倖田來未『Dejavu』各曲解説 |
【倖田來未『Dejavu』各曲解説】
今年デビュー11周年目に突入した倖田來未が、前作から約1年ぶり9枚目となるニュー・アルバム『Dejavu』を完成させた。
エキサイトミュージックではニュー・アルバム『Dejavu』のレビューと倖田來未 本人からの動画コメントを掲載中。レビュー内では掲載しきれなかった『Dejavu』の各曲解説を紹介します。
1.Introduction
<あなたたちをデジャヴの世界へ招待するわ……>という妖し気なトーンの誘い文句とともに、倖田來未が見せる夢の世界の入り口が開くオープニング。ファンシーなお伽の国というよりは、シングル『POP DIVA』のカップリングに収録された「BLACK CANDY」を製造しているダークなキャンディ工場を想起させる。
2.POP DIVA
本人出演のCM『LIVE DAM LIVE』のCMソングとしてオンエア中の49枚目のシングル。エレクトロを導入した最新系のダンスチューンながらも、CM効果もあって、カラオケで激しくシャウトする女子が急増中とか。
「洋楽テイストなのにキャッチーであるっていう、いま、私がやりたい音楽が詰まった曲で、今後の活動の軸にもなりえるナンバーだと思いますね。歌詞は、目標地点を自分に合わせて下げるのではなく、高いハードルを設けて、それを乗り越えるくらいの気持ちを忘れないでほしいっていうメッセージがこめられていて。ミュージック・ビデオも、自分が欲しいものはリスクを背負ってでも手に入れるんだっていう女性像を描いていますね」
3.Lollipop
47枚目のシングル『Gossip Candy』に収録された、優雅な休日を過ごす彼女の朝の風景を切り取った『セブンネットショッピング』のCMソング。早着替えを披露した紅白歌合戦の舞台でも歌ったクールなダンスナンバーだが、歌詞はかなりセクシーな内容となっている。
「本格的なHIP HOP系のサウンドで、歌詞はエロティックで女性上位っていう、久々に倖田來未らしい世界観を存分に発揮した曲。浮ついた男性に騙されないでっ!ていう内容なんですけど、そういう男性をひっくり返してやる!っていう気持ちがありつつ(笑)、男性にも“見た目が可愛いから連れているっていうだけでなく、ちゃんと心から人を愛せないと幸せになれないよ!”ってことを伝えているんです。夏らしい海をバックに激しく踊ったミュージック・ビデオは、完全に女性上位の世界観。人生初の乗馬シーンも見どころのひとつですね」
4.Okay
メランコリックなメロディラインがせつなさを際立てる、デジタルサウンドで彩られたR&Bナンバー。情感豊かな歌声でゆったりと歌うスロウナンバーに彼女のシンガーとしての成長が伺い知れる。歌詞は、「分かった、分かった」と彼女をなだめようとする倦怠期のカップルを描いている。
「心が醒めていて、ケンカをすることさえ面倒くさくなってしまっている彼のイメージ。昔はどんなことでも二人で一緒に決めていたのに、最近は私ばかりが決めるようになってる。だから、わざと意地悪な質問をするのだけれども、彼はなんでも『オッケー』って答える。どうして素直に話してくれないの?っていう、とっても切ない曲になっています」
5.逢いたくて
ハートウォーミングなオルガンとストリングスに、R&Bマナーの打ち込みやクラップが絡む、情感たっぷりのラブバラード。控えめなファイクや言葉にならない語尾の余韻に、彼女のヴォーカリストとしての表現力の豊かさがが出ている。
「自分から別れを決めたはずなのに、荷物をまとめればまとめるほど、あなたとの歴史や時間が思い出される。いつも優しく抱きしめてくれた、そんななんでもないことがすごく大切だったなって、別れてから初めて気づくっていう。私にとっては珍しく、未練がしっかりとある曲なんですけど、先日、テレビ番組の収録で歌った時に、初めて聴いたはずのお客さんが泣いてくれて。王道の歌詞ではあるけど、改めて名曲だなって感じた1曲ですね」
