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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




Translation to English

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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.23
装丁問答.23_c0009877_2075513.jpg

アートンより毎月刊行されているフリーペーパー「あとん」vol.24に掲載されたバックナンバーです。


装丁問答.23 線の太さと間隔が、微妙。

黒田征太郎と二人で「ケイツー」を創ったのは1969年だから、もうかれこれ40年近くになる。仕事の内容は広告、宣伝からマーク、ロゴ、店舗設計からイベントの構成までと幅広い。そのなかでも比較的多く手がけているのがブックデザイン、装丁、雑誌のエディトリアルデザインである。

今回は装丁についてお話してみたい。
先だって「装丁問答」を一冊にまとめるという話から、僕の装丁した本をすべて整理してみよう、という事になった。大阪は岸和田にある倉庫から段ボール40箱分の本を東京に運び込んで、40年分の大整理を試みた。ブックデザインも難産、安産いろいろある。これらは生まれてくる子どもみたいなものだ。殆どは憶えているのだが、なかには忘れてしまっているものもあった。自分のデザインの90パーセントは憶えているのだが、10パーセントの子達には可哀想なことをした。

装訂家と言われる人は大正、昭和のころから、津田青楓、橋口五葉……恩地孝四郎といる事はいたが、殆どは絵描きさんが食うためにやるサイドワークの様なものだった。挿絵画家の木版口絵が人気だったらしく、たまに古書店などで見かけるが、美しい芸術作品となっている。なかには本の内容と全く異なる絵だけが主張しているものもある。包装紙、パッケージデザインという考え方が重要な要素として入って来ている現代のブックデザインとは異なっている。
今も装丁家と名乗る人、装釘・装幀という漢字にこだわる人、いろいろだ。装本、装画、装丁をひっくるめてブックデザインというのか、装本だけだとレイアウトなのか、装画はイラストレーションの表記でも良いのか、装丁はアートディレクションなのか、デザインなのか。なかなか統一した見解が見当たらないので、大袈裟にいうと業界はとても混乱している。僕の場合は出版社によっても表記の仕方がそれぞれ違うが、アートディレクションとして僕の名前があり、デザインとして、イラストレーションとしてそれぞれ担当の名前を記すようにしている。

出版事情も昔と違って多くのカテゴリーがあり、出版点数にしても年に何千、何万と出版され、一冊の部数も三百万とか五百万部の化け物のような本が何年かに一度はある今と、せいぜい五千とか一万部でベストセラーと言われ家が一軒建ったという昔とは、ものすごく開きがある。今では初版がそのようになり桁が違う。と言うように、装丁事情も変わって来たと言うもんだ。
 単行本の数が衰退している中で、このところの新書版(教養新書と言うらしい)の大攻勢は見逃せない。各社、棚の確保にやっきとなっているところに、新たに朝日新聞社が新書戦争に参入してきた。縁あってこの度、表紙カヴァーの一般公募の審査委員長としてお手伝いをした次第である。審査会場に数百点を机の上にずらりと並べて、巡回することを数回繰り返した。すでに荒よりされており、それぞれが個性的でユニークで朝日らしくて、レベルの高いニュー朝日を目指していた。
装丁問答.23_c0009877_20709.jpg

新書版のデザインは本当に難しいものがある。なにしろどんな内容のものが出てくるかわからない。どんな内容にも対応しなくてはいけないからあまり個性というか、本として主張し過ぎる事も出来ない。普遍性が求められる。ではこの朝日新書はどうか? 何たって、縦縞が良い。松井選手が憧れたニューヨークヤンキースも我らが阪神タイガースもタテジマが良い。タテジマには普遍性がある。このカヴァーの上手いところは線の太さと線の間隔が微妙なところに定着しているところだ。太すぎると品がなくなり、間隔が広くなると間が抜ける。これ以上狭いと窮屈となる。という事でこの新書は新鮮で品のある作品に仕上がっている、そこのところが一等賞の所以だ。
by k2-d | 2007-03-22 20:05 | 装丁問答
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