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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.26
装丁問答.26_c0009877_234363.jpg
今回は「あとん」2007年2月 vol.27に掲載された装丁問答です。はやく一冊にまとめたいんですけどね。


装丁問答.26 イトイとソブエの「満喫本」

糸井重里さんがウェブサイトで「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトを立ち上げたのは1998年ごろだったと思う。糸井ちゃんの洒落がまた始まったなぁと言うぐらいの認識でしかなかったのが、2007年の今日まで続いていると言う事が目茶目茶スゴイと思う。これは通称「ほぼ日」と言われるようになり、今や100万のアクセスが毎日あると言う人気サイトになっている。ハラマキ、タオル、石けん、Tシャツ、文房具……、とオリジナル商品を発売するまでに大きくなってきた。まさかと思っていた、ビックビジネスだ。「ほぼ日手帳」などは重版をするほどのベストセラーにまで成長している。
ご存知のように糸井さんはコピーライターでデビューをし、数々のヒットを飛ばし、一連の西武百貨店の広告「おいしい生活」「不思議大好き」はあまりに有名で、世間を「あッ」と言わしめた。それにあき足らず、あのジュリー(沢田研二)が歌う「ト・キ・オ」の作詞は確かレコード大賞にまでなったはずだ。ゲームの時代が来るのをいち早くキャッチしてゲームのデザインにまで手を拡げたりもした。2、3年前からはトレーニングジムの企画までされたと聞き、僕も一度覗いてみた。活気のあるスペースが作られていた。ビルの名前が「明るいビル」と言うネーミングとなっていた。いかにもと言う感じに、思わず「ニコッ」としてしまった。こうした流れを見ていると糸井さんは時代と共に生きているというか、時代と添い寝をしながら生きておられるという感じがする。

その「ほぼ日」がこのほど「ほぼ日ブックス」を出した。ユニークなラインナップに感心してしまう。いかにも糸井さんらしい本が揃っている。そのなかのひとつがこれだ。「この世は小さな面白いことだらけ」と言う帯のコピーにつられてこの本を手にした。箱入りの小さな、なかなかお洒落な本で僕の目を惹き付けた。『ベリーショーツ』と言うタイトル、「54のスマイル短編」というサブタイトルに作家名「よしもとばなな」という著者名が読者ごころをくすぐり、上手く本文へと誘導するデザインがなされていた(東京糸井重里事務所刊)。
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何の疑いもなくレジに行き購入した。本屋さんから事務所に帰る間、早くその本を見たさにワクワク、ドキドキしていた。事務所に帰りおもむろにビニール袋から取り出して、ゆっくりとためつすがめつ上から下へ、右から左へ表と裏にと眺めて感心した。上手く出来た上等な本だ。しかもそれを軽々とデザインされているところがスゴイ。ハガキ大の判型がやけにチャーミングに見える。表紙をめくると表紙裏に特別デザインの郵便スタンプが押されていた。ここでハガキ大の判型がクローズアップされ、成る程と合点がいく。装丁の隠し味なんですね。
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ここで装丁者の名前を見て納得した。隅々まで細やかなデザインセンスが行き届いている「祖父江慎」のブックデザイン力の勝利だ。殆ど各ページにちりばめられた「ゆーないと」(僕は知らない人である)のイラストレーションが魅力的だ。カラーで描かれている「へたうま」を思い出しながら見たが、文章と相まって上手く流れを作っている。本文も時によりパートカラーで印刷されている。なかには箔押しされた金文字まで登場するという凝りようだ。ここまでやるかと思ったのはツカの部分に見られるイラストレーションだ。それと名刺大の写真ページが一ページだけ差し込まれていた。これはこの本のデザインの止めだ。祖父江ワールド「満喫本」だ。一つだけ分らないところがあった。本のスピン(しおり)がやたら長いところが何か意味があるのかなぁ、という所である。

いずれにしても天才イトイが天才ソブエと仕事をするとこうも軽快に大変な事を難なくやりとげてしまうのか、感動とか脱帽とか、感嘆とかでなく、ただただ嬉しくなってしまう。
by k2-d | 2007-06-20 23:06 | 装丁問答
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