6.Passing By
本作におけるビックサプライズは、Ne-Yoやクリス・ブラウンのプロデュースを手がけ、自身もシンガーソングライターとして精力的な活動をしているB・ハワードとのコラボだろう。本国アメリカで“プリンス・オブ・R&Bポップ”と呼ばれる彼と“ポップ・ディーバ”によるデュエットは、メロディ・オリエンテッドな極上のR&Bナンバーとなっている。
「彼はすごく照れ屋だったんですけど、いい家庭で育ったことが分かるくらいピュアで、擦れてなくて、とってもジェントルマンでしたね。ビルボードのライヴのために来日した時に、初めて楽屋に挨拶をしに行ったんですけど、何だかとっても気に入ってくださって。『曲を書くよ』って言ってくれたんです。そしたら、1週間後に3曲もデモが送られて来たんですよ。そのうちの1曲の歌詞を考えている時に、デュエットがいいなと思って、彼に提案をしたらすぐに賛成してくれて。本当にすごく忙しい方なのに、スケジュールを調整して、ミュージック・ビデオにまで出てくれたんですよ。彼はやっぱりプロデューサーとしても活躍している方なので、私の個性に合わせてパフォーミングしてくれる部分があるんですね。そういう意味では、お互いが歩みよって出来た作品になっていると思っています」
彼女が手がけた歌詞に関して聞くと、「ハワードが浮気したっていう話にしちゃいました(笑)」という。ハワードも出演したミュージック・ビデオは、永遠だと信じていた恋に別れを告げた蓋rが、思い出の場所を訪れ、それぞれがひとりぼっちで踊り、失った想いにふける映像となっている。
「最後の恋だと思っていた相手に浮気されてしまった女の子が主人公で。彼は浮気はしてないって言い張っているんですけど。もちろん、優しい嘘も必要かもしれないけど、もしも二人が本当の愛で結ばれていたとしたら、それを乗り越えるパワーがあると、私は思ってたから。だから、例え私が傷ついたとしても、本当のことを言ってから別れてほしかったのに…っていうとても切ないストーリーになっています」
7.AT THE WEEK END
トランス、エレクトロニカ、R&B、ヒップホップ、ロックが内包された、重めのビートが黒光りするダンスナンバー。彼女曰く、「写真集の撮影でブラジルに行っている時に初めて聴いて、カッコいい!ってすぐに思った曲」だという。
「バンドでやればロックになるだろうし、ダンサーを従えたらダンスミュージックにもなる。どっちにでも転べそうな雰囲気も好き。歌詞は、土日は全く連絡がとれなかったのに、月曜日に『何してるの?』って電話してくる彼に対して、あなたにさよならを言われる前に、私が言ってやるわっていう。たぶん、週末に浮気した彼氏に『バカやろう!』っていう曲になってますね(笑)」
8.Interlude
最新系ダンスチューンから、誰もが歌えるポップソングの世界へと移動する、橋渡しの役割を担うインタールード。コンテンポラリーで斬新なデザインの音像から、長く愛着が残るスタンダードなサウンドプロポーションへの変化や独自ブレンドの混ぜ具合が、本作の聴きどころのひとつとなっている。
9.Melting
新年にオンエアされた『そごう・西武冬市』CMソングに起用されたポップナンバー。タイトルからも連想できるように、チョコのように解け合う幸せなカップルを描いた、明るいラブソングとなっている。
「両極端なデコボコ同士の二人だったとしても、ずっと一緒にいて、お互いが歩み寄っていけば美味しく絡みあって、お互い似ていくんじゃないかっていう曲ですね。でも、同時に<何十年先でも知らない君、新しい君を楽しく探そう>っていう歌詞があって。付き合いが長ければ長いほど相手の気持ちが分かってきたりするけれども、お互いに人間であれば、日々、変わっていく部分もあるっていうことを歌っているんですね。人は常に変わっていくものだから、10年一緒にいたとしても、好きっていう気持ちは言葉で伝えないといけないよ、っていうメッセージも込めています。」
10.Hey baby!
