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医療の隙間を埋める

がん哲学外来市民学会」の記念すべき第1回大会が長野県佐久市で開かれ、
総合司会を担当してまいりました。
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「がん哲学外来」は、がん患者とその家族が生きることの根源的な意味について語れる“対話”の場で、
「がんであっても笑顔を取り戻し、その人生を生ききることが出来るように支援したい」と願う
順天堂大学医学部の樋野興夫教授が、2008年に順天堂医院で立ち上げました。

患者さんや家族の安心につながるこの対話の場を望む声は、全国から寄せられ、
樋野教授と各地の病院が連携しながら、「がん哲学外来」が少しずつ広がりをみせています。

さらに、「街角にもっと、がん患者さんががんについて気軽に語り合う場があれば、
“医療の隙間”を埋めることができるのではないか」と、
樋野教授が中心となって、“市民”をコーディネーターに養成するプログラムを開始し、
今年1月に学会が設立され、第1回大会が開催されるまでに至ったのです。
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冷たい雨が降る中でも大勢が参加し、450人入る会場はほぼ満席。
各地の「がん哲学外来」の活動報告、
「医療の隙間を埋める~がん哲学外来の使命~」と題したパネルディスカッション、
元NHKアナウンサーで軽井沢朗読館の青木裕子館長による絵本の朗読、
ノンフィクション作家の柳田邦男さんによる特別講演など、充実したプログラムとなりました。

私もこの学会の世話人の1人。
市民のムーブメントとして、がん患者や家族をサポートしていくための学会が立ち上がったことは
画期的、かつ大きな1歩であり、これから長寿社会を生きる私たちにとって心強いことだと思っています。
そんなことを思いつつ、ステージの袖でプログラムを聴いていました。
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“2人に1人ががんになる”“がんは国民病”といわれている現在の日本では、
がんはもはや特別な病気ではないかもしれません。
それでも、いまだ本人や家族ががんを受け入れて向き合うまでには時間を要し、
精神的なダメージが大きいという厳しい現実があります。
私もがん患者の家族です。家族ががんと診断されたとき、
本人を含め家族中が「がん」の圧倒的なプレッシャーに負けそうになったあの感覚は、
いまでも忘れられません。

一方、日々医療取材をする中で、
検査や治療の機器や技術は10年20年前とは比較にならないほど進歩し、
“がん=不治の病”ではなく、コントロールしながら生活できる時代であるということも知りました。

ならば、がんに対する先入観から自らを解放し、がんとうまくつきあっていくことが
今後私たちにとって大切になるのではないでしょうか。

1人1人のがんに対する感覚が変わることで、がんに対する社会の常識が変わります。
悲しみや苦しみの対象としてだけではなく、「穏やかに」がんを語り合える社会が実現してこそ、
自分自身が、家族が、友人が、知らない誰かが、もしがんで悩んだときでも
落ち着いて考え、向き合っていくことができるはずです。

きれいごとかもしれない…、でも、そんな期待をこめて、この市民学会が発展していくことを願っています。
来年、東海大学医学部の安藤潔教授が大会長となり、東京か横浜で第2回大会が開催される予定です。

by mori-mado | 2012-09-23 23:29 | 医療キャスターのおしごと | Comments(0)

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