アウシュビッツ、そしてヴロツワフへ移動――2月5日

朝、今日はヴロツワフまで10時間のバスの旅。覚悟をしてホテルの外に出ると、信じられない光景が。雪があまりの寒さに氷の結晶となって、朝日にキラキラと光っている。どうやらこれが「ダイヤモンドダスト」らしい。黒いダウンジャケットにくっついた雪は、肉眼で「雪印」のマークそのものに見える。本当に美しい光景で、みんな眠い目をこすりながらも見とれていた。バスはひたすら西へ向かう。

午後2時、今回のポーランド・ツアーで宮沢がどうしても立ち寄りたいと言っていた場所、アウシュヴィッツ強制収容所に到着した。そこにはアウシュヴィッツでただひとりの日本人ガイド、中谷さんが待っていてくれた。抜けるような青い空の下、雪に覆われたアウシュヴィッツ。そこは想像以上に「なにもなかった」。そのまま収容所の中に展示された、ひたすら「髪の毛」だけのブース。ひたすら「子供の靴」だけのブース。ひたすら「こわれたメガネ」だけのブース。特にかかとがすり減った子供や大人の靴は、その人達が生きていた証が伝わってくる。胸が苦しいっていうよりは、吐き気がしてきた。
中谷さんの説明は「こんなひどいことがあった、ひどい時代でした」というようなものではなく、事実をシンプルに説明しながらも常に私達の心の中に問いかけをしてくる、今までに出逢ったことのないガイドでした。1時間という短い時間だったけど、本当に行ってよかったと思いました。
中谷さんは最後にこっそりと「実はこれから車を5時間走らせて、家族全員でヴロツワフまでライブを観に行きます。今日は宮沢さんにアウシュヴィッツを観てもらえて、本当によかった」と言ってくれました。宮沢はこの夜、ヴロツワフに到着後、すぐに部屋で原稿を書いていました。その原稿は今月22日発売の『小説新潮』の連載「言の葉摘み」に掲載されます。
一緒にバス移動しているトメックは、既にMIYAZAWA旅団の一員のように、マルコス・スザーノやtatsuさん達とトイレ休憩のドライブインでわいわいしている。そんなトメックを、こそこそと「あ!トメックよ!」と言って偶然出くわした子供達が指さしている。ポーランドでアイドル的人気があるシンガーだっていうことを既に忘れそうになるくらい、トメックは私たちにとけ込んでいます。
19時。ようやくヴロツワフに到着。気温は寒いけど、雪は無い。ホテルにチェックインして、今日はベトナム系の中華レストランへ! ヴロツワフには1年半前のワルシャワでのライブに尽力してくれた八島さんを始め(ポーランドで「島唄」が広まったのは、彼が赴任先のポーランドの高校で「島唄」を歌ったことがきっかけなのです。そして今回、八島さんは昨年11月からヴロツワフにに住み、フライヤを作ったり、ラジオやテレビに自らが出演したりしてプロモーションしてくれています)、多くの日本人が私たちのライブをサポートしてくれています。今夜のレストランを探してくれたのも、その中のひとり、というか一家族、露草さんファミリー。人々の親切や、久々のアジア料理に感動。でも、「原稿書かなきゃ」とホテルに籠もっている宮沢のことを考えると申し訳ない気持ちもいっぱい……。
前日のプシェミシルでのライブ写真が、プシェミシル市のホームページに掲載されています!
by miyazawa-sick05
| 2005-02-09 20:48




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