アニメ『クレヨンしんちゃん』のオープニングテーマに起用されたダンスポップナンバーで、オープニング映像用にカットされていた部分もフルで収録したアルバムバージョンとなっている。YouTubeには、この曲に合わせて保育園児が踊る映像が多数投稿されているとか。
「子供向けのアニメではあるけれども、子供は子供なりに、大人になりたいっていう気持ちがあるじゃないですか。だから、最近すごく増えた草食系男子を好きになって、あなたを食べちゃいたいっていうラブソングにしようと思って。あれも欲しい、これも欲しいっていうのはもう昔の話。私だって恋をする年になったんだから子供扱いしないでよっていうイメージになっています」
11.ちょい足しLife
テレビ朝日系の情報バラエティ『お願いランキング』内の人気コーナー「ちょい足しクッキング」への出演がきっかけとなって誕生した、疾走感あふれるシャイニーでカラフルなポップナンバー。
「番組出演がきっかけだったんですが、この番組に出演しているADの中尾ちゃんが、私のライヴにチケットを取って観に来てくれているほど、私のファンだっていうことを知ったんです。ならば、そんな中尾ちゃんに頑張ってもらえるような応援歌を作りたい。そう思って、じつはこの曲が誕生したんですよ。“ラブ”と“ちょい足し”がこの歌詞のテーマになっているんですけど、一気に何かを変えるのは難しいですよね!? でも、少しずつ何かを変えていくことはできるんじゃないかなって思うんです。少しずつ痩せていこうとか、少しずつ料理を覚えようとか、少しずつ部屋を片付けられるようになろうとか……。いまの自分にちょっとだけ何かを足すことで、いつかはすごく成長できるんじゃないかなって思うんです。ぜひこの曲を聴いていただいて、皆さんなりの新たな発見を見つけていただければ嬉しいですよね」
12.あなただけが
脚本家の大石静氏から直々の指名を受けて書き下ろしたという、NHKのドラマ『セカンドバージン』の主題歌。歌謡曲寄りのピアノバラード「好きで、好きで、好きで。」との両A面シングルとしてリリースされたが、サウンド的にはアーバンR&B寄りの上質な仕上がりのアダルティーなバラードとなっており、同じバラードという括りながらも異なるアプローチを見せてくれたのが印象的だった。
「年上の女性と年下の男性の不倫をテーマにしたドラマだったんですけど、そういう場合、私は女性の方が盲目になりやすくて、男性の方が冷静なんじゃないかって思うんですね。でも、いつも自分のわがままばかり優先してきた女性が、最後に別れる時くらいは、少しでもいい人でいたいがために自分から別れを切り出すっていう。最後は、あなたのいない現実を受け止められないっていうストーリーになっているんですけど、とにかく、すれ違いばかりで切ない恋を表現できればいいなと思って書きました」
13.好きで、好きで、好きで。
一途に人を愛する、純粋な「好き」という気持ちをストレートに歌い上げた、48枚目のシングル。ピアノを基調に、ストリングスがドラマチックに盛り立てる王道のバラードで、9月のリリース以降、現在までロングヒットを記録している。「いちばん最初に聴いた時は、ちょっと歌謡曲すぎるかも!?って思って、じつは半年くらい眠らせていたんです。でも、リリースしてから年末まで、たくさんの場所で歌わせてもらったことで、改めてメロディラインの大切さを再確認させられた曲になっていて。歌詞としては、ダメなところばかりだった私を認めてくれた最初の人を好きになってしまった女の子のストーリー。傷つくのが怖くて想いを伝えられない、大好きな彼を想う片想い中の心境を歌っています。ファンの子が『共感しました!』っていう声をたくさんくれたのも嬉しかったですね」
14.Bambi
打ち込みとバンドサウンド、コーラスで構築されたチャーミングなポップソング。この曲と続く「I Don't Love You!???」は、アーティストの倖田來未というよりも、ガールズトークの中心にいる普段のくうちゃんが垣間見える内容となっている。キャリアのなかでは、ヒット曲「恋のつぼみ」の大人バージョンか進化系というムード。
「いつもはパキパキと物事を決めるような強い女性が、彼の前では子鹿ちゃんのようにプルプルしてしまって、失敗ばかりしちゃうっていう。そんな恋をしている乙女たちに、私が代表して、みんなが幸せになるように魔法をかけるっていう曲です。できれば、私にも誰か魔法をかけてほしいっていう(笑)、ちょっと訴え系の歌詞になっています。ミュージック・ビデオは、大好きな彼とデートで映画館に行ったら、なぜか私の腹黒い部分がスクリーンに映し出されてるっていう。映画のなかの私は、一目惚れしてしまった美青年に頑張って近寄ろうとするんだけど、どうしてもうまく近寄れない。そんな時、いつも近くで相談にのってくれた男友達の存在に気がつく。運命の相手は美声年ではなく、彼かも知れないって」
15.I Don't Love You !??
