|
カテゴリ
著者プロフィール
スズキトモユ
サイト:アキヤマニヤ ■バックナンバー 【キーワード:メイド】 ・森薫インタビュー第1回 ・森薫インタビュー第2回 ・森薫インタビュー第3回 ・森薫インタビュー第4回 ・森薫インタビュー第5回 ・メイド総括 【キーワード:非モテ】 ・花沢健吾インタビュー第1回 ・花沢健吾インタビュー第2回 ・花沢健吾インタビュー第3回 ・花沢健吾インタビュー第4回 ・非モテ総括 【キーワード:純愛】 ・きらたかしインタビュー第1回 ・きらたかしインタビュー第2回 ・きらたかしインタビュー第3回 ・きらたかしインタビュー第4回 ・純愛総括 以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
タグ
森薫(5)
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2006年 11月 27日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 えーと今回は、なんというのか、お世話になりっぱなしなkashmirさん初単行本を御紹介。 都会の片隅にひっそりと肩を寄せ合うふたりきりの兄妹を主人公にしたハートフル4コマのような気もちょっとだけする『○本の住人』を取り上げました! 『○本の住人』(kashmir/芳文社/1巻~) 蓼科のりこは小学四年生。早くに両親を事故で亡くし、絵本作家の兄とふたり暮し。(後先考えず大人買いしまくる兄のせいで)生活は楽ではないけど、(ありえないレベルのボケをかますクラスメイトたちにツッコミを入れたりしながら)けなげに日々を生きています! 「前立腺肥大は切らずに治せる!!!」 兄というのは難儀なもの。 世の妹たちはみな、骨身に染みて実感していることでしょう。 雛鳥には初めて目にした動くものを自分の親だと思い込む習性があるといいますが、妹たちは初めて目にした動く兄の存在によって、男がいかなるものかを認識します。 この妹インプリンティングはなぜだかプラスに働くようで、どうにも冴えないそこらの兄さんが、刷り込み効果によって「カッコいいお兄ちゃん」なる幻想の衣を身にまとってみたりします。これぞお兄ちゃんイリュージョン、前途有望な妹さんの男性観を狂わせ人生を見誤らせる、世にもいらない魔法です。 あまねく妹たちが兄の魅力にメロメロになりて、ほかの男子に鼻もかけなくなったら、少子化はますます進み、それどころかここには書けないたいへんなことがいろいろ起こって、人類の未来は閉ざされるでしょう。げに怖ろしきはカッコいい兄。政府はカッコいい兄禁止令を発令すべきです。 また、ぶっちゃけ兄がアレだった場合もやっかい極まる。「あれ? うちのお兄ちゃん、ちょっとアレな人かも……」、「マジ、キモい」、「おい、○△(名字)、コンビニでパン買ってこい」の三段階を経て打ち砕かれる兄の幻想は、思春期女子の異性に対する憧れもついでに木っ端微塵にしたりして、どうにもこうにも困ります。性欲を持て余し、不自然にごそごそする輩が(しかも対象は二次元)同じ屋根の下に住んでたらそりゃあイヤですね。汚物は消毒だ! 焼き払え!! つまり、妹にとって兄という存在は真実カッコよかろうが、どうにもアレだろうが、難儀なものなのであります。 今回紹介するのは、kashmirの初単行本『○本の住人』。 しっかりもので苦労性な小学四年生・のりこと、児童向けカルト絵本作家(どんなだ)であるのりこの兄のふたりを中心にした(たぶん)ハートフル4コマであります。 長々と兄について書いてきたことからもおわかりかもしれませんが、のりことのりこの兄、ふたりの関係が物語のポイントであります。 幼くして両親と死別したのりこは、兄とふたりきりの生活。オタクな兄とつつましやかな生活を送りながら(理由は兄がプラモの大人買いするから)ときに兄と自分のあいだにココロの絆を感じとったりする。たいていそれは勘ちがいで、多分にアレすぎる思考の兄にツッコミ入れなきゃいけなかったりするけど、たまに真実だったりする。その絶妙なはぐらかしがkashmirセンスだなあとしみじみ感じ入ったりするのでした。 ほか登場人物も、金髪ツインテールのバーサク少女・ちーちゃんや、見た目無難キャラながら実はけっこうそうでもない同級生・みかちゃん、度を超えすぎた天然ボケ担任・さなえちゃんなどなど、ボケにボケてボケ倒すキャラばかり、なんというのか、のりこちゃんツッコミおおわらわであります。 わりかし狂騒的な展開でありながら、どこか程よい距離感を保ってるように感じられるあたりもkashmirらしいところかも。行動はとびきりの奇人であるのりこの兄が、キャラとしては妙に印象が薄く、読者とほど近い存在のように感じられるところが面白い(兄には名前が与えられていないところにも注目)。つまり、ツッコミ役であるのりこと、凶悪狂人ボケであるのりこ兄のふたりがともに視点人物になっているわけです。 読者は、眼鏡な小学四年生のりこちゃんを愛でながらアレなオタクネタを繰り広げ、同時にダメダメな兄にツッコミを入れているのでした。批評性というとなんだかですけど、要はそういうことですよね。 電撃大王連載中の『百合星人ナオコサン』第1巻も12月9日に発売(初回限定版は主題歌CD付き)。可愛らしい絵柄、特異な言語感覚から繰り出されるシュールでオタクなネタにやられた方はこちらもチェックしてみること。 #
by tomoyu_suzuki
| 2006-11-27 10:32
| コラム
|
Comments(31)
|
ファン申請 |
||