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長友啓典
Keisuke Nagatomo -------------------- 1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。 エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。 日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問 、東京造形大学客員教授 ![]() ![]() Translation to English -------------------- 装丁問答イッキ読み -------------------- ![]() 「PIKADON」 衣食住をテーマにイノチのことを考えます。 お友達ブログ 山村幸広さん 南川三治郎さん 勝手にロワイヤル!! 宮澤正明さん 貫場幸英さん お友達ホームページ 新正卓さん 以前の記事
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![]() あとん連載の「装丁問答」です。 ↓このアドレスで順不同ですが、過去20話のイッキ読みができます。 http://blog.excite.co.jp/nagatomo/i2 装丁問答.21 銀座・GINZA・ギンザ このところ本屋さんで良く見かけるのが、著者であるとか、主人公であるとかの顔写真を使ったものである。なかでも若かりし頃の写真を使ったデザインのものが可成り目立つ。白洲次郎さん、白洲正子さんの本がそうだが、この一冊もそうである。 写真にはいろいろな情報が詰まっている。例えばこの写真をじっくりと見て見ると良く分る。まずモノクロの写真が、ある種の時代感を呼び起こす。これはそうではないが、いわゆるセピア色の写真などなら尚更だ。 ここに写っているのは美人の写真である。美人には違いないのだが、それも現代の美人ではない、ちょっと前の美人である。美人の概念は、写真が日本に渡来して来たころ、多く撮られた美人ものを見ていると「エッ」と思う程の違いがある。それは平成の今と昭和の初めを比べても確実に美人観は違っている。眉の引き方に見られるお化粧の仕方であるとか、ちょっと襟元の襟をつめ気味に着る着物の着方であるとかで流行を垣間見られる。 写真術によっても時代が感じられる。カラー写真の技術がまだそんなに良くないんだとか(色を調整する事に専念して情緒が写らない)、ストロボがまだ業界に出てきてないとか、フィルムの感材、印画紙の優劣、まだまだ研究途上であるとかで時代が分る。ある意味、デジタルで誰でもが何時でも何でも撮れる今より、この時代の方がいろいろと工夫をこらしての写真術が優秀だった様な気がする。 流行を見ていると、懐かしさからくる生活習慣、社会の情勢で時代が分る。写真は意図的にウソもつくが、おおむね「真を写す」ものだ。この美人の顔の表情から見受けられるのは、この人の人生のなかに於いて、この時期がおそらく絶好調なコンディションと見うけられる。「オーラ」が写っている。 ![]() それらの様にいっぱいいっぱいの情報がこの一枚の写真に詰まっていて、この本の内容に至るまでの好奇心を読者に喚起させるパワーがある。写真の持つ力を十二分に発揮したカバーデザインの一冊が、この『おそめ』(石井妙子著、洋泉社刊)である。著書である石井さんの文章・構成力も一読の価値がある。 この本を手にしたもうひとつの理由は、この本の主役「おそめ」さんが活躍されていたころと僕が上京するころと符丁があったから俄然興味がわいたのである。「銀座」「GINZA」「ギンザ」というキーワードである。 銀座のバァーで飲むという事がとてつもない大偉業だと思っていた。そこで飲む事、飲める事の大事さを、飲み続けられる事の大変さを知った上で「銀座」に行く事を夢見ていた。「男の花道」と思っていた。そんな大志(?)を抱いて上京しようとしていた昭和三十三年に「空飛ぶマダム」「夜の蝶」と言うフレーズがマスコミ(と言っても新聞のみだが)を賑わせていた。新幹線のないころだから大阪から東京へは「特急つばめ」で八時間の距離があった。プロペラ飛行機は二時間であった。 この本の主役「おそめ」さんは軽々と実行に移し京都のお店と東京のお店を行き来していた。そんな事を川口松太郎と岩田専太郎コンビが「おそめ」さんを主役とした「夜の蝶」を小説として書き上げた。話題が話題を呼び、そのお店「おそめ」には文士や、映画人、政治家、財界人があまた押し寄せた。今名前を聞いただけで卒倒しそうな人達ばかりだ。この人達の間に我が身を置く事を夢見ていた。 今は若い人達に僕達がこういう事を伝えて行かねばと思っている。銀座の文化を、酒を飲むという文化を。
by k2-d
| 2006-09-26 18:24
| 装丁問答
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