接客の極意

とある休日、天気が良かったから、ふらっとコーヒーを飲みに吉祥寺へ出かけた。
ついでに、気分も良かったから、買い物をしようと、デパートを見に行った。



ところで、私は接客されるのがあまり好きではない。
モノを買う際に、迷ってないからだ。

正確に言うと、迷うこともあるのだが、他人に相談をするような迷い方をしていない。つまり心は決まっているのだ。あとは、自分で自分を納得させるだけの話なのだ。

その自分納得の重要な作業中は、傍から見ると、私の動きはモノを見つめたまま静止している。
そうすると、店員さんは「すごく欲しいんだろうなー」「よし、もっとプッシュして買ってもらおう」と思うらしく、「ど~ですかぁ~?」「かわいいですよねぇ~」「スカートをお探しですか~。あ、それなら、こちらにも新作が・・・」とか私の意図していない方向へ話を進めていく。

自分納得の作業中は、全神経を自分自身の感性に注ぎたいので、できれば一切ほっといてもらいたい。そっとしておいてもらいたい。



PARCOの「as know as」というレディースファッションメーカーを通りかかった時のこと。
店先に、クラッシックレッドのすごくかわいいバッグを見つけた。

実は、ちょうど冬用にコートに合うバッグを探していて、アディダスで同じくクラッシックレッドのかわいいスポーツバッグを見つけてて、それをもう一度見に行こうとしていたところだった。

アディダスも見たかったのだが、一目惚れで「as know as」のバッグにひかれて、店に入った。
バッグを眺めながら、自分納得作業をはじめていたとき、とある店員さんが近づいてきた。

「いかがですか?」
「この赤は渋めで色もきれいですし、バッグの大きさもちょうどいいので、使いやすいですよ!」

またいつもの感じかと思い、とりあえず、こう答えた。
「実は、アディダスのバッグで気に入ったやつがあって、それを買うつもりだったんですが、ちょっとこのバッグが気になって見ているんです」

引き止められると面倒になるなぁ・・と思っていたのだが、その店員さんは笑顔でこう答えた。

「アディダスのバッグカワイイですよね!うちのバッグもお薦めですが、ぜひもう一度アディダスも見に行ってください。それでお好きなほうを選んでください。買い物は、悔いが残るといやですものね^^」

ビックリした。
いつもだったら、ここで「でも、うちのバックはもっといいですよ」風なセールストークをされ、引き止められ、もう少し考えてみますとでも言ようものなら、「チェッ!」という顔をされたりすることが多いのだが、この店員さんは客を逃がしてくれたのだ。

すごく楽しくなってきて、この店員さんのこともとても好きになってきたので、こう聞いてみた。

「お客、逃がしちゃって、大丈夫なんですか^^?」

すると、彼女はこう答えた。
「お客様が一番好きなものを一番気持ちよく買ってくださることが大事なんです。もしバッグでアディダスさんを買われても、また別の機会に服とかでまたうちを見に来てくだされば、それで嬉しいので^^」

すごいと思った。
客を逃がしてあげられるのだ。
それは、売り上げとかよりも、まずお客さんに気持ちよく買い物をしてもらうことを第一に考えていないとできない接客だし、さらに、自分の商品に絶対的な自信があるからこそ、客を一旦逃がせるのだ。
もっと言えば、今日一日とかの売り上げを気にする短期観測的な物の見方ではなく、継続してお客さんが店に来てくれることが、長期的にとても大事であり、売り上げにつながることをよく知っていないとできないことなのだ。

あまりに楽しくなってきて、私はこう言った。
「お姉さんの心意気が気に入りました。アディダス見ずに、これを買わせていただきます^^」

久しぶりにイイ買い物をさせてもらったし、気持ちよく買い物ができた。

会計終わって別れ際に、お姉さんにこう言った。
「素敵な店員さんです。いつまでもその接客スタイルを貫いてくださいね」

彼女は目をキラキラさせて、こう答えた。
「ありがとうございます!すごく嬉しいです。これを励みに、これからもがんばります。また来て下さい。」



うん、たぶん、また行くと思います、素敵な店員さんに会いに。








■今日のカメ


■クラシックレッドのバッグ
接客の極意 _f0232060_18194252.jpg 渋くて、すごくイイ味の赤です。そして、大きさも手ごろで、すごく使いやすいです。気に入っています。
by meshi-quest | 2005-11-02 18:18
プロフィール
ゲームプロデューサー
成沢 理恵
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズで知られる㈱スクウェア・エニックスを経て、 現在、ちゅらっぷす株式会社取締役、兼、ゲームプロデューサー。

ヒマさえあれば、国内、海外を食べ歩き、遊び歩く、生粋の遊び人。

その経験は、ゲームづくりにも活かされている、はず……。
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