ買いのお蔭ですなあ。昔の本屋さんはデートコースでもあり、ぶらりと本屋さんで遊んだもんです。本屋さんの復活を期待しましょう。
by k2-d
| 2007-10-05 16:00
| 装丁問答
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