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100823 処暑の着物コーディネート・アーカイブ☆追悼「ヨコハマメリー」
今日は処暑(しょしょ)です。処暑の「処」の字はもともと「来て止まる」という意味だとか。
そこから派生して処暑は夏の終わりを意味する日です。秋の台風シーズンに向けて庭木の手入れをして姿を整える作業や、花火を上げて「来て止ま」っていた精霊を天に帰す行事が各地でとり行われます。
着物の世界では「麻は処暑まで」という言葉があり、いくら残暑が厳しくても処暑を過ぎて麻の着物を着るのは寒々しい感じがすることを見事に言い表しています。
近年大流行している小千谷縮の元となる苧麻(ちょま)の産地、福島県昭和村では夏の入りの小満の日に麻畑を焼いて丈夫な麻を育てるという風習がありますが、麻という生地はつくづく「夏の生命を着る着物」だと思います。だから、秋風を感じる頃にはすっぱりと麻とはお別れし、着物好きのもうひとつの楽しみであるお家でのお洗濯を済ませて来年を待つのがふさわしいのでしょう。

今回のコーディネートは「麻(夏)のお別れ」がテーマ。大好きなドキュメンタリーえ映画「ヨコハマメリー」です。

ワイングラス柄の麻の着物にレースの帯、手にはハンカチ、頭にはアンティークのストローハット、と和洋折衷のスタイルで去りゆく夏の物語を膨らませ、知る人ぞ知る伝説の娼婦「横浜メリー」さん別名「白いメリーさん」へのオマージュにしてみました。
1940年8月15日の敗戦を境に、出会いと別れを繰り返したハマのメリーさんは貴族のような真っ白なレースのドレスを身にまとって横浜の夜の街に立っていたといいますが、「愛しい米将校を波止場で見送る横浜メリーさん」が着物を着ていたらこんなスタイルだったかもしれないとイメージしてみました。
去りゆく夏と同じ夏はもう二度とは帰らない。故郷に帰っていった将校のように…
メリーさんは伊勢佐木町の松坂屋の楽器売り場のピアノで「海」という童謡の
♪「海は広いな大きいな~行ってみたいなよその国」
というフレーズを繰りかえし繰りかえし弾いていたそうです。このコーディネートは、そんなメリーさんと童謡の悲しくロマンチックな挿話からの着想です。
着物は大正末~昭和初期の麻の着物。ワイングラスの模様という斬新なデザインに驚かれるかもしれませんが、こうしたデザインの面白さがアンティークキモノの醍醐味なんです!昔の人は遊び心があったんですね。
この着物を見て
「麻の着物は硬くて、さわり心地が良くないし、薄物みたいな色っぽさに欠ける!」
と不服を言ったメンズがいましたが、デザインの面白さには感心していました
920年代~1930年代にかけて世界中で流行したアールデコのデザインがこうして夏の着物に取り入れられたのには理由があります。
「流行は夏物から」という言葉は現代のファッション業界でも言われていますが、それは夏物の着物は裏地が要らないため、比較的安価に作ることができるので奇抜なデザインの物も面白がられて流通したから。
しかし、昔も夏は暑かった!きっと毎年流行の柄の着物を数枚だけ手に入れて、徹底的に着倒したのでしょう、だから現在着られる形で残っている夏物はとても少なく、希少価値があるのです。
帯はアンティークの白いレースの帯、ちゃんと絹製です。夏でも涼しくしめられ、かつ正装にも対応する二重太鼓に見えるような「トンネル仕立て」という仕立て方になっています。
帽子は天の空いたアンティークのカクテルハット。シルクのリボンがいい感じに色褪せて、女性の帽子はファッションの一部だからというレディファーストな理由で、室内でも着用が認められた1920年代の雰囲気をよく伝えています。
手に持ったハンカチは実はシルク100%の白いポケットチーフ。可愛らしい少年は船乗りを目指しているのか望遠鏡を生き生きとした顔で覗いています。
そして帯留が今回のメイン、「パイプを加えたマドロスさん」なんです。隻眼で片目に眼帯をつけたクールな姿に一目惚れ。旧東ドイツ製のブローチを帯留代わりに使いました。
昔、横浜の港の娼婦たちは皆、万国旗を染めた真っ赤な長襦袢を持っていたといいます。ナイトガウン代わりにそれを羽織っては、一晩だけの夫に生国を指ささせてコミュニケーションをとったとか。それさえ判ればあとはボディランゲージ!もう言葉はいらないものよ…そんな艶っぽい話が思い出されるブローチです。
着物というと「和の文化」というイメージが強いですが、時代とテイストさえ合えばどの国のものとも合わせることができる、世界調和の衣装でもあるのです。
着物 麻地 ワイングラス柄着物
帯 白地レース帯
半襟 1940年代のアンティークレース 白さくらんぼ柄
帯留 旧東ドイツ製ブローチを転用
帽子 アンティークのカクテルハット
バック 2008年のホコモコラ製




