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2011年 08月 08日 ( 1 )

今日日8月8日は「立秋」です。
暑さは今がピークですが、夕方になるとひぐらしが鳴き始め、秋の気配も感じるころです。着物好きの人は肌感覚で秋を感じ、早くも秋物を探し始める頃です。
8は手帳セラピーにもゆかりが深い数字。8を横にするとメビウスの輪、漢字で八十八はお米にかける手間。
今日の立秋はハッピーなことが起こりそう♪

さて、着物の解説をば。

私の中では「立秋」から秋の柄が解禁となります。
秋の柄の代表といえば「秋の七草」と「蜻蛉(とんぼ)」です。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびおり) かき数ふれば 七種の花(ななくさのはな)萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」
(『万葉集』山上憶良)
「せり なずな~」ではじまる「春の七草」に比べるとかなり覚えにくい「秋の七草」の短歌ですが、作者は日本史の教科書に必ず載っている、あの山上憶良。
子どもへの思いを詠った「貧窮問答歌」の作者というイメージが強いせいか、こんな歌を詠んでいるとは意外な気がしますが、彼は当時の官僚クラスの役人で、本人が貧しかったわけではなかったようです。
出張先で見た地方の貧しさの様子をわが子への思いとないまぜにし、歌にしたのが「貧窮問答歌」。本当は雅の人だったのです。

「春の七草」は塩粥に入れて食べる風習でもわかるように、同じ時期に地上に顔を出しますが、「秋の七草」はいっせいに花が開くわけではありません。
萩と撫子・朝顔(この時代は桔梗のことを朝顔と呼んでいました、ややこしや)が暑い日差しの中で咲き始め、やがて尾花(すすき)が穂を出し、黄色い女郎花が華やかに野を飾り、葛、藤袴が咲くのは10月くらいになるころでしょうか。

こんなふうに暑い夏に順番に咲いていく「秋の七草」を数えて涼しさを思う風流さを着物のコーディネートにも取り入れてみたくなります。
110808 二十四節気の着物コーディネート⑬IN立秋_f0164842_95930100.jpg

よ~くみると着物の柄にあるのは萩と朝顔(桔梗)そして女郎花の3種類しか描かれていません。この足りなさが着物好きにはたまらない!他の4種類の花を季節が進むごとに半襟や帯や小物で加えていって、自分の「秋の七草」を完成させる楽しみがあるのです。

昭和初期に流行したジョーゼット生地の着物は市松でも石畳でもない白と黒の格子になっていて、体にまとうと「白」がぐっと生きてきます。モノトーンの上に染め出された「秋の七草」の彩色が友禅でなない昭和モダンなロマンチックな雰囲気を醸しだしているところが大好きな着物です。

半襟は二通り考えてみました。ひとつは着物の中にわずかに見える黄色から一色取ってあわせた2008年発売→即完売の豆千代モダンの「麻絽地金魚の半襟」。夏の名残を襟元にのせてみました。(写真上)

もう一種の半襟は、骨董市で見つけた「絽地 撫子と御所車」の豪華な刺繍半襟。
110808 二十四節気の着物コーディネート⑬IN立秋_f0164842_10264179.jpg
実はこの半襟、長襦袢なしで直接首にかけられるよう、「仕立て半襟(独立半襟)」になっているのです。昔の日本も間違いなく暑かったのでしょう、「半襟はかけたい、でも暑いから長襦袢は着たくない」そんなお洒落さんの苦悩から生まれたお洒落の知恵におもわず微笑がこぼれます。

そして帯は、野原の「秋の七草」の上を自由に飛び回る「蜻蛉」柄にしてみました。
110808 二十四節気の着物コーディネート⑬IN立秋_f0164842_1003784.jpg

着物が黒と白の格子、帯は黒地に白の変形水玉。同じ黒×白の色使いでも柄が違うとまた面白さが引き立ちます。この帯を選んだとき、たまたまお店にいらした挿花家のニ部治美さん(着物愛好家としても知られ、安土桃山時代の小袖風の素敵な装いをなさる方です)に、
「あなたがそれ選びはったの?そんなん帯しめたらヘロモン出まくりやで~、ええ帯みつけたな~」
と声をかけていただきました。「ヘロモン」は「フェロモン」のことだと思われますが(笑)、個性的に着物を楽しむ方に褒めていただいた思い出の帯になりました。

「蜻蛉」は前にしか進まないため「勝虫」と呼ばれ、「不退転の精神」を表すとして武家に好まれたといわれていますが、女性物にも好んで取り入れられたところをみると「矢羽」柄と同じで、「一度前に進んだら戻らない」=「結婚したら後もどりはしない」、という縁起になったのではないかと推測されます。

今回小物として持たせたのが、アンティーク・デッドストックの赤蜻蛉柄の懐紙入れ。
110808 二十四節気の着物コーディネート⑬IN立秋_f0164842_1005620.jpg

桐の箱には「京四条 井澤屋」とあります。井澤屋さんは現在でも素敵な京小間物を扱うお店として女性に人気です。懐紙は当時のティッシュペーパー。
歌舞伎の「小猿七之助」には懐紙が恋の重要な小物として登場しますが、あまりに色っぽすぎるので、そのお話はまた今度。

今回は人を好きになったらまっすぐな気持ちで、赤とんぼのように身を焦がす恋ができたら「ヘロモン」全開で恋に勝てるかも!?をテーマにしたコーディネートでした。

072.gif着物 ジョーゼット地 黒白に秋草 薄物
072.gif帯   絽地 黒白水玉に赤蜻蛉柄
072.gif半襟①絽地 撫子に御所車 刺繍半襟
      ②麻絽地 金魚と水草(豆千代モダン 2008年製) 
072.gif帯締 赤 観世組帯締
072.gif小物 絽地 蜻蛉柄懐紙入れ(京 四条 井澤屋製)

さとうめぐみ
by migumeutosa | 2011-08-08 11:48 | Trackback(1) | Comments(0)

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