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長友啓典
Keisuke Nagatomo
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1939年大阪生まれ。1964年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。
エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。
日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問
、東京造形大学客員教授




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装丁問答イッキ読み
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「PIKADON」
衣食住をテーマにイノチのことを考えます。




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装丁問答.7
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装丁問答.7 ひねりが効いた、らしい装丁

だめだだめだ、活字離れがひどい。
不景気、不景気と会う人ごとに出版人の愚痴を聞き始めて結構な時間が経つ。そんな時、一条の光というか、こんな新聞記事を目にした。
出版物の売上が八年振りにプラスに転じたと。出版物市場復活の原動力のひとつが若者を意識した書籍デザインの力だと言う。

星新一『ブランコのむこうで』1978年に新潮文庫で発行された本が昨年突然ブレイクした。イラストレーターの後藤貴志がリデザインしたのがきっかけであり、村上春樹のあのベストセラー『ノルウェイの森』が文庫化に際して独自の装丁を施していたが、赤と緑の単行本と同じものにしたところ、これまた再版につぐ再版と、デザインの重要さが見直されている。以前にも紹介したアート系の写真に小さな文字タイトルという意表をついたデザインの「セカチュー」こと『世界の中心で、愛をさけぶ』(小学館)を例にとって説明されていた。

そう思いながら本屋さんに行くと最近、装丁の世界もなかなかの活況を呈している。
若者を意識したとは思わないが、今日紹介する本の装丁に使われている絵は、本屋さんの平台でひときわ輝いていた日本画の巨匠、伊東深水画伯によるものである。この時代の日本画は総じて一枚の絵から発信する情報量はすごいものがある。思わず手にとり、じぃーと見入ってしまった。一枚の絵から光も匂いもよみがえった。良い時代だったんだろうなぁと感じる。
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僕の子供の頃はまだこういう空気感はあった。うとうと午睡をするご婦人、畳におちている団扇、蚊取り線香の匂い、簾を抜ける涼しげな風、隅の方に描かれているこおろぎの音色がこれまた涼を呼ぶ。こうして見ると絵に描かれているもの、描かれていないもの、数々の情報が脳を過ぎる。近頃はヒートアイランド現象とやらがかまびすしいが、このころはコンクリート道路、ビル群、一般家庭、自動車の冷房による反射熱もなく、土と緑が自然に心地良い環境をつくってくれていた。打ち水一つでこの絵に描かれているような涼がとれた。
このご婦人はまどろみながら何を考えているのだろうと思い描きながら、絵の中に入っていく。
湯衣に素足、この時代の日本女性のふくよかな体系から滲み出る色気、うなじがまた良い。浴衣は秋を待つかのようなかえでの模様。良いですねぇ(何が?)、きっと男の事を想っているのだろう。「ヨッ!」と片手をあげ扇子をせわしく仰ぎながらやってくる男なのか「ジャ!」と言って今しがた帰って行った男の事なのかわからないがああでもない、こうでもないと想像たくましく思いを馳せる。世の中がゆるやかに回転している良い時代だったんだなぁと思う。その空気感が見事に表現されている。

そういう絵を『「退歩的文化人」のススメ』(嵐山光三郎著)という本の表紙絵に起用した装丁者はなかなかの人物だとお見受けするが、如何のもんだろう。著者のアイデアかも知れない、というのはこの人のエッセイはちょっとしたひねりが面白い。
だいたい出版社の名前からして新潮社と講談社を足して割ったような名で、新講社という。マジなのかおふざけなのかわからない。装丁者もロコ・モーリス組という名である。これもわけがわからないが、何か意図的なひっかかり感を感じる。そんな事はどうでも良くて『「退歩的文化人」のススメ』というタイトルのつけ方、伊東深水の画を使った意表さ、嵐山さんらしいなぁと本を手に取り感心しきりである。もちろん本屋さんのレジに直行した。
by k2-d | 2006-06-13 06:46 | 装丁問答
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