「第2回フレンチシェフスペシャリテ倶楽部」へ行く。
懇意にさせていただいている
渋谷フレンチの名店「ラチュレ」の室田シェフからご招待いただき、
「第2回フレンチシェフスペシャリテ倶楽部」にお邪魔してきた。
場所は、東京を代表するグランメゾン「シェ・イノ」。

名だたるグランメゾンのフレンチシェフ達が集まって、
自慢のスペシャリテだけを出してくれる超贅沢な、一夜限りの特別ディナーだ。
こんなに有名なシェフが一堂に会することも滅多にない。
さらに、そのシェフ達が弟子ではなく、
自らスペシャリテを作ってくださる非常に貴重な会でもあった。


料理が始まる前に、シェフ達が『スペシャリテ』に対する思いを語られてて、
フレンチの道に入るきっかけが「スペシャリテに憧れて」という方が多かった。
客としても、「あのシェフの、あの味が食べたい」というのがあって、
それは他では食べれないから、その店に行くのであり、
客もまさにスペシャリテに憧れてるし、スペシャリテを望んでいる。
さて、シェフも客もやや緊張しながらのすごいディナーがスタート。
1品目の前菜は、横浜「ラタトゥイユ」恩田シェフによるスペシャリテ、
「三崎の鮪のタルタル トマトのムースと共に」。

恩田シェフの地元である三崎の鮪の旨味と、
トマトのさわやかな酸味がすごくよく合っていて、
美味しくて食べやすい前菜だった。

ちなみに、パンは「シェ・イノ」のパケットだと思うのだが、
このバケットがめちゃくちゃ美味しくて、
まだコース始まって間もないのに、パンのお代わりが止まらなかったw。

2品目は、我らが渋谷「ラチュレ」の室田シェフによるスペシャリテ、
「タルトジビエ(蝦夷鹿、月の輪熊、日本猪)」。

狩猟免許を持ち、自ら猟をするハンターシェフ室田さんならではの、
室田さんじゃないと作れないスペシャリテ。
鹿、熊、猪と、大物の4つ足が3体も入っているのに、
全く味がぶつかっておらず、タルトの中に見事に融合してて、驚く。

3品目は、六本木「トレフミヤモト」宮本シェフのスペシャリテ、
「クロメスキ」というフォアグラとトリュフのソースコロッケ。

キッチンを開放して、滅多に見られない、
実際宮本シェフがクロメスキを揚げている姿を見学。
非常に揚げ方が難しいようで、これは宮本シェフでないとできないそう。
外がカリッとしていて、中はほぼフォアグラとトリュフが液体状になっているので、
こぼれないように、食べる時はコロッケの端をそっと噛んで、中を吸うように食べる。
初めていただいたが、まさにスペシャリテと言える独創性と技術を感じる1品で、
あと2、3個食べたくなるくらいw、とても美味しかった。


4品目は、銀座「カイラダ」の皆良田シェフによるスペシャリテ、
「スモークした穴子のポワレ ソースポワヴルヴェール」。

これは、皆良田シェフが修行をされていた
日本グランメゾンの名店「アピシウス」初代総料理長、
故・高橋シェフのスペシャリテで、
当時のことを思い出しながら、高橋シェフの味を再現してくださったもの。
今では食べれない一品が今夜復活とあって、感慨深い一品となった。

穴子は3回もマリネして、寝かして・・・すごく時間のかかる料理であること、
師匠の高橋シェフからよく殴られた話(苦笑)など、貴重な思い出話も伺えた。
5品目のメインは、「シェ・イノ」古賀シェフによるスペシャリテ、
「シェ・イノ」の代名詞となっている「マリア・カラス」。

美しいビジュアルと、独特のオーラを放つ仔羊のパイ包み焼き。
羊料理が大好きだったという世界的に有名な歌姫マリア・カラスさんから付けたそう。
仔羊の風味の力強さと同時に、不思議と上品さも併せもつメインディッシュ。
仔羊はとても柔らかく、素晴らしい火入れになっていて、
ソースとの相性も抜群だった。

最後の6品目は、日比谷「南部亭」釜谷シェフによるスペシャリテ、
「マスカルポーネとオレンジのババロア スイカのスープ仕立て」。

個人的にスイカが好きなのだが、スイカ系のデザートだと青臭さを感じることが多く、
でも、この釜谷シェフのスイカスープは、スイカの良いところだけが凝縮されてて、
とても好きなデザートだった。

通常、スペシャリテだけでコースが組まれることはまずないので(笑)、
本当に貴重で、客としてもすごく勉強になった一日だった。
最近、若い人達と話していると、食事にあまり興味がない人が多く、
私の時代みたいに、美味しいものが食べたいから、頑張って働く、
上司や先輩の食べてる旨そうなものをいつか私も食べてやる!
そんな気持ちはあまりないみたいだ。
しかも、ガンガンお酒を飲む人も、酒にこだわる人も少ない。
良いか悪いかではなく、そうなると、
フレンチ、特に、グランメゾンのような高級クラッシックフレンチは、
若い人達へのバトンが渡しにくく、本当に苦労されるように思う。
しかも、ソースたっぷり、フォアグラたっぷりのようなフレンチは、
水で食べれるものではなく、お酒と楽しむように出来てるし、
飲めない、飲みたくないとなると、なおさら遠のく。
最後にシェフ達が、
「フレンチはお客さんの協力がないと生きていけない」と言ってたが、
素直に本当にそうだと思うし、色々と考えさせられる会でもあった。
第3回の開催あれば、またぜひお邪魔したいと思う。


恩田シェフ、室田シェフ、宮本シェフ、皆良田シェフ、古賀シェフ、釜谷シェフ、
各店のソムリエ、フロアスタッフ、サポートシェフの皆さん、
本当にお疲れ様でした!!
■「ラタトゥイユ」
http://ratatouille.yokohama/
■「ラチュレ」
http://www.deco-hygge.com/deco/
■「トレフミヤモト」
http://www.3fff-miyamoto.com/
■「カイラダ」
http://kairada.wpblog.jp/
■「シェ・イノ」
http://www.chezinno.jp/
■「南部亭」
http://www.nambu-tei.com/
by meshi-quest
| 2017-09-07 10:31
| 東京