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「日本の未来、社会保障を考える」

大手町の日経ホールで開かれた、日経健康セミナースペシャル21
「日本の未来、社会保障を考える
  ~世界に誇る国民皆保険制度を維持するために、ジェネリック医薬品ができること~」で、
総合司会とパネルディスカッションの進行役を務めさせていただきました。

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基調講演は、経済学者で、東京大学大学院教授の伊藤元重先生。
「アベノミクス」以降の日本経済と、増え続ける医療費とその適正化に関するお話をしていただきました。

その後のパネルディスカッションでは、
厚生労働省の城 克文さん、薬剤師で横浜市総合保健医療センター診療部課長の有山良一さん、
全国健康保険協会理事の貝谷 伸さん、タレントの江口ともみさんとともに、
限られた国の予算の中で国民皆保険制度を守るために、医療費をどう効率化するかをテーマに、
それぞれの立場から議論しました。

日本では一般的に、国民は公的な医療保険制度を通して、
病気やけがをしたときにかかる医療費(診察、検査や治療、薬代等)は、
実際の金額の3割を、医療機関の窓口で支払えばよいという仕組みになっています。
(小学校就学前は2割、70歳~75歳は1割または収入により3割 / 75歳以上は後期高齢者医療制度)
自己負担以外の残りの医療費は、加入者が毎月払う保険料と税金によってカバーされています。

しかし、日本は世界に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。
働く世代の比率が下がるとういことは、この保険制度の支え手が少なくなるということであり、
高齢になって医療を必要といる人が増えるということは、医療費はもっともっとかかるようになるということ。
つまり、制度を支える財政のバランスが崩れてしまうということです。

長寿は嬉しいことです。「国民皆保険制度」は世界に誇る素晴らしい制度です。
でも、毎年約1兆円ずつ増えている医療費と、加速度的に進む少子高齢化の問題を、
どうやって解決したらいいのでしょうか???

もちろん、1人1人が健康への意識を高め、予防に努めることが大切です。
それでも、いつ病気になるかはわかりません。
となれば、“医療費の効率化”がもっとも重要な課題となります。
パネリストの有山先生は“医療費のeco”ともおっしゃっていました。

そのような中、医療費の2割以上を占める「薬代」をスリム化することは、
ダイレクトに医療費節減につながります。

医療機関で処方される薬には、
「先発医薬品」と「後発医薬品(=ジェネリック医薬品)」があるのをご存知ですか?
先発医薬品は、特許期間中である“新薬”と、特許が切れた“長期収載品”とに分けられます。
長期収載品と有効成分や効き目を同じにして作られ、
国の審査を経て市場に出るものが、“後発医薬品(ジェネリック医薬品)”で、
研究開発費がかからない分、価格が安く設定されています。

つまり、ジェネリック医薬品の普及促進こそが、
医療の質を落とさずに医療費の効率化の図る大きな1歩といえるわけです。

数量でのシェアを国際的に見てみると、アメリカでは9割、フランスでは6割を占めていますが、
日本では、増えてはいるものの、まだ4割程度。
安全性への不安と、逆に先発医薬品より進んでいる点が知られていないことが一因といえるでしょう。

不安…という点では、これまで飲んでいた薬と添加物等がちがうためアレルギーを起こす方や、
効き目を実感できなくなったと感じる方もいるようです。
そのあたりはもちろん1人1人異なりますので、医師や薬剤師と納得いくまで相談することが大切です。

進んでいる点というのは、
飲みやすい形状や、水なしで飲めるようにしたり、誤って飲むことを防ぐための包装の工夫など、
“患者さん目線”の改良が積極的におこなわれているという点です。

変えられる薬がある場合は、ジェネリック医薬品という選択を考える…
これが、自分のお財布だけでなく、国のお財布(財政)にもやさしい選択なんだということを、
ぜひ多くの方に知っていただければと、このパネルディスカッションに参加して思いました。

実際にジェネリック医薬品へ切り替えるとどのくらい金額が違うのか…とか、
自分の飲んでいる薬にジェネリック医薬品があるかどうか…などがわかるホームページは、 →こちら

未来のために、いまできることを。まずは“知ること”から始めたいですね。
このセミナーの詳しい内容は2月下旬の日本経済新聞に掲載されます。

by mori-mado | 2014-01-26 22:51 | 医療キャスターのおしごと | Comments(0)

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