<NO NO>というキャッチーなサビは、ライヴで言うなら、みんなで合唱しながら手拍子もできるポップソングのポジション。しかし、シンセの音色と四つ打ちのビートで、いまの空気に似合うエッジも備えている。作詞のインスピレーションは、彼女のバックダンサーの体験談によるもの。
「ダンサーの女の子の恋愛観を引き上げて書いた曲なんです。彼女は、自分から告白するとうまくいかない、相手から言わせた方が長続きするタイプだって言うんですよ。だから、彼の前では、気がある素振りは見せないんだけど、心のなかではすごく大好き!っていう。彼女は、彼の前では常に冷静でいたいし、イライラしている顔も見せたくないから、疲れてる時には絶対に逢わないって言うんですね。私は、素直こそが、女の子の可愛さじゃないのかなって思っているので、もう少し素直になればいいのになって想うんですけど……」
⇒倖田來未 ニュー・アルバム『Dejavu』インタビューを読む
今年デビュー11周年目に突入した倖田來未が、前作から約1年ぶり9枚目となるニュー・アルバム『Dejavu』を完成させた。
エキサイトミュージックではニュー・アルバム『Dejavu』のレビューと倖田來未 本人からの動画コメントを掲載中。レビュー内では掲載しきれなかった『Dejavu』の各曲解説を紹介します。
1.Introduction
<あなたたちをデジャヴの世界へ招待するわ……>という妖し気なトーンの誘い文句とともに、倖田來未が見せる夢の世界の入り口が開くオープニング。ファンシーなお伽の国というよりは、シングル『POP DIVA』のカップリングに収録された「BLACK CANDY」を製造しているダークなキャンディ工場を想起させる。
2.POP DIVA
本人出演のCM『LIVE DAM LIVE』のCMソングとしてオンエア中の49枚目のシングル。エレクトロを導入した最新系のダンスチューンながらも、CM効果もあって、カラオケで激しくシャウトする女子が急増中とか。
「洋楽テイストなのにキャッチーであるっていう、いま、私がやりたい音楽が詰まった曲で、今後の活動の軸にもなりえるナンバーだと思いますね。歌詞は、目標地点を自分に合わせて下げるのではなく、高いハードルを設けて、それを乗り越えるくらいの気持ちを忘れないでほしいっていうメッセージがこめられていて。ミュージック・ビデオも、自分が欲しいものはリスクを背負ってでも手に入れるんだっていう女性像を描いていますね」
3.Lollipop
47枚目のシングル『Gossip Candy』に収録された、優雅な休日を過ごす彼女の朝の風景を切り取った『セブンネットショッピング』のCMソング。早着替えを披露した紅白歌合戦の舞台でも歌ったクールなダンスナンバーだが、歌詞はかなりセクシーな内容となっている。
「本格的なHIP HOP系のサウンドで、歌詞はエロティックで女性上位っていう、久々に倖田來未らしい世界観を存分に発揮した曲。浮ついた男性に騙されないでっ!ていう内容なんですけど、そういう男性をひっくり返してやる!っていう気持ちがありつつ(笑)、男性にも“見た目が可愛いから連れているっていうだけでなく、ちゃんと心から人を愛せないと幸せになれないよ!”ってことを伝えているんです。夏らしい海をバックに激しく踊ったミュージック・ビデオは、完全に女性上位の世界観。人生初の乗馬シーンも見どころのひとつですね」
4.Okay
メランコリックなメロディラインがせつなさを際立てる、デジタルサウンドで彩られたR&Bナンバー。情感豊かな歌声でゆったりと歌うスロウナンバーに彼女のシンガーとしての成長が伺い知れる。歌詞は、「分かった、分かった」と彼女をなだめようとする倦怠期のカップルを描いている。
