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スズキトモユ
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2006年 05月 25日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 1つめのキーワードはずばり「メイド」。 日本で唯一人の本格メイド漫画家、森薫さんに、堂々の完結を迎えた作品『エマ』のこと、メイド漫画家になるまでの軌跡について、ヴィクトリア朝時代からメイド喫茶に代表される現代メイド風俗まで、ありとあらゆるメイドの魅力について、じっくりとお話をうかがってきた。 これさえ読めば、メイドについてはもう万全? 森薫インタビューその1 『エマ』完結~そして外伝へ ![]() 森薫: 1978年生まれ。同人活動を経て、2001年、月刊コミックビームに『エマ』を発表。デビュー作『エマ』はメイド萌え、メガネ萌え、19世紀英国萌えな人々のハートをがっちり掴んで、大ヒット。平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞も受賞する。 公式ページ:伯爵夫人の昼食会 ![]() 『エマ』森薫/全7巻/エンターブレイン ビームコミックス) 豪商ジョーンズ家の跡取りウィリアム、彼が恋したのは美しいメイド・エマだった……。19世紀末、ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台に、身分違いの恋を描いた本格メイド・ラブロマンス。完結巻となる最新7巻は本日(5/25)発売! 御存知でない方のために ~ 『エマ』キャラクター紹介 ~ 【駆け落ちは嫌い】 ――まずは『エマ』の完結、お疲れ様でした。 森薫(以下 森):ありがとうございます。 ――見事な大団円でした。最初の段階から、こういう形でのラストは決められていたんでしょうか? 森:うーん、なくもないですけど、ここまでハッキリとはありませんでした。 これより先、『エマ』のラストに触れます。未読の方は御注意ください ――当時のイギリス階級社会にふたりがどう向き合うかの選択で物語のラストは変わったと思うんですが。 森:駆け落ちとかそういう方面にはいかないようにして。(駆け落ちという選択肢は)あんまり好きじゃないんですよね。街中でふたりで家を一軒借りて細々と暮らしていくというのは、辛気臭くてイヤだなって。終わるときは派手に終わりたいな、と。 【メイドにとって最高の奥様】 ――物語のラストで、ウィリアムとともに社交界にデビューするエマは、すでにメイドではなく、これからメイド服を着ることもないでしょう。そういう意味では意外なラストともいえるのですが? 森:エマはメイドから奥様になりましたけど、奥様になったエマに今度はメイドがつくんです。 メイドにとって最高の奥様がどんな奥様かって考えた場合、メイド出身の奥様なわけで、その奥様がエマだったら最強じゃないですか。しかも、メイド出身であるからこそ、完全に奥様にもなりきれない何かが、そこに生まれるわけです。それは素晴らしいことじゃないですか! ――エマが奥様になったら「あ、いいですから」とか、自分でいろいろやっちゃいそうですねえ。 森:そういうとこもいいじゃないですか。で、メイドに怒られたりするんです。 ――「あなたは奥様なんですよ」とかいわれて。 森:あ、いいです、やりますやります、とかいって。メイドの仕事を取ってしまったりして。 『エマ』ラストに関する記述 ここまでです 【『エマ』に隠された秘密?】 森:実は『エマ』、全ての回に絶対1回はメイドが出てくるんです。いなさそうに見えても、実はいるんです。 ――えーと、いなさそうといえば、さらわれたエマがアメリカに流された回でしょうか……。 森:1回だけあまりメインに登場しない回があったんです。黒髪の少女が登場する回(第46話「手に手を」)、メイド服を着てる人はいないんですけど、メイドがお買い物に出ている姿を描いたんです。あ、これですね。ほら、ちゃんとエプロンしてるじゃないですか! ――これはちょっとわからないですね(笑) 森:むりやり突っ込んだので(笑)。ただ、もうちょっと可愛くしておけばよかったとそこが心残りですね。 これはちょっと言い訳みたいになりますが、「メイドの存在も忘れてはいないんだよ」というのを、物語の中で読者に示しておきたいんです。