明治神宮前「野田」へ行く。











懇意にさせていただいていた明治神宮前の人気ビストロ「kiki Harajuku」が同じ場所でリニューアルオープンし、


日本料理をベースとしたイノベーティブフュージョン「野田」となったので、お邪魔させていただいた。


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「野田」の料理は、日本料理にハーブを合わせる唯一無二の独創的な料理。


店内に入る前に、まずお店の前で、本日のコースに使われるハーブの説明をいただく。


50種近いハーブをお店で育てていて、そのうちの30種くらいが今回の料理に使われるとのこと。


スタッフさんがその場で摘み取って味見をさせてくださり、ハーブの香りや効能などを説明くださる。


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店内は4席のカウンターと4人テーブル1つの、プライベート感のあるゆったり食事ができる空間。


この日は野田シェフの料理を目の前で感じられるカウンターアリーナ席にて。


1品目は「麺」というタイトルの料理。


赤茄子を麺状にして葛粉と合わせ、きゅうり一番出汁を合わせたスープに、アカウニ、お店で育てたホーリーバジル、大葉の組み合わせ。


繊細な日本料理にハーブというは言葉だけ聞くと驚くかもしれないが、驚くのは組み合わせではなくその味で、香り豊かなハーブを感じつつも、ちゃんと日本料理の繊細さと、美味しさが共存しているのがすごい。


この料理で言えば、麺の食感、茄子の味わい、ハーブの香り、出汁の旨味がちゃんとバランス良く、お皿の中にいる。


1品目から驚かされて、1品目からもうワクワクが止まらない感じ。


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ドリンクは、アルコールペアリングと、ノンアルペアリングが選べる。


「kiki Harajuku」の頃から野田さんの作るノンアルドリンクが大好きだったので、この日もノンアルペアリングで。


1、2品目に合わせるノンアルドリンクは「マンゴートマトジュース」


マンゴーとトマトに、ハーブ、玉ねぎ、セロリ、ニンニクなども入っていて、ジュースではあるのだが、上品なコンソメスープを飲んでいる感じでもあり、これをトマトジュースと言っても良いなら、今までの飲んだトマトジュースのNo.1だった。


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ちなみに、別の方が頼んだアルコールペアリングの1杯目は、焼酎「ぷぅ」に生のジャスミンの花で香り付けしたもの。ジャスミンの花がめちゃくちゃいい香り!


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2品目は、「天麩羅」


シロイカをポレンタとカダイフで天麩羅にして、上にはこのこ(ナマコの卵巣)を乗せている。


ちなみに、メニューにはあえて料理の詳細や食材は書かれておらず、いわゆるオーソドックスな日本料理の名前だけが並んでいる。


いい意味で、脳がバグるというか、この先も、私の脳が思っている日本料理を清々しく裏切ってくれるのが心地いい。


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3品目は、「海苔巻き」


お店で育てているハーブの他、キウイきゅうりアボカドシャインマスカットなど、全て緑のもので統一されている。別皿の「かえし」を付けていただく。


一見、野菜や果物のように見えるが、食べると、ちゃんと寿司の「海苔巻き」の味がするし、海苔巻きになっていて驚く。とても美味しい。


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合わせるドリンクは、シャルドネエルダーフラワーの煎茶。


アルコールを飛ばしたシャルドネに、エルダーフラワーを使ってお茶に仕上げたドリンク。すごくいい香りで、今回のノンアルペアリングの中で一番好みだった。


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アルコールペアリングはこちら。


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4品目は、「焼き霜」という料理。


夏の日本料理の定番とも言える鱧の焼き霜なのだが、野田さんの手にかかると、見たことも食べたこともない別の料理に変わる。


焼き霜をパッションフルーツとお店で育てたバジルのサラダと合わせ、香り良くまろやかな梅ソースと共にいただく。


この時期、特に日本料理屋さんにお邪魔すると、どこでも鱧が出てきて、だいたい鱧の料理は一緒の仕立てになりやすいのだが、正直毎日食べ歩いている私でも初めてと思えるような料理だった。そして、珍しいだけでなく、ちゃんと美味しい。