「心が醒めていて、ケンカをすることさえ面倒くさくなってしまっている彼のイメージ。昔はどんなことでも二人で一緒に決めていたのに、最近は私ばかりが決めるようになってる。だから、わざと意地悪な質問をするのだけれども、彼はなんでも『オッケー』って答える。どうして素直に話してくれないの?っていう、とっても切ない曲になっています」
5.逢いたくて
ハートウォーミングなオルガンとストリングスに、R&Bマナーの打ち込みやクラップが絡む、情感たっぷりのラブバラード。控えめなファイクや言葉にならない語尾の余韻に、彼女のヴォーカリストとしての表現力の豊かさがが出ている。
「自分から別れを決めたはずなのに、荷物をまとめればまとめるほど、あなたとの歴史や時間が思い出される。いつも優しく抱きしめてくれた、そんななんでもないことがすごく大切だったなって、別れてから初めて気づくっていう。私にとっては珍しく、未練がしっかりとある曲なんですけど、先日、テレビ番組の収録で歌った時に、初めて聴いたはずのお客さんが泣いてくれて。王道の歌詞ではあるけど、改めて名曲だなって感じた1曲ですね」
6.Passing By
本作におけるビックサプライズは、Ne-Yoやクリス・ブラウンのプロデュースを手がけ、自身もシンガーソングライターとして精力的な活動をしているB・ハワードとのコラボだろう。本国アメリカで“プリンス・オブ・R&Bポップ”と呼ばれる彼と“ポップ・ディーバ”によるデュエットは、メロディ・オリエンテッドな極上のR&Bナンバーとなっている。
「彼はすごく照れ屋だったんですけど、いい家庭で育ったことが分かるくらいピュアで、擦れてなくて、とってもジェントルマンでしたね。ビルボードのライヴのために来日した時に、初めて楽屋に挨拶をしに行ったんですけど、何だかとっても気に入ってくださって。『曲を書くよ』って言ってくれたんです。そしたら、1週間後に3曲もデモが送られて来たんですよ。そのうちの1曲の歌詞を考えている時に、デュエットがいいなと思って、彼に提案をしたらすぐに賛成してくれて。本当にすごく忙しい方なのに、スケジュールを調整して、ミュージック・ビデオにまで出てくれたんですよ。彼はやっぱりプロデューサーとしても活躍している方なので、私の個性に合わせてパフォーミングしてくれる部分があるんですね。そういう意味では、お互いが歩みよって出来た作品になっていると思っています」
彼女が手がけた歌詞に関して聞くと、「ハワードが浮気したっていう話にしちゃいました(笑)」という。ハワードも出演したミュージック・ビデオは、永遠だと信じていた恋に別れを告げた蓋rが、思い出の場所を訪れ、それぞれがひとりぼっちで踊り、失った想いにふける映像となっている。
「最後の恋だと思っていた相手に浮気されてしまった女の子が主人公で。彼は浮気はしてないって言い張っているんですけど。もちろん、優しい嘘も必要かもしれないけど、もしも二人が本当の愛で結ばれていたとしたら、それを乗り越えるパワーがあると、私は思ってたから。だから、例え私が傷ついたとしても、本当のことを言ってから別れてほしかったのに…っていうとても切ないストーリーになっています」
7.AT THE WEEK END
トランス、エレクトロニカ、R&B、ヒップホップ、ロックが内包された、重めのビートが黒光りするダンスナンバー。彼女曰く、「写真集の撮影でブラジルに行っている時に初めて聴いて、カッコいい!ってすぐに思った曲」だという。
「バンドでやればロックになるだろうし、ダンサーを従えたらダンスミュージックにもなる。どっちにでも転べそうな雰囲気も好き。歌詞は、土日は全く連絡がとれなかったのに、月曜日に『何してるの?』って電話してくる彼に対して、あなたにさよならを言われる前に、私が言ってやるわっていう。たぶん、週末に浮気した彼氏に『バカやろう!』っていう曲になってますね(笑)」
