ちょうど、このMOTTAINAI Labの中に「MOTTAINAI sound~未来の子どもたちへ」というコンテンツがあって、海や山やいろいろな場所で採集された音を聞けるようになっているので、今回は「音」について書いてみます。
俺はミュージシャンだけど、だからってギターの音を始終ガンガン聞いていたいわけじゃない。海辺でのんびりしながら水平線に沈んでいく夕日なんか眺めているときには、もう波の音さえあれば十分。他には何もいらないね。
そして、それから日が落ちて辺りが暗闇になると、一層静けさが増したようになって、遠くにいる動物の息づかいや夜空をシューッと横切る流れ星の音もはっきり聞こえたように感じる。耳には聞こえてないはずなのに、どこかで感じているんだろうね。
元来、音楽っていうのは、そうした自然界にある音を模倣したものだと思うんだ。
獣の吠える声とか川を水が流れる音、じわじわと盛り上がってくる海鳴りの音とか、そういう音を人間が口まねや楽器を使って再現しようとしたところから音楽は始まったんじゃないかな。だから、所詮人間が作り出す音楽は擬似的なものでしかないし、自然が織りなす音にはどうしたってかなわないと思うよ。
不思議なことに人間っていうのは、そういう音を聞き分けられる感性を持っているんだな。こういう音は危険な感じ、こういう音は安らぐ、こういう音の近くには何かいいものがあるかもしれない、とか。それはこの地球上で生き抜くために、長い時間をかけてDNAに刻まれた本能かもしれない。
そして、人間にはいろんな民族があって遺伝的にも文化的にも違っているのに、その感性っていうのはだいたい一致しているっていうのも面白いね。
だから世界中どこに行って演奏しても、楽しい歌は楽しい歌として、悲しい歌は悲しい歌としてちゃんと伝わる。
よく言われることだけど、音楽は人類に共通の、言語を超えた言語なんだなあと実感するよ。