彦星と織姫の結婚式
彼女とは、とにかく四六時中一緒にいる。
ご飯も一緒、お茶するのも一緒、何かあればまず最初に彼女に相談をし、楽しいことも悲しいことも過去も未来も全部話をしてきた。
あまり他人に心を開かない私が真っ裸で話ができる数少ない親友の一人だ。
彼女は事務として中途採用で入ってきたのだが、仕事ができるというのはもちろんのこと、人の心が読めるといか、こうして欲しかった、こう言ってもらいたかったというのを感じ取って行動できる人だ。
私だけでなく、たぶん彼女と触れているすべての人が癒されているのではないかと思う。
そんな彼女を独り占めにすべく(笑)、私は彼女が入社してまもなく声をかけた。
友達になってくださいってのもなぁ・・・と思ったあげく、カラオケに誘い(笑)、すっかり意気投合してそのまま朝まで歌って語った。
そんな出会いから、もう2年が経つ。
彼女の旦那となる人も同じ会社で、過去のコラムでも登場している私もよく知っている同期だ。
まじめで明るく、性格も良い、後輩から慕われているおにいちゃんタイプで、とてもお似合いだと思う。
そんな二人に内緒で、会社のみんなでシークレット結婚式を催すことになった。
誰からということもなく、自然とたくさんの人が集まり、賛同し、みんなが仕事の合間を見計らって、色々な手作り結婚式の準備をした。
私は当日、彼女を何とかして連れ出してシークレット結婚式場へ連れ出さねばならなかった。
結婚式が準備されていると聞くと、きっと彼女は照れくさいのと、「みんなに申し訳ない」とか言って行くのをためらうと思われたので、かなり悪いなぁと思いつつ、嘘をついて連れ出すことにした。
「あのさ、今日の夜、どうしても二人で話したいことがあるんだけど、時間空けてもらえるかな?仕事ですごく悩んでて・・・」
「大丈夫?いいよ!」
あぁ、本当にごめんなさい。
結婚した翌日だと言うのに、いやな顔ひとつせずに、友達の悩みを聞くために時間を空けてくれた。
その日一日中、そんな彼女の優しさに心を痛めつつ、夜、喫茶店に連れ出した。
が、困ったことに話すことがない。
シークレット結婚式まであと1時間くらいある。みんなが現地で準備しているので、時間前に行くわけには行かなかったので、仕事の悩みとか言っときながら、好きなアーティストの話をしてみたり、ケーキ食べてみたりで時間を潰した。
あぁ、本当にごめんなさい!
時間作ったのに、一向に何も話さず、好きなアーティストの話ばかりし、ケーキを食っている友人を目の前に、彼女はどう思ったことだろう。
と、そんな1時間を過ごし、ようやく現場からOKコールが携帯にかかり、現地へ移動。
現地では、さっきまで普通の私服姿だった同僚が、全員正装をして、彦星と織姫の到着を待っていた。しかも、エセ神父も完備(笑)。
あとは、感動あり、涙あり、笑いありで、朝までみんなで盛り上がった。
もう結構いい年になってきているので、周りの友達も結婚をしていたりするが、ここまで四六時中一緒に居た親友が結婚するのは今回が初めてで、言葉隠さず言うと、すごく嬉しくておめでとうという気持ちが50%と、なんだかこのまま遠くへ手の届かないところに行ってしまうんじゃないかというなんとも言えぬ寂しさみたいなものが50%、今はそんな気分だ。
別に会社を辞めるわけでもなんでもないのだが妙な気分で、実は、だいぶ前にみんなに先駆けて結婚することを話してくれたときに、最初の感想として正直にこのことを言ってみた。
彼女は私の心情をすぐに察してくれて、こう言った。
「どこにも行かないし、いつでも一緒だし、いつでも成沢さんの味方だよ。」
そうなんだ。そうなんだよ。
きっと心のどこかで、最愛の味方がいなくなっちゃうような寂しさを抱いていたんだろうな、あたしは。
こんなことをちゃんと分かってくれて、ちゃんと向かい合って話してくれる、そんな彼女と友達で本当に良かったと思っている。
今ならちゃんと言えそうだ。
おめでとうの気持ちが100%。
末永く、どうぞお幸せに!
■今日のカメ
■新郎新婦驚きの様子
全く二人ともこんなイベントが用意されているとは予想もしてなかったらしく、かなり驚いてました。
私も迫真の演技で新婦連れ出したからなぁ(笑)。
■エセ神父による愛の誓い
同僚が神父に扮して、誓いの儀式を行いました。
■女性陣はパーティードレス
会社では普通の格好をしていましたが、驚かせるためにみんな着替えをこっそり持ってきていて、プチ結婚式では正装をしてくれました。華やかです。
■男性陣もフォーマルで
男性陣もみんなスーツに着替え、パリッとしてました。