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欧米の経済団体「医療政策白書2013」を発表

在日米国商工会議所(ACCJ)欧州ビジネス協会(EBC)による、
「医療政策白書2013年版」発表記者会見に出席し、
欧米の“経済界”がどんなふうに日本の医療界を見ているか、興味深く取材させていだきました。

ACCJのローレンス・ベイツ会頭、EBCのデューコ・デルゴージュ会長からの概要説明によると、
日本経済の成長を促し、日本が経済競争力を強化するために重要なのは
①病気やけがによる日本全体の医療費を減らすことと、
②病気やけがを原因とする労働生産性の低下や、療養のための休業を防ぐこと
という視点から、白書はまとめられたということで、
36分野150以上の医療政策提言が盛り込まれています。
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(ローレンス・ベイツACCJ会頭=右から3人目 デューコ・デルゴージュEBC会長=右から2人目)

健康で長生きすることと経済の活性化がどのようにつながるかについては、
平均健康寿命が1年延びることで世界のGDPの4.3%上昇につながる、
世界で非感染症(うつ病、生活習慣病など)が増加することにより
今後20年間で47兆ドルの世界経済の損失が生じると試算されている、
などの数字をもとに説明がありました。

いくつかの分野の代表者からも具体的な提言の発表があり、
結論として、いまよりもっと踏み込んで「予防・検診志向型の医療」に転換するべきと強調。

他に例がないほどのスピードで高齢化が進む日本で、
いま考えなければならない課題が浮き彫りになった感じです。

“慢性疾患の多くは予防できる、がんも早期発見できる”
そこを徹底していかないと、寿命の後半が治療にあてられてしまい、
生産性を下げると同時に医療費が増えつづけてしまう。
それが経済成長の足を引っ張るということは、長寿国の日本にとって非常にもったいない、ということですね。

しかし、厚生労働省も以前より予防や早期発見を重視した施策を打ち出しています。

昨日、日本医学ジャーナリスト協会の総会で伺った秋葉賢也厚生労働副大臣のお話でも、
健康寿命を延ばすこと、生活習慣病の発症予防と重症化予防などは、
“健康の増進に関する基本的な方向”として位置づけられていました。

「現在の厚生労働省の取り組みは、方向性自体に課題があるのか、それとも足りていないのか?」
と、現状に対する見解について質問させていただくと、
「現在も確かにその方向性を打ち出してはいるが、
方針を出してあとは各自治体に任せていることで質に格差が生じたり、内容も一貫性がない、
そういうところにまだ改善の余地がある。
予防も検診ももっとスピード感を持って普及定着させていくべきだと考えている」と、お答えいただきました。
また「日本の医療システムは大変優れているが、“治療”をベースに作り上げたものなので、
抜本的な改革も必要なのでは」と強調していました。

なるほど、確かに。目標を掲げるばかりでなかなか進まない、効果が出ていないのは、その通りです。

「医療政策白書2013年版」、こんなに分厚いんです!
細かくテーマ分けした36項目について、日本の現状や現行政策の課題も書かれていて、勉強しがいがあります!
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国民皆保険制度は世界に誇る素晴らしい制度と私は思います。世界も認めています。
ただ、そこに甘えて国民の健康への意識が高くないという点が問題であり、
その具体策をどうするかが、健康寿命を延ばすための喫緊の課題ではないかと思います。
がん検診受診率の低さは先進国でグンを抜いているし、
特定健診(メタボ検診)は、健診を受けて指導を受けない人が多くて効果が出ていない、
受動喫煙ががんや心血管の病気などに及ぼす影響を指摘されても、禁煙の進むスピードはスロー…etc.
これらをある程度のパワーを持って実行させていかないと。広報・啓蒙活動だけでは限界なのでは。
パワーとは、予算なのか規制緩和なのか法改正なのか…。

国の政策転換と、国民1人1人の意識改革、
そのためのメディアの役割と責任も大きいと改めて思いました。

検診の受診や健康への取り組みが、自分が負担する健康保険料に反映されるとしたら???
そうなればきっと変わるでしょうね(;^^A 

by mori-mado | 2013-05-31 17:08 | 医療キャスターのおしごと | Comments(0)

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