肉食獣による家畜の被害を防ぐことで、マサイがライオンやらヒョウを害獣として殺さないようにするのが目的。うちらのエリアでは、たぶん2000年から推定300頭ほどのライオンやヒョウやハイエナが、害獣として毒殺されている。いかに肉食獣と地域住民(と家畜)が衝突しないようにするか、それが肉食獣を守る上で一番大切なこと。

8月にセミナー受けに行ったナミビアのチーター保護団体では、この牧羊犬を使って家畜をチーターから守ることで、農家の人がチーターを害獣として殺さないようにしてきました。過去14年間にこの団体から300匹の牧羊犬が家畜を守る為のツールとして、ナミビアの農民の手に渡されています。コラボレーションという形で、今回ナミビアからやって来たリズは、うちらのプロジェクトに最初の牧羊犬の子犬イセイヤ君を連れてきてくれました。今、マサイと羊の群れと一緒に、子犬のイセイヤ君はいっぱしの牧羊犬になる為にトレーニング中です(イセイヤ=マサイ語で「背の高い水草」(うちらのレンジャーポストの名前でもある))。

そしてこの3週間ずっとうちでバイトしていてくれた青年のテディーの仕事は、イセイヤと羊の群れが住むボーマ(集落)を作ること。この建物は肉食獣が侵入しにくい造りで建てられていて、今後コミュニティーを対象とした「デモンストレーション・ボーマ」として使われます。簡単に言えば、どうやって肉食獣による被害が少ない建物を作れるか習いにくる場所。その中で、牧羊犬のトレーニングや、家畜の損害賠償についてのミーティングなどもする予定で、いろいろな意味で今後のコミュニティーワークのセンターポイントとなる施設です。

ここまで出来上がるのに、テディーの助けがなかったら本当に出来なかった。土地使用料を30倍にふっかけられサイト変更すること1回、トラック使用量を10倍ふっかけられること2回、大工に仕事ボイコットされること2日。昼休み3時間とる大工を探しまわって連れ帰すこと毎日、契約した金額を増やされ交渉を一から始めること毎日、前借り要求を断ること毎日。酔っぱらいの村長に怒鳴られること1回、森から木材を運ぶこと50回以上、オロロロゲートから刈った草を運ぶの往復15回。本当なら、私が毎日ブチ切れながらやらなきゃいけなかった仕事っす。ホント、助かった。っていうか、テディー、君は救世主です。
それにしても、とんでもない仕事量のなか、ごうつくばりのうちの隣人たち相手に本当によく頑張ってくれました。それでも、「マラ生活楽しかったよ!また仕事があったらすぐ呼んでね!」と元気いっぱいの笑顔でマラを去って行った、テディー。
本当にありがとう!!