※最後まで自分でいることをやめなかった孤高の娼婦の生涯を感動のインタビューで綴ったDVD「ヨコハマメリー」ぜひごらんください!
そこから派生して処暑は夏の終わりを意味する日です。秋の台風シーズンに向けて庭木の手入れをして姿を整える作業や、花火を上げて「来て止ま」っていた精霊を天に帰す行事が各地でとり行われます。
着物の世界では「麻は処暑まで」という言葉があり、いくら残暑が厳しくても処暑を過ぎて麻の着物を着るのは寒々しい感じがすることを見事に言い表しています。
近年大流行している小千谷縮の元となる苧麻(ちょま)の産地、福島県昭和村では夏の入りの小満の日に麻畑を焼いて丈夫な麻を育てるという風習がありますが、麻という生地はつくづく「夏の生命を着る着物」だと思います。だから、秋風を感じる頃にはすっぱりと麻とはお別れし、着物好きのもうひとつの楽しみであるお家でのお洗濯を済ませて来年を待つのがふさわしいのでしょう。

今回のコーディネートは「麻(夏)のお別れ」がテーマ。大好きなドキュメンタリーえ映画「ヨコハマメリー」です。

ワイングラス柄の麻の着物にレースの帯、手にはハンカチ、頭にはアンティークのストローハット、と和洋折衷のスタイルで去りゆく夏の物語を膨らませ、知る人ぞ知る伝説の娼婦「横浜メリー」さん別名「白いメリーさん」へのオマージュにしてみました。
1940年8月15日の敗戦を境に、出会いと別れを繰り返したハマのメリーさんは貴族のような真っ白なレースのドレスを身にまとって横浜の夜の街に立っていたといいますが、「愛しい米将校を波止場で見送る横浜メリーさん」が着物を着ていたらこんなスタイルだったかもしれないとイメージしてみました。
去りゆく夏と同じ夏はもう二度とは帰らない。故郷に帰っていった将校のように…
メリーさんは伊勢佐木町の松坂屋の楽器売り場のピアノで「海」という童謡の
♪「海は広いな大きいな~行ってみたいなよその国」
というフレーズを繰りかえし繰りかえし弾いていたそうです。このコーディネートは、そんなメリーさんと童謡の悲しくロマンチックな挿話からの着想です。
着物は大正末~昭和初期の麻の着物。ワイングラスの模様という斬新なデザインに驚かれるかもしれませんが、こうしたデザインの面白さがアンティークキモノの醍醐味なんです!昔の人は遊び心があったんですね。
この着物を見て
「麻の着物は硬くて、さわり心地が良くないし、薄物みたいな色っぽさに欠ける!」
と不服を言ったメンズがいましたが、デザインの面白さには感心していました
920年代~1930年代にかけて世界中で流行したアールデコのデザインがこうして夏の着物に取り入れられたのには理由があります。
「流行は夏物から」という言葉は現代のファッション業界でも言われていますが、それは夏物の着物は裏地が要らないため、比較的安価に作ることができるので奇抜なデザインの物も面白がられて流通したから。
しかし、昔も夏は暑かった!きっと毎年流行の柄の着物を数枚だけ手に入れて、徹底的に着倒したのでしょう、だから現在着られる形で残っている夏物はとても少なく、希少価値があるのです。
帯はアンティークの白いレースの帯、ちゃんと絹製です。夏でも涼しくしめられ、かつ正装にも対応する二重太鼓に見えるような「トンネル仕立て」という仕立て方になっています。
帽子は天の空いたアンティークのカクテルハット。シルクのリボンがいい感じに色褪せて、女性の帽子はファッションの一部だからというレディファーストな理由で、室内でも着用が認められた1920年代の雰囲気をよく伝えています。
手に持ったハンカチは実はシルク100%の白いポケットチーフ。可愛らしい少年は船乗りを目指しているのか望遠鏡を生き生きとした顔で覗いています。
そして帯留が今回のメイン、「パイプを加えたマドロスさん」なんです。隻眼で片目に眼帯をつけたクールな姿に一目惚れ。旧東ドイツ製のブローチを帯留代わりに使いました。
昔、横浜の港の娼婦たちは皆、万国旗を染めた真っ赤な長襦袢を持っていたといいます。ナイトガウン代わりにそれを羽織っては、一晩だけの夫に生国を指ささせてコミュニケーションをとったとか。それさえ判ればあとはボディランゲージ!もう言葉はいらないものよ…そんな艶っぽい話が思い出されるブローチです。
着物というと「和の文化」というイメージが強いですが、時代とテイストさえ合えばどの国のものとも合わせることができる、世界調和の衣装でもあるのです。




※最後まで自分でいることをやめなかった孤高の娼婦の生涯を感動のインタビューで綴ったDVD「ヨコハマメリー」ぜひごらんください!
by migumeutosa
| 2010-08-23 13:34
| 着物
|
Trackback
|
Comments(2)
先生の着物コレクションの幅はすごい! いつもは季節にちなんだモチーフを選ばれてわかりやすいですが、今回のアールデコ、麻とメリーさんはすごく面白い組み合わせで楽しませていただきました。 またユニークな着こなし待ってます!
0
歌子さん
面白がっていただけてうれしいです!共感してくれる人がいるとますますコーディネートを考えるのが楽しみになります。
面白がっていただけてうれしいです!共感してくれる人がいるとますますコーディネートを考えるのが楽しみになります。
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