8.Interlude
最新系ダンスチューンから、誰もが歌えるポップソングの世界へと移動する、橋渡しの役割を担うインタールード。コンテンポラリーで斬新なデザインの音像から、長く愛着が残るスタンダードなサウンドプロポーションへの変化や独自ブレンドの混ぜ具合が、本作の聴きどころのひとつとなっている。
9.Melting
新年にオンエアされた『そごう・西武冬市』CMソングに起用されたポップナンバー。タイトルからも連想できるように、チョコのように解け合う幸せなカップルを描いた、明るいラブソングとなっている。
「両極端なデコボコ同士の二人だったとしても、ずっと一緒にいて、お互いが歩み寄っていけば美味しく絡みあって、お互い似ていくんじゃないかっていう曲ですね。でも、同時に<何十年先でも知らない君、新しい君を楽しく探そう>っていう歌詞があって。付き合いが長ければ長いほど相手の気持ちが分かってきたりするけれども、お互いに人間であれば、日々、変わっていく部分もあるっていうことを歌っているんですね。人は常に変わっていくものだから、10年一緒にいたとしても、好きっていう気持ちは言葉で伝えないといけないよ、っていうメッセージも込めています。」
10.Hey baby!
アニメ『クレヨンしんちゃん』のオープニングテーマに起用されたダンスポップナンバーで、オープニング映像用にカットされていた部分もフルで収録したアルバムバージョンとなっている。YouTubeには、この曲に合わせて保育園児が踊る映像が多数投稿されているとか。
「子供向けのアニメではあるけれども、子供は子供なりに、大人になりたいっていう気持ちがあるじゃないですか。だから、最近すごく増えた草食系男子を好きになって、あなたを食べちゃいたいっていうラブソングにしようと思って。あれも欲しい、これも欲しいっていうのはもう昔の話。私だって恋をする年になったんだから子供扱いしないでよっていうイメージになっています」
11.ちょい足しLife
テレビ朝日系の情報バラエティ『お願いランキング』内の人気コーナー「ちょい足しクッキング」への出演がきっかけとなって誕生した、疾走感あふれるシャイニーでカラフルなポップナンバー。
「番組出演がきっかけだったんですが、この番組に出演しているADの中尾ちゃんが、私のライヴにチケットを取って観に来てくれているほど、私のファンだっていうことを知ったんです。ならば、そんな中尾ちゃんに頑張ってもらえるような応援歌を作りたい。そう思って、じつはこの曲が誕生したんですよ。“ラブ”と“ちょい足し”がこの歌詞のテーマになっているんですけど、一気に何かを変えるのは難しいですよね!? でも、少しずつ何かを変えていくことはできるんじゃないかなって思うんです。少しずつ痩せていこうとか、少しずつ料理を覚えようとか、少しずつ部屋を片付けられるようになろうとか……。いまの自分にちょっとだけ何かを足すことで、いつかはすごく成長できるんじゃないかなって思うんです。ぜひこの曲を聴いていただいて、皆さんなりの新たな発見を見つけていただければ嬉しいですよね」
12.あなただけが
脚本家の大石静氏から直々の指名を受けて書き下ろしたという、NHKのドラマ『セカンドバージン』の主題歌。歌謡曲寄りのピアノバラード「好きで、好きで、好きで。」との両A面シングルとしてリリースされたが、サウンド的にはアーバンR&B寄りの上質な仕上がりのアダルティーなバラードとなっており、同じバラードという括りながらも異なるアプローチを見せてくれたのが印象的だった。