この回の後半、エマとウィリアムの再会シーンに入ってしまうと、もうメイドは出しようがなくなってしまうので。 【『エマ』外伝にはエレノアさんも登場!】 ――月刊コミックビーム9月号から始まる『エマ』外伝ですが、これはどれくらい続く予定ですか? 森:今のところ、単行本1冊ぶんは描くと予定してるんですが、たぶん2冊ぶんくらいにはなります。内容も8話分までは用意していて、9話、10話にどのネタを使おうか考えているところですね。 ――本編で不遇な扱いを受けたキャラといえば、エレノアさんですが、彼女は外伝には登場しますか? 森:出します出します。最終回でばたばたと拾うのもどうかなあと思ったんで、ならば外伝で1話きっちり使ってあげたほうがいいかな、と。 【「キャラ外伝」ではなく「ネタ外伝」】 ――よかったよかった。そっけない扱いに涙した全国のエレノアさんファンもほっと胸を撫で下ろすことでしょう。『エマ』の場合、外伝はいくらでも描けそうですね。 森:外伝の第1話は、若き日のケリー・ストウナーを主人公に、1851年、ロンドン万国博覧会のクリスタル・パレス*をもういちど描いてみようかな、と考えております。 ミューディーズ*で1本描いた回(単行本1巻収録第6話「ふたつの時計」)がありますが、それと同じく、外伝は当時の文化を題材にします。メインはキャラでなく時代ネタのほう。だから「キャラ外伝」ではなくて「ネタ外伝」となりますね。 ネタの候補として挙がっているのが、イートン校(名門パブリック・スクール)、そして自転車。サイクリングはヴィクトリア朝から始まったんです。ちょっと小さめのネタなので、いろいろ当時のレジャーと絡めてやれないかなあと。人類初のサイクリングを題材にした漫画、でも登場するのはエマのキャラクタたち、というお話にする予定です。 * クリスタル・パレス: 1851年、世界初の万国博覧会会場としてハイドパークに建てられた。その名の通り、ガラスと鉄だけで作られた近代建築として話題を呼ぶ。世界中の美術品、熱帯植物や花が中に集められた。(参考URL) * ミューディーズ: 19世紀最大の貸本業者。当時本は高価だったため、このような貸本システムが庶民の読書欲を支えた。 ――外伝は、ヴィクトリア文化が鍵となるとのことですが、となるとハキムは登場しないんでしょうか? 森:もちろん出しますよ。植民地時代のインドを舞台に、少年時代のハキムとウィリアム*がインドを駆ける、とかそんなお話にする予定です。史実よりの内容ではなくて、当時の生活・文化を中心に描いてみようかと考えてます。 *少年時代のハキムについては、『エマ ヴィクトリアンガイド』p.155 にラフイラストが、少年時代のハキムとウィリアムについては、DVD『英國戀物語エマ』 vol.2 のオマケ1P漫画がそれぞれ掲載されている。 【究極の「本格メイド漫画」】 森:外伝の3話目ではメイド漫画をやるんです。メイド漫画の常識を覆すような「本格メイド漫画」。「本格」って、メイドの数のことですか? みたいな。時間の許す限り、出せる限りのメイドを出して、描ける限りのメイド生活を描きます。 ありとあらゆるバリエーションのメイドを1話の中に詰め込んでみようかと考えていますが、ただ、ものすごく時間がかかりそうなんですよね……。「1コマ1メイドなんて、許さないよ!」と担当さんに言われました(笑)。 【新作『シャーリー』も!】 ――『エマ』外伝以外に、新作の予定などはおありでしょうか。 森:どういう形になるか詳細は明かせませんが、『シャーリー』の新作を描きます。10~16ページくらいの短いお話を3、4話で、発表は今秋の予定です。 デビュー以前に描いた『シャーリー』とはちがった感じのお話になると思うので、楽しみにお待ちください。 ![]() 『シャーリー』森薫/全1巻/エンターブレイン ビームコミックス) 13歳のメイド・シャーリーのけなげな日常を描いた表題作をはじめとする森薫の初期作品集。はじめてメイド服に着替えたシャーリーがうれしさのあまり鏡の前でくるっと回るその仕草にやられた人も数多し。 次回、森薫インタビューその2は、【『エマ』のできるまで】と題し、デビュー当時の様子から意外な『エマ』元ネタまで、いろいろお訊きしてみます。お楽しみに! #
by tomoyu_suzuki
| 2006-05-25 09:52
| メイド
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