住所非公開「鈴木家(元メッシタ)」へ行く。
目黒にあった超人気イタリアンメッシタが
多くのファンに惜しまれながら今年春に閉店して、はや数ヶ月。
「メッシタ」のためだけに1時間かけて目黒駅に降り立つこともあったくらい、
本当に稀有で、孤高で、素晴らしいイタリアンだった。
閉店後、「メッシタ」の店主だった美樹さんは、
長い休暇を取られ、イタリアに行ったり、
新しいスタイルのイタリアンの構想を練られたりしてたようで、
今年、ご自身の家の1階を改築して、完全紹介制&予約制で、
ほぼ常連さんだけをお招きするようなイタリアンをオープンした。
名前も看板もなく、そのまま名刺にも「鈴木家」となっている。
メニューは、半分以上は、「メッシタ」で作らなかったものばかり。
その日の一番良い食材で、一番美味しく作れるものだけがメニューに並ぶ。
そして、その料理は、すごくシンプルで、
美味しいのはもちろんのこと、なんだかかっこいい。
カリフラワーは、大胆に茹でたカリフラワーの上に、
特製のブラックオリーブのソース。
シンプルだけど、カリフラワーって、こんなに美味しかったのか!と驚く。
目玉焼きとからすみも、
まさに目玉焼きとからすみなのだが、
卵のコクと甘味、からすみの塩気と風味が絶妙で美味しい。
エッグホリックな人間からすれば、
当然パスタも卵で突っ走らしてもらう。
このカルボナーラも、
大きめのパンチェッタの塩味が効いてて、絶品だった。
これは「メッシタ」でも大人気メニューだった鶏バター。
これでもか!というほど、たっぷりのバターでこんがり焼かれた鶏肉。
相変わらず、めちゃくちゃ美味しい。
メインディッシュは、青森県の熟成豚。
思えば、「メッシタ」では、豚って、あまり出てこなかった気がする。
ものすごいボリュームだけど、これくらい厚みと大きさあった方が、
豚汁(ぶたじる)の旨味がしっかり感じられる。
デザートは、たっぷりティラミス。
苦みも甘みも控えめで、食後にちょうどいい。
美樹さんが本当に作りたいものだけをメニューに並べ、
食べてもらいたい人に出して、やりたいお店をやる。
ある意味、客側の自由が利かないし、柔軟性もない。
人によっては好き嫌いがすごく分かれると思うが、
確実に自信があって、本当に美味しいモノ、
素晴らしいモノをプロが見せてくれる。
私は、なんか好きなんだよね。嫌いになれない。
すごく信念が感じられて、底知れぬ安心感もあって、
もちろん自由に伸び伸びできるお店も心地よいけど、
こういうお店があっても良いと思う。
それを心から楽しめる、客としてこちらの余裕があればいいだけなのだから。
ずっとこのままで。
またぜひお邪魔させていただきます。