壊れちまった悲しみに
自分で勝手に決め、自分で勝手に守ってきた1人遊びに近い小さな「決め事」であったが、ずっと守ってコラムを書いていた。
1つは、「身内にしか分からないような極端な話、極端に難しい仕事話、極端な感情論になりそうな時事問題には言及しないこと」である。
理由は、簡単に言うと「伝わらない」のが「恐い」からである。
ただでさえ、皆様のカオが見れないという感情と雰囲気が伝わりにくい状況の中、その話題が自分の身内ネタや仕事話や時事問題になってくると複雑さを増す。
かといって、これらのことを話したくないわけでは、決してない。
むしろ、酒飲みながら朝まで語りたいくらいだ。
「今夜は帰さねーぞー。」とか言いながら(笑)。
私の仕事は・・・何をもって『特殊』とするかは議論が残るが・・・特殊な部類には入っていると思う。
だからこそ、知りたいこともいっぱいあるかもしれないが、せっかく伝えるのであればきちんと伝えたい。
自分の考えや気持ちとセットで。
相手と向き合って話がしたい。特にこういう話は。
それだけ自分も真剣に話をするつもりだし、受けたボールは私の目を見てしっかり返球して欲しい。
そんな機会があれば、その時にはいつでも話をしたいと思う。
時事問題も、同様。
話したいことはいっぱいある。
北朝鮮の拉致疑惑、ノーベル化学賞受賞・・・そして、神々の楽園バリ島で起こった悲劇。
こと、バリ島テロ事件に関しては、本当に残念でならない。
下記「番外」にて、自分の「決め事」ギリギリのところまで少々バリ事件に関して言及させていただく。
さて、2つ目。
それは、必ず「デジカメの写真を掲載すること」である。
上記の「伝わる・伝わらない」の議論にもつながっている部分であるが、私のつたない文章を少しでも補填するため必ずデジカメ写真を一緒に載せようと決めた。
ずっとそれを貫いていた。
写真が間に合わない時は、それを待って原稿のアップを遅らせたこともあった。
ところが、先日、マイ・デジカメが故障してしまった。
頂き物のsonyサーバーショット。私の日常を克明に記録し続けてきたコイツは天寿を全うした。
今日まで、長らくコラムを休止させていただいてたが、理由の1つにデジカメ故障があった。
が、本日とうとう2つ目の「決め事」を破ってコラムを書くことにした。
買う!買う!!と周りに言いながら、とうとう今日まで買う機会を逃してしまった。
「これ以上延ばすのは・・・」と思い、悩みながらも筆を執った。
いや、「キーを叩いた」が正解だ。
なので、私が新デジカメを買うまで、写真がない。
今日もない。
次回も(たぶん)まだない。
申し訳ない。
■今日のカメはお休みです。
■番外
事件が起こったクタ地区「サリ・クラブ」は、バリ島ガイドブックとかにも必ず載っている有名なクラブだ。
実際入ったことはないが、その近辺にはよく行く。現に今年の夏にも付近を通っている。遅くまで大勢でにぎわってるクラブだ。
クタ地区はバリでもっとも栄えている繁華街で、欧米、豪州人、日本人のみならず、現地の若者も多く集まるスポットである。
東京と違って若者の遊び場が色々なところにあって分散しているわけではないので、みんなそこに繰り出す。
昼はクタビーチへ、夜はショッピング、ディナー、クラブetc。現地の子が日本人の女の子達をナンパしていたり、観光客と戯れていたり、商売したり・・・みんなが「楽しみ」を求めて集まってくる。
時には観光客との間に問題が起こったりもするが、心底は悪気はないと思われるものがほとんど。
「テロ」「事件」という重いコトバは全く似合わない。
それだけに、観光客だけでなく現地の方のショックは大きいと思う。
夜、11時台に事件は起こったと聞いた。
みやげ物屋は閉まっているが、レストラン、バー、クラブの夜はまだこれから。
ニュースでは「テロ」というコトバと共に観光客の死亡がとかく厚く語られていたが、その周りで多くの現地の人が犠牲になっていると思うと悲しい。
みんながココロとカラダをリフレッシュするために訪れるバリ島。
ここ東京・新宿のビルからじゃ、その惨劇は「想像」と「報道」の範囲でしかないが、近々、もう少し落ち着いてから現地の友達と連絡を取ってみようと思う。
今回、各方面の様々な方からメールをいただいた。
「ご無事ですか?」
「心情をお察しいたします。」
私とバリの印象が強いのだろうか、こんな事件を前にして不謹慎かもしれないが、それはちょっと嬉しかった。
ご心配いただきましたが、成沢は日本におります。
今年のバリ行き予定はございませんが、来年はまた行きます。必ず。
テロに対して、私は何もバリにはしてあげられないけど、観光客がまたいつものようにいつもの場所に戻ってくること、これが今後のバリ惨劇の傷を癒すことだと思っております。
2002年10月21日
新宿某所にて
成沢理恵