
朝、今日はヴロツワフまで10時間のバスの旅。覚悟をしてホテルの外に出ると、信じられない光景が。雪があまりの寒さに氷の結晶となって、朝日にキラキラと光っている。どうやらこれが「ダイヤモンドダスト」らしい。黒いダウンジャケットにくっついた雪は、肉眼で「雪印」のマークそのものに見える。本当に美しい光景で、みんな眠い目をこすりながらも見とれていた。バスはひたすら西へ向かう。

午後2時、今回のポーランド・ツアーで宮沢がどうしても立ち寄りたいと言っていた場所、アウシュヴィッツ強制収容所に到着した。そこにはアウシュヴィッツでただひとりの日本人ガイド、中谷さんが待っていてくれた。抜けるような青い空の下、雪に覆われたアウシュヴィッツ。そこは想像以上に「なにもなかった」。そのまま収容所の中に展示された、ひたすら「髪の毛」だけのブース。ひたすら「子供の靴」だけのブース。ひたすら「こわれたメガネ」だけのブース。特にかかとがすり減った子供や大人の靴は、その人達が生きていた証が伝わってくる。胸が苦しいっていうよりは、吐き気がしてきた。
中谷さんの説明は「こんなひどいことがあった、ひどい時代でした」というようなものではなく、事実をシンプルに説明しながらも常に私達の心の中に問いかけをしてくる、今までに出逢ったことのないガイドでした。1時間という短い時間だったけど、本当に行ってよかったと思いました。
中谷さんは最後にこっそりと「実はこれから車を5時間走らせて、家族全員でヴロツワフまでライブを観に行きます。今日は宮沢さんにアウシュヴィッツを観てもらえて、本当によかった」と言ってくれました。宮沢はこの夜、ヴロツワフに到着後、すぐに部屋で原稿を書いていました。その原稿は今月22日発売の『小説新潮』の連載「言の葉摘み」に掲載されます。
一緒にバス移動しているトメックは、既にMIYAZAWA旅団の一員のように、マルコス・スザーノやtatsuさん達とトイレ休憩のドライブインでわいわいしている。そんなトメックを、こそこそと「あ!トメックよ!」と言って偶然出くわした子供達が指さしている。ポーランドでアイドル的人気があるシンガーだっていうことを既に忘れそうになるくらい、トメックは私たちにとけ込んでいます。
19時。ようやくヴロツワフに到着。気温は寒いけど、雪は無い。ホテルにチェックインして、今日はベトナム系の中華レストランへ! ヴロツワフには1年半前のワルシャワでのライブに尽力してくれた八島さんを始め(ポーランドで「島唄」が広まったのは、彼が赴任先のポーランドの高校で「島唄」を歌ったことがきっかけなのです。そして今回、八島さんは昨年11月からヴロツワフにに住み、フライヤを作ったり、ラジオやテレビに自らが出演したりしてプロモーションしてくれています)、多くの日本人が私たちのライブをサポートしてくれています。今夜のレストランを探してくれたのも、その中のひとり、というか一家族、露草さんファミリー。人々の親切や、久々のアジア料理に感動。でも、「原稿書かなきゃ」とホテルに籠もっている宮沢のことを考えると申し訳ない気持ちもいっぱい……。
前日のプシェミシルでのライブ写真が、プシェミシル市のホームページに掲載されています!
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by miyazawa-sick05
| 2005-02-09 20:48
トメック・マコビェツキと宮沢
午後1時、ホテルから車で10分ほどの所にあるプシェミシル市体育館に到着。かなり古い建物。体育館の廊下を仕切って楽屋代わりに使う。楽屋にはプシェミシルで合流したスタッフからの差し入れ「赤いきつね」。初日のパリ以降、日本食レストランがあまり無い国にばかりをツアーしているため、MIYAZAWA-SICK旅団は一度も日本食にありついていない。そんな状況下にやってきた「赤いきつね」に、一同感激し、みんなで回し食い。見よ、この至福の笑顔。この写真を誰か「マルちゃん」に送ってやってください。


あらかた楽屋のセッティングを終えて、ホールに入ると、迷彩服の若者達が働いている。今日のライブは、国境警備隊の人達も舞台の設営などにボランティアで参加してくれている。本当に街ぐるみでこのライブを盛り上げようとがんばってくれている。本番直前、いつものように宮沢はポーランド語のMCを一生懸命練習している。今回は5カ国全て言語が違うから、本当に大変の一言につきる。ポーランドでの共演者、トメック・マコビェツキは昨日プシェミシルにマネージャーのアニャと2人で入ってくれた。楽屋でのインタビューがこちらに載っています。

開場時間。体育館には町中の人がやってきたの?というくらいに、多種多様な人々が訪れていました。約1300人近くの人が入ったそうです。ライブが始まると、なんだか異様な盛り上がり。ウクライナとの国境にあるこの小さな街プシェミシルでは、ロックコンサートというものに触れたことが無いであろう人達ばかり。反応が今までのコンサートとは全く違う。静かな曲の時にも、子供達がざわざわとしている。観ていた私は、すごく戸惑った。でもすぐにこの感覚がつかめた。あぁ、今までTHE BOOMが3年間野外で全世代に向けてやってきたライブ、あのときの肌触りに近い。土地土地によって、年齢層もお客さんのタイプも全く違う。なにせ今回は国まで違う! そう感じたその頃から、客席の反応も徐々にヒートアップしてきて、最後にはやはりこのバンドのペースに客席が巻き込まれていった。