「年上の女性と年下の男性の不倫をテーマにしたドラマだったんですけど、そういう場合、私は女性の方が盲目になりやすくて、男性の方が冷静なんじゃないかって思うんですね。でも、いつも自分のわがままばかり優先してきた女性が、最後に別れる時くらいは、少しでもいい人でいたいがために自分から別れを切り出すっていう。最後は、あなたのいない現実を受け止められないっていうストーリーになっているんですけど、とにかく、すれ違いばかりで切ない恋を表現できればいいなと思って書きました」
13.好きで、好きで、好きで。
一途に人を愛する、純粋な「好き」という気持ちをストレートに歌い上げた、48枚目のシングル。ピアノを基調に、ストリングスがドラマチックに盛り立てる王道のバラードで、9月のリリース以降、現在までロングヒットを記録している。「いちばん最初に聴いた時は、ちょっと歌謡曲すぎるかも!?って思って、じつは半年くらい眠らせていたんです。でも、リリースしてから年末まで、たくさんの場所で歌わせてもらったことで、改めてメロディラインの大切さを再確認させられた曲になっていて。歌詞としては、ダメなところばかりだった私を認めてくれた最初の人を好きになってしまった女の子のストーリー。傷つくのが怖くて想いを伝えられない、大好きな彼を想う片想い中の心境を歌っています。ファンの子が『共感しました!』っていう声をたくさんくれたのも嬉しかったですね」
14.Bambi
打ち込みとバンドサウンド、コーラスで構築されたチャーミングなポップソング。この曲と続く「I Don't Love You!???」は、アーティストの倖田來未というよりも、ガールズトークの中心にいる普段のくうちゃんが垣間見える内容となっている。キャリアのなかでは、ヒット曲「恋のつぼみ」の大人バージョンか進化系というムード。
「いつもはパキパキと物事を決めるような強い女性が、彼の前では子鹿ちゃんのようにプルプルしてしまって、失敗ばかりしちゃうっていう。そんな恋をしている乙女たちに、私が代表して、みんなが幸せになるように魔法をかけるっていう曲です。できれば、私にも誰か魔法をかけてほしいっていう(笑)、ちょっと訴え系の歌詞になっています。ミュージック・ビデオは、大好きな彼とデートで映画館に行ったら、なぜか私の腹黒い部分がスクリーンに映し出されてるっていう。映画のなかの私は、一目惚れしてしまった美青年に頑張って近寄ろうとするんだけど、どうしてもうまく近寄れない。そんな時、いつも近くで相談にのってくれた男友達の存在に気がつく。運命の相手は美声年ではなく、彼かも知れないって」
15.I Don't Love You !??
<NO NO>というキャッチーなサビは、ライヴで言うなら、みんなで合唱しながら手拍子もできるポップソングのポジション。しかし、シンセの音色と四つ打ちのビートで、いまの空気に似合うエッジも備えている。作詞のインスピレーションは、彼女のバックダンサーの体験談によるもの。
「ダンサーの女の子の恋愛観を引き上げて書いた曲なんです。彼女は、自分から告白するとうまくいかない、相手から言わせた方が長続きするタイプだって言うんですよ。だから、彼の前では、気がある素振りは見せないんだけど、心のなかではすごく大好き!っていう。彼女は、彼の前では常に冷静でいたいし、イライラしている顔も見せたくないから、疲れてる時には絶対に逢わないって言うんですね。私は、素直こそが、女の子の可愛さじゃないのかなって思っているので、もう少し素直になればいいのになって想うんですけど……」
⇒倖田來未 ニュー・アルバム『Dejavu』インタビューを読む
by music_editor
| 2011-03-01 10:30
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