言葉の自由をもっと考えよう♪
アメリカのクリントン国務長官が今日の昼すぎ、特別機で羽田空港に到着しましたね。菅総理や松本外務大臣と会談し、東日本大震災に見舞われた日本に対する長期的な支援や、福島第一原子力発電所の事故への対応について協議したいとの考えを示しているようです。
○クリントン国務長官が来日
時を同じく今日17日の午後3時、東京電力の勝俣恒久会長は、福島第一原子力発電所の事故について、収束に向けた今後の見通しと行程について会見発表する予定だそうです。
○東電、事故収束の行程表公表へ 勝俣会長が会見
最悪の事態に備えて、今日本政府は国境を越えて頭脳を集結させ、地球や日本国民だけでなく人類のために収束にむけてしっかりとした取り組みをしなければいけない時なのではないかとおもっています。
真実を隠蔽したり、パニックを恐れるがゆえに隠匿行為によって事実をなかったことにしたりするのは、国家のエゴと国民への冒涜のようなものに感じてしまうのは私だけでしょうか。
テレビでもおなじみの中部大学総合工学研究所教授の武田邦彦先生のコラム記事に、すごく賛同した記事があったので、ご紹介してみましょう。
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一部転載開始---
ある読者がアメリカの論文を送ってくれました。
アメリカのNRDCという環境団体の速報論文で、4月10日に公表され、二人の博士の方が執筆されています.
福島県以外の放射線量を整理し、そこに住む方の被曝量を推定し、さらにガンになられると考えられる方の数を推定しています。
まず、どのぐらいの放射線量であったかをグラフで示しています(データは日本の文科省のものを使っています)。
3月14日からの瞬間の放射線量を示し、青が茨城県、赤が東京都です。29時間目、57時間目、そして183時間目に急に放射線量が高くなっています.
私たちに参考になるのは、全体の形(放射線がどこで急激にでて、全体的にどうなっているか)です。
茨城県は原発に近いので、放射性物質が急激に増加していますが、東京はそれから数時間後にピークが見られます.
また風向きの関係があり、茨城県まで来た放射性物質が東京に来ていない時もあるようです。
また放射線量は全体的には減少していますが、グラフの真ん中の233時間のところと右端の533時間のところでは、放射線の強さが、0.30から0.16に下がっています.
つまり、300時間(12.5日)で53%になっています。ヨウ素の半減期は8日ですから、それより少し減り方が少ない(セシウムなどの影響と、さらに新しくでるヨウ素などの影響による)ことが判ります。
論文の途中は省略することにして、この著者は放射線量から福島県を除く都県の推定被曝量を出し、そこに住んでいる人の数から「過剰発がん数」を出しています.
過剰発がんとは、普段の生活の中でガンになる人を除いて、事故で放射線をあびることによってできるガンを言います.ただし、まだ予想の段階です.
それによると、茨城県34名、栃木県13名、群馬県7名と放射線量が少なくなると、それに比例して過剰発がんも減っています.
人口は茨城県が300万人、栃木県、群馬県が200万人ですから、この3県の人口を200万人に合わせると、茨城23名、栃木13名、群馬7名となります。
この論文の考え方は「放射線をあびるとある確率で細胞がガンになる」ということで、それをこれまでの事故例での発がんの経験から出し、現在の欧米の主流の考え方になっているものです。
東京は人口が多いので、49名と推定されていますが、これも200万人に補正すると、7人で東京は栃木県と同じぐらいの過剰発がんが推定されていることが判ります.
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さて、このような論文を読んだときの「頭の使い方」と「心の持ち方」について、簡単に解説しておきます.
1) 言論の自由があって、うらやましい
私が第一に感じたのは、日本では気象学会が「研究結果を発表するな」と学会員に言ったり、政府の意図と違うことを言うと公の立場を失ったり、さらには新聞やテレビまでが「自主規制」をして「安全だ、安全だ」と言っていますが、アメリカはより自由な活動ができます。アメリカは多くの欠点を持っていますが、学ぶべきところもまだ多くあります.
2) 自由に発言し、非難もしないし、動揺もしない社会
個人が自分の名前を示し、整理した結果や意見を公表し、それを多くの人が参考にする。内容を批判することがあっても、個人を批判するのを控える(政府や権力を批判するのは自由だが)。
そして、どんな結果をどんな人がまとめても、動揺もせずに、また自分のそれまでの考えと違っても、耳を傾ける社会だからこそ、このような論文がでます(アメリカの事件でも同じようになります。)
実は、この団体は私の考えと違う活動をしていますが、考えが違うというのは、むしろ「尊敬できる団体」でもあるので、私も良く参考にします.
3) 示された結果は、事実や真実かどうかは不明
論文に示された結果は「ある2人の学者が整理し、考えた結果」であり、それが「事実」とか「真実」ということではありません。
人間の活動とはそういうもので、なかなか「事実」や「真実」に近づくのは難しいので、一歩、一歩、多くの人の知恵を学んで行くという姿勢です。
揚げ足を取ったり、個人の人格批判などをすると事実は少しずつ曇ってきます.
「事実を知る」には「勇気」と「謙虚」が必要というのはダーウィン以来、よく分かっていることで、「勇気を持って事実を見る」というのはダーウィンの言葉として知られています。
「こんなにガンがでるの!」とビックリするのではなく、「放射線をあびると、誰かがガンになるのだな」とか「放射線をあびる量が多いと、ガンが増えるのだな」というように冷静にデータを見ることです。
今回の事件では「パニックを防ぐためには、ウソを言っても良い」ということで、政府、専門家、メディアが統一した行動を取りましたが、私は日本人は「事実を冷静に受け止める」という「勇気」も「謙虚さ」も持っていると思います.
特にお子さんをお持ちのお母さんやお父さんは、心配はしていても子供のために「勇気、謙虚」をもって頑張っているのは間違いありません.
人間は「自分のため」より、「愛する人のため」にこそ勇気がわくからです。
--------転載終わり
日本の断面図 表現の自由と論文の読み方
日本では「自分で選ぶ」ということをあまり重要視して義務教育が行われてこなかったと思います。
人と違うものを選ぶと、白い目で見られることが多かったり、仲間はずれにされてしまったりというような集団主義的考えが土壌にあるからかもしれませんが、偏見が多いのもまた真実です。
しかし時代はもう違います。
そのような考えは時代が変わり、新しい世代へと交代するとき終わりを告げるはずです。
現代人には個性を大切にした考えや選択意志を持って行動している人が、たくさんでてきています。
クリントン国務長官との会談や、東京電力の会見もふくめ、日本国民にはありのままの情報を公開して欲しいと切に願っています。
マヤ暦では今日から「死(Cimi)」の周期♪
また夜にブログアップします(*^^)v