2008年 03月 28日 ( 1 )

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ネタの合間にギターを弾くBAHOライブ/文:char

2月からBAHOツアー2008が始まり、それから1ヶ月と少しの間、ギター片手に全国津々浦々を回ってきた。

このBAHOでは、全国各地の会館等が独自にイベントを企画する、いわゆる「会館自主事業」というやつでお呼びがかかることが多い。

今どきは日本全国どこへ行っても、新幹線の停車駅があるような街の近郊には、必ずと言っていいほど最新設備の立派な会館がこさえられている。
そういうところの年間スケジュールを見ると、大体がクラシックとか軽音楽、コーラスなんかのコンサートで、ロックバンドなんてまずあり得ないだろうって感じなんだけど、そういう意味ではBAHOはしゃべりあり、ネタあり、合間に演奏ありという、いわゆる「演芸」だからね。
それで会館の方でも「いっちょやってみっか」ということになるんじゃないかな。きっと。

俺がまだ人のバックで演奏していた三十数年前は、ツアーで地方に行くと女子高生はロングスカートのセーラー服にお下げ髪、男子は丸刈り頭、ほっぺたは真っ赤っかってのが当たり前の時代だったから、いざライブが始まっても客席は鳩に豆鉄砲みたいな顔していてね。
どうしてなかなかロックが日本で売れないのか、そのとき直観した気がしたよ。

今では東京と地方の格差は無くなってきているけれども、お客さんの反応っていうのは様々で、ライブが始まってみないと本当に分からない。
ある時、畑の真ん中にぽつんと建っているような会館でライブをやって、いきなりお客さんを驚かしちゃいけないから様子を見ながら、なんて思っていたら、もう音が聞こえた瞬間に拳を突き上げてこれモンで飛び跳ねちゃってね。
どうしよう?これ?って、バンドと顔を見合わせた。
ちょっと待ってよ、俺たちを置いていくなよ、って。
そうかと思えば、ときには正反対の場合もあるしね。

そういえば昔、Creedence Clearwater Revivalっていうバンドが来日したときに武道館へ見に行ったことがある。
ところが日本人ってPoliteな民族だから、向こうが一生懸命やればやるほどお行儀よく拍手で応えちゃうんだ。
いつもはビールとかバーボン片手に酔っぱらって彼女といちゃいちゃしながら、イエーイ!って盛り上がってるような奴らを相手にしているバンドだから、客席の反応を見て「自分たちは受けてない」と思ったんだろうね。
拍手喝采の中、アンコールもやらずに帰っちゃったんだよ。
そうしたら客がみんな怒っちゃって、窓を割る、火を放つ、機動隊が出るの大騒ぎ。そのエネルギーを最初から出しておけばいいのにね。
演奏は最高だったんだけど、ステージと客席の気持ちがすれ違っちゃう。そういうのを目の当たりにして、アウェーでやるのって難しいもんだなと学んだ気がしたね。

俺はライブっていうのは宴会と一緒だと思っているんだ。
最初は緊張してぎくしゃくしていても、最後にはもう誰も彼もなく打ち解けていくところが楽しい。そうじゃない?
だから例えばフェスティバルで持ち時間30分とか決められていると、こっちの作戦の立て方も変わってくる。
お客さんの雰囲気とか、出番が昼か夜かとか、いろんなことを考えるしね。
そういうステージと客席の駆け引きは、三十何年やってきてもまったく変わりがない。相変わらず緊張感は高いし、また楽しみなところでもあるんだ。

でも、石田長生という関西人と十数年BAHOをやってきて、鍛えられたなあと感じることがある。
俺はMCでもあまりしゃべる方じゃなかったし、オマエらこのサウンドを聴け、みたいな感じだったんだけど、石やんは当たり前のように客席とボケツッコミしてる。
お客さんが「石や~ん、石や~ん」ってしつこく呼んでいたら、「誰が漬物屋の大将やねん」って返して。
俺はそういうことに慣れてないから、そのときは「こいつ何言ってんだ」と思ったね。もうDNAに演芸が刻み込まれているんじゃないかと思った。

関西のお客さんっていうのは、ステージの上の俺にどんどん話しかけてくるし、ライブが終わるとステージに上がってきて「この服かっこいいやん。どこで買うてん。」とか訊いてくる。
最初の頃は面食らって「演奏の話じゃないのかよ。」とか思ってたんだけど、だんだん慣れて「かっこいいやろ?既製品ちゃうでえ。」なんて受け答えができるようになってきた。
だから石やんとBAHOをやるようになって、コール&レスポンスとか会場の雰囲気を読むのが得意になっちゃったね。残念ながら。

ただ、未だに苦手なことがあって、それはギターを持たずに人前に立つこと。
以前もギターの弦が切れたときに、スタッフが演奏中にそれを持ってどこかへ行っちゃったことがあって、しばらくの間ギターなしでマイクの前に立ちつくすしかなかった。もうどうしていいか分からなかったな。
あるべきものがあるべきところに無くて、裸で人前に出された気分だった。ギターじゃなくてもいいから、その辺にいる犬でも何でも抱きかかえたかったよ。
結婚式の乾杯のあいさつでさえも、やっと最近できるようになってきたくらいで、それも長い時間は無理。とんでもない。
もうそれだけギター持っているのが当たり前だし、マイク一本でスポットライト浴びるなんて想像しただけでも恥ずかしいよ。本当に考えられない。

でももし、見たいっていうリクエストがたくさん集まったら、やってみてもいいかな。

Charがギターを弾かないライブ。

え?お呼びでない?
そらまた失礼しました。
テケテンテンテン・・・
   by mottainai-lab | 2008-03-28 14:56 | char | Comments(25)   

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