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5品目は、「う巻き」


いわゆる「う巻き」は玉子焼きの中に鰻が入っている料理を指すが、「野田」のう巻きは17時間かけて作る高加水パンにたっぷりと卵液を浸して、まるでフワフワの玉子焼きかのようなフレンチトーストの中に鰻を挟み、最後にバターで焼き上げたもの。


店内にう巻きとは思えないバターのいい香りが広がる。


ここまで来ると、もうメニューには騙されないぞ!というか(笑)、私の想像は超えてるんだろうなとは思っていたが、この料理は遥か斜め上をいっていた。


そして、私のう巻き史上No.1のう巻きだった。


美味しすぎて、お代わりさせてもらったくらい。他の追従を許さないというか、おそらくこのう巻きは他は超えてこないんじゃないかと思う。


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ノンアルドリンクは、お店で育てているオレンジタイムの蒸留水とヒマラヤン紅茶の組み合わせ。


ほのかに山椒のような清涼感があるドリンクで、う巻きにとてもよく合っている。


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6品目は、「擦り流し」


岐阜県長良川の天然鮎を骨も肝も全てすり流して、なんとほうじ茶と合わせたもの。


鮎の焼いた香ばしさや骨などを擦り流した粉っぽさが、ほうじ茶の焙煎香とすごく良く合ってて、正直私は鮎はそこまで好みではないのだが、鮎の苦手なところを一切感じないというか、私でも美味しくいただける料理だった。


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7品目は、「握り」というタイトル。


自家製の青梅醤油ホーリーバジルに漬けた中とろのづけと、赤紫蘇のシャリ、ラベンダーで香り付けしたガリの組み合わせ。


和食の中でも特に繊細なにぎりに、ふんだんにハーブを使っているのだが、これがすごいバランスになっていて、ちゃんとにぎりだし、ネタである中とろの味も残っている。

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合わせるノンアルドリンクは、白ワインミルク烏龍


青梅と、アルコールを飛ばした白ワインと、名前の通りの甘いミルキーな味わいがするミルク烏龍の組み合わせ。


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8品目は、「酒蒸し」という料理。


赤ワイン日本酒でじっくり酒蒸しをした柔らかい鮑に、貝合わせであさりと赤ワインで炊き上げた赤飯。豆合わせで、丹波の黒豆も。


鮑もさることながら、お皿の端にあるスッポンで炊き上げた細くて小さな松の葉昆布の旨味がすごくて驚いた。おつまみ昆布史上No.1だと思う。


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9品目は、「含め煮」という料理。


含め煮というと、素朴で、やや地味な印象の和食をイメージしてしまうが、それをあえてコースの真ん中に置き、グラニテのような感覚の箸休めに。

優しい出汁で炊き上げたトマトに、オクラの花とじゅんさい、お店で育てている長命草のオイルを合わせたもの。出汁がとても美味しい。


そして、長命草のオイルが偏光してて、玉虫色になってて、美しかった。




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10品目は、「造り」


佐島のタコをお店で育てているレモンティーツリーで味付けしたもの。


レモングラスのソースと、付け合わせにレモンマートルでマリネしたキクメロン。


全てレモン系の香りのするハーブで合わせている。


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合わせるノンアルドリンクは、焼きパプリカミラベルのオレンジワイン