アンコールで登場したトメック(ポーランド人なら誰もが知ってるロックシンガー。22歳!)に、客席も大興奮。トメックは宮沢と目を何度も合わせながら「ひとつしかない地球」を美しい日本語で熱唱してくれた。
ライブが終わったあと、急いで出口に設置したCDとTシャツを販売するための机で、「プイタ!!(ポーランド語で「CD」という意味)プイタ!!」と叫んでいると、「5枚ちょうだい」と言ってくれた男の子、「今日のライブの曲はたくさん入ってる!?」と興奮しながら話しかけてくれた女の子など、たくさんの人が集まってくれた。楽屋に戻り、宮沢にそんな反応を伝えつつ、弾き語りコーナーの時のことを話すと、「うるさいのは気にならないよ、俺。国も地方も違うんだから、反応が様々なのは当たり前。俺はベストを尽くす。今日の弾き語りはすごく満足がいく歌が歌えたよ」と言っていた。
バンドメンバーも今日は様々な感想を持っていたと思う。高野さんの日記を読んで感じることも沢山ありました。高野さんの日記を読むと、泣かされて、奮起させられます。

午後1時、ホテルから車で10分ほどの所にあるプシェミシル市体育館に到着。かなり古い建物。体育館の廊下を仕切って楽屋代わりに使う。楽屋にはプシェミシルで合流したスタッフからの差し入れ「赤いきつね」。初日のパリ以降、日本食レストランがあまり無い国にばかりをツアーしているため、MIYAZAWA-SICK旅団は一度も日本食にありついていない。そんな状況下にやってきた「赤いきつね」に、一同感激し、みんなで回し食い。見よ、この至福の笑顔。この写真を誰か「マルちゃん」に送ってやってください。


あらかた楽屋のセッティングを終えて、ホールに入ると、迷彩服の若者達が働いている。今日のライブは、国境警備隊の人達も舞台の設営などにボランティアで参加してくれている。本当に街ぐるみでこのライブを盛り上げようとがんばってくれている。本番直前、いつものように宮沢はポーランド語のMCを一生懸命練習している。今回は5カ国全て言語が違うから、本当に大変の一言につきる。ポーランドでの共演者、トメック・マコビェツキは昨日プシェミシルにマネージャーのアニャと2人で入ってくれた。楽屋でのインタビューがこちらに載っています。

開場時間。体育館には町中の人がやってきたの?というくらいに、多種多様な人々が訪れていました。約1300人近くの人が入ったそうです。ライブが始まると、なんだか異様な盛り上がり。ウクライナとの国境にあるこの小さな街プシェミシルでは、ロックコンサートというものに触れたことが無いであろう人達ばかり。反応が今までのコンサートとは全く違う。静かな曲の時にも、子供達がざわざわとしている。観ていた私は、すごく戸惑った。でもすぐにこの感覚がつかめた。あぁ、今までTHE BOOMが3年間野外で全世代に向けてやってきたライブ、あのときの肌触りに近い。土地土地によって、年齢層もお客さんのタイプも全く違う。なにせ今回は国まで違う! そう感じたその頃から、客席の反応も徐々にヒートアップしてきて、最後にはやはりこのバンドのペースに客席が巻き込まれていった。

アンコールで登場したトメック(ポーランド人なら誰もが知ってるロックシンガー。22歳!)に、客席も大興奮。トメックは宮沢と目を何度も合わせながら「ひとつしかない地球」を美しい日本語で熱唱してくれた。
ライブが終わったあと、急いで出口に設置したCDとTシャツを販売するための机で、「プイタ!!(ポーランド語で「CD」という意味)プイタ!!」と叫んでいると、「5枚ちょうだい」と言ってくれた男の子、「今日のライブの曲はたくさん入ってる!?」と興奮しながら話しかけてくれた女の子など、たくさんの人が集まってくれた。楽屋に戻り、宮沢にそんな反応を伝えつつ、弾き語りコーナーの時のことを話すと、「うるさいのは気にならないよ、俺。国も地方も違うんだから、反応が様々なのは当たり前。俺はベストを尽くす。今日の弾き語りはすごく満足がいく歌が歌えたよ」と言っていた。
バンドメンバーも今日は様々な感想を持っていたと思う。高野さんの日記を読んで感じることも沢山ありました。高野さんの日記を読むと、泣かされて、奮起させられます。
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by miyazawa-sick05
| 2005-02-09 20:32

今日はメンバーは一日オフ。IGAさんが「ぜひ連れていきたい場所があるの」と、メンバーをポーランドとウクライナとの国境へ連れていってくれました。有刺鉄線が張り巡らされた国境は、想像していたよりものんびりとした佇まい。宮沢が「EUの果てだね」とつぶやいていたのが印象的でした。
上の写真はIGAさんからプレゼントされたクッキー。それはそれはおいしかったのです。
夕方にホテルへ戻り、解散。宮沢は読売新聞ロンドン支局から「ライブの事前にインタビューをお願いできますか」とのオファーがあり、部屋で電話インタビューを受けました。
夜、ホテルの前のイタリアンレストランに行くと、オーナー夫妻の大歓迎! 「明日のライブ必ず行くわよ!」とビールやワインを振る舞ってくれました。
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by miyazawa-sick05
| 2005-02-07 10:52