今の時点で連想した事を書こうと思います。
今、頭に思い浮かんでいるのは、
小学校5年生の遠足の日の朝です。
母はかなり早起きをして、遠足用のお弁当を作ってくれました。
「文平、できたよ。」と言われて見に行くと、
その弁当は、母親史上最高キレイな仕上がりで、
母の顔にもそこはかとない達成感がみなぎっていたのを覚えています。
特に銀紙の中でツヤツヤと輝くピンク色のゼリーが最高。

「うわぁ・・・」と思った次の瞬間、
僕は手を滑らせてその弁当を落としてしまった。
なんであそこで手が滑ったのか。
さっきまでツヤツヤだったゼリーはビチャビチャに飛び散って、
海老フライのソースと混ざってドス黒くなって、
キッチンの壁をナメクジみたいにずり落ちました。
あの瞬間はもったいなかった。
今思い返してももったいない。
もったいなすぎて、僕は落ちたゼリーを集めて銀紙に戻して、
元の弁当に戻そうとしけど、絶対に戻らなくって、
母に「いいよ。文平。すぐ作れるよ。」と言われて泣けた。
ホントに良く出来た弁当だったのになぁ。
あの達成感に満ちた母親の顔も、ピンクのゼリーも、
なにもかも指の先が滑っただけで全部ブチ壊しになってしまった。
「もったいない」はせつないです。
寄藤文平