香りは焼きパプリカなのだが、飲むとミラベル(西洋プラム)の甘味と味わいがする料理とジュースの間のようなドリンク。


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11品目は、「胡麻酢和え」という料理。


目の前で炒ってくれる炒り立ての胡麻に、利休焼きをしたホタテ発酵ヤングコーン(これめちゃくちゃ美味しい)、干し野菜の組み合わせ。


お店で育てたコリアンダーシードで作ったコリアンダーシード柚子胡椒がすごくいいアクセントになっている。


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12品目は、「蕎麦」


野田さんが手打ちをした蕎麦に、鮑の肝黒胡麻を合わせた胡麻だれ、蕎麦の下にはアワビ繋がりでアワビダケが隠れている。


鮑の肝入り胡麻だれが秀逸で、大人な味。いわゆる蕎麦というより、「料理な蕎麦」で、お酒に合う蕎麦だと思う。


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13品目は、「田楽」


野田さんの作る田楽なので、いわゆる田楽ではなく、冬瓜の煮物に2色の味噌。


1つは和牛八丁味噌で、もう1つはなんとココナッツバナナ


これが驚くほど冬瓜にも出汁にもあってて、田楽味噌の新しい発明だと思う。


料理に向き合って戦っているというか、「攻めの田楽」を初めて食べた。コースの最後の方にあえて「田楽」を持ってくるのもすごい。


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合わせるドリンクは、発酵ブルーベリーラベンダーの赤ワイン。


ブルーベリーとラベンダーの香りが良く、少し甘めの赤ワインを飲んでいるような気分。


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14品目は、「鍬焼き」という料理。


お店で育てているシナモンの香りを夏鹿に纏わせて、鍬焼きにしている。


ソースは、フォアグラ奈良漬けを合わせたもの。


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15品目の甘味は、作り立ての葛切り


梅酒、黒糖、ブランデーでマリネしたシャインマスカットが中に入っている。


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16品目は、お店で作った梅酒トマトスイカのかき氷。


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17品目は、「ジャスミンフラワー豆腐」


杏仁の代わりに、ジャスミンフラワーで香り付けをしたミルクプリン。いい香りが口いっぱいに広がる。


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最後は、お店で育てているフレッシュなローリエを使ったローリエ抹茶


この抹茶が香り良く、飲みやすく、これまでいただいた抹茶のNo.1かもしれない。発明だと思う。


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本当にすごい料理をいただいた。


「kiki Harajuku」の後期は、オーナーシェフの野田さんがフォアフラを使った最中や魚とフルーツの手巻き寿司、セモリナ粉を使った手打ちそばなど、日本料理をベースにした新しい料理を多数出されていて、今回の「野田」はそれが昇華し、さらに具現化していったようなお店だった。


説明のために、冒頭で「日本料理をベースとしたイノベーティブフュージョン」とは書いたが、野田さんにしか作れない「野田料理」という新ジャンルだと思う。


野田さんの料理の素晴らしいところは、珍しい、変わっているの先に、ちゃんと「美味しい」の着地があって、「美味しい」を守っていることだと思う。


正直、イノベーティブフュージョン料理はシェフがアーティストの領域に行ってしまっているお店もあって、もはやお客様が置いてけぼりというか、美味しいかどうかもよく分からんみたいなところも多い。


ちゃんと見たことのない食世界を見せてくれつつ、きっと野田さんもやりたい料理をして楽しみつつも、お客さんもちゃんと一緒に楽しめるというのはなかなかない。


「メシクエ」の中でここ最近一番「驚いた」というコメントを連発しているのだが、それほど驚いたし、食の奥深さを感じたし、改めて食事って楽しいなあと感じさせてもらった1日だった。


最後に、サプライズで渋谷サクラステージのフードホールのフードプロデューサーのお祝いをしていただいた。


野田さん、本当にありがとうございました!!


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■「野田」














いつも応援ありがとうございます。



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プロフィール
ゲームプロデューサー
成沢 理恵
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズで知られる㈱スクウェア・エニックスを経て、 現在、ちゅらっぷす株式会社取締役、兼、ゲームプロデューサー。

ヒマさえあれば、国内、海外を食べ歩き、遊び歩く、生粋の遊び人。

その経験は、ゲームづくりにも活かされている